神戸学院大学

「コーヒー豆焙煎工」で本学卒業生が兵庫県技能顕功賞を受賞しました

2019/12/10

兵庫県技能顕功の表彰状と盾
兵庫県技能顕功の表彰状と盾
カウンターの中の橋本さん
カウンターの中の橋本さん
焙煎する前の生豆を手にする橋本さん
焙煎する前の生豆を手にする橋本さん

今年度の兵庫県技能顕功賞が決まり、11月10日、本学卒業生の橋本和也さんが「コーヒー豆焙煎工」の分野で表彰されました。同27日に兵庫県公館で表彰式がありました。

橋本さんは2002年に人文学部を卒業。在学中からコーヒーショップでアルバイトを続け、卒業後すぐに上京して大手カフェチェーンに就職。2010年に大阪・堂島で店内に焙煎機を設置した「カフェ ラヴニール」を開業しました。後に神戸・岡本に移転、2017年4月からは、同市中央区中山手通3にある、旧北野小学校の校舎を再利用した「北野工房のまち」の一室に店を構えています。風味を特徴づける栽培地域や品種、精製方法などを厳選した品質の良い生豆を店内で少量ずつ焙煎して販売。店内のカウンターでは、サイフォンをはじめとした様々な抽出方法で淹(い)れたコーヒーを飲めるほか、テイクアウトもあります。「ラヴニール」はフランス語で「未来」の意味。恩師の野田春美・人文学部教授が名付け親です。

「コーヒーの焙煎は視覚に頼っていては不十分で、耳と鼻で状態を見極めながら仕上がりを調整していくことが重要」だと橋本さんは言います。「カラン、カラン」という焙煎機のなかでコーヒー豆が回転する音を聞いて、豆にどのくらいの水分が残っているかを判断します。スプーンで少し豆を取り出して、立ち上がる湯気などの状態を見ながら、火力と排気量を調整していきます。豆を炒る時間が長くなるほど酸味が隠れて、苦みが勝っていきますが、橋本さんは「苦みが酸味を上書きしていく」と表現します。「コーヒーは苦いものというイメージが強いですが、上質なコーヒー生豆ほど心地よい酸味が魅力的で、それをいかにきれいに残すかが、焙煎の良し悪しを決める一つの要素になります」と語ります。

橋本さんによると、コーヒーの焙煎は、ただ焼くことだけで十分なのではなく、例えば焙煎されたコーヒーの抽出液から「このコーヒーの欠陥はどこから生じたか」という難解な問いにも挑まなければなりません。解答するには、生豆の品質なのか、焙煎の不具合なのか、抽出に問題があるのかということを見極める力も必要です。2017年には生豆の品質鑑定から焙煎、抽出までをこなす高度な技術・技能が評価され、「神戸マイスター」に制度発足以来最年少、しかも初めての職種となる「スペシャルティコーヒー技能者」として、認定されました。

本学では、2017年より客員教授として経営者兼技能者の立場から「産業界等連携講座」の講師を務めています。神戸市内の中学校では、職業観の育成に関わる進路学習講座の授業をゲストティーチャとして行い、短大の生活文化学科や調理製菓専門学校では、コーヒーをはじめとした飲料全般に関わる座学や実習を外部講師として受け持っています。
「カフェ ラヴニール」は現在の店舗での営業は12月15日まで。下旬には同市中央区三宮町3の1の7、服部メガネ2階(地下鉄旧居留地大丸前)に移転します。