神戸学院大学

2022年度入学式 学長式辞

2022/04/07

本日入学式に集われた学部新入生の皆さん、編入学・転入学生の皆さん、大学院新入生の皆さん、ようこそ神戸学院大学へ。神戸学院大学を代表して、ご入学のお祝いを申し上げます。皆さんが神戸学院大学の「メンバー」になられたことを、教職員一同、心から歓迎いたします。

同時に、新入生のご家族、保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。本日は、コロナ禍の影響が残る中、午前と午後の二部構成とし、残念ながらご来賓の皆様にはご出席を控えていただき、新入生のご家族の皆様にはオンラインでのご参加をお願いするという変則的な形となりましたが、ご一緒にお祝いをしていただければ有難く存じます。

この2022年度入学式を挙行できますことは大学関係者にとりましてこの上ない喜びであり、ご理解・ご協力いただきました皆様に対しましても、この場を借りて心より御礼申し上げたく存じます。

さて、新入生のみなさんは、もうすでに入学式前に様々なオリエンテーション等を受けていることと思います。配布された印刷物やPDF文書も多岐にわたり、そこに書かれている内容を解読するところから大学一年次生は始まるといっても過言ではないかもしれません。

うち、配布された印刷物の中に「Campus」という冊子があったと思います。そして、その中に私の写真を背景として非常に短い「メッセージ」が書かれていたと思います。見てもらえたでしょうか?

そのメッセージは「いちばん素敵なことは、偶然起きるの! それが人生!」というものです。実は、その言葉は私のものではありません。皆さんも大好きな人が多いディズニーアニメ「ファインディング・ドリー」の中のドリーという小さな魚のセリフです。このメッセージ、ひょっとしたら、覚えている人もいますか?

映画やドラマの中では学問研究の蓄積をふまえたセリフが意外に多く出てきます。このドリーの言葉もそうです。その言葉が出てくる状況は、詳しくはDVDででも見てもらえればと思いますが、下敷きとなっている学問研究の内容を一言で言い表すと、「計画的な偶然」という言葉として知られています。「偶然」が「計画的」というのは、矛盾しているように思えるかもしれません。しかし、意味することはこういうことだと考えてください。

例えば、その「Campus」の表紙を飾っている坂本花織選手、見事にオリンピック銅メダルを獲得しました。つとに言われているように、坂本選手は高得点が期待できる四回転あるいは三回転半ジャンプ(トリプル・アクセル)を捨てて、その代わりそれ以外の演技項目を完璧にすることで得点を積み重ねようという戦略をとったといわれています。下馬評で金メダル確実といわれたロシアの一有力選手がトラブルに巻き込まれ、不幸にもフリーの演技を大失敗してしまったことで、坂本選手に銅メダルが偶然舞い込んだとみる向きもあります。しかし、ロシア選手がトラブルに会うなどということは事前にはわかりません。坂本選手は自分が決断した戦略に基づき細かな演技の完成度を究極にまで高めるという計画的な努力、準備をしたからこそ、最後に銅メダルという素敵なことが起こったのです。

ひとは、人生の中でいろいろなことと出会います。大学においてもそれは同様です。様々な専門科目や教員との出会い、新しい友人との出会い、部活での仲間や先輩との出会い、ボランティアや社会連携事業等キャンパス外での活動での出会い。そうした出会いの一つ一つが、実はあなたたちの未来を形成するための「計画的な偶然」になってほしいと思っています。そして、ぜひその「偶然」としっかりと向き合ってください。神戸学院大学は、そのさまざまな偶然を創造し、あなたたちと出会ってもらう場だと私たちは考えています。
 
神戸学院大学が提供する「偶然」と出会う場として、最初にあげるべきは、何よりも皆さんが入学して学ぶ共通教育及び学部専門教育のそれぞれの科目です。しかし、それだけではありません。医療・福祉系4学部6学科合同の「専門職連携教育(IPE)」、文系5学部対象の「スポーツサイエンス・ユニット」、英語力強化プログラムの「神戸学院カレッジ」、教員免許を目指す「教職課程」など、総合大学ならではの学部横断型教育プログラムも持っています。

正課外のプログラムも豊富です。短期海外研修、長期留学制度も充実しており、コロナが収まれば、ぜひチャレンジしてほしいと思います。体育会・文化会などの課外活動団体も実に多彩で、全国レベルで活躍する団体もあります。資格・検定や公務員を目指す人のための「課外講座」も毎年大きな成果をあげています。オープンキャンパス学生スタッフ「オーキャンズ」、大学祭中央実行委員会もその一つにあげることができます。

そして、正課内あるいは正課外での企業や自治体との様々な社会連携・地域貢献活動にも、多くの学生が参加をしていることはぜひ覚えておいてほしいと思います。

とくに本学は阪神・淡路大震災の震源地に最も近い大学として、ボランティア活動や防災・社会貢献活動にも熱心に取り組んできました。被災地支援活動には、ボランティア活動支援室学生スタッフをはじめ多数の学生が参加しています。

コロナ禍は不幸な歴史としてのちの人にも語り継がれることでしょう。充実した高校生活が送れなかったという思いの人も多くいると思います。しかし、こうした「過去となる歴史」には負けないでください。皆さんにとっての歴史とは前に開けている未来です。その未来においてこそ「計画的な偶然」を実感してほしいと思っています。

神戸学院大学は、皆さんの「素敵なこと」を実現するために全力で応援していきます。そして、皆さんが卒業の時に自らの成長を実感して、自信を持って社会に飛び立ってくれることを心から願っています。

新入生のご家族の皆様におかれましては、大学とご家庭の「架け橋」として長い実績のある「教育後援会」の一員となられます。教育後援会の活動を通じて、神戸学院大学に親しみを感じていただければ幸甚でございます。

本学は今年1月に創立56年を迎え、学校法人神戸学院は、今年創立110周年を迎えました。新入生の皆さん、ぜひこの神戸学院大学の一員として、思う存分様々な「偶然」に出会い、自らの歴史を切り開いていってください。そして、神戸学院大学が、初代学長・森茂樹が目指した「後世に残る大学」となるための歴史の一ページを創っていきましょう。

本日はご入学、誠におめでとうございます。

2022年4月7日

神戸学院大学学長 中村 恵