神戸学院大学

2025年度前期学位記授与式 学長式辞

2025/09/27

猛暑という言葉が日常になりながら、ようやく秋の気配が見え始めた中、本日ここに、ご来賓の皆様のご列席の下、2025年度前期学位記授与式を挙行できますことは、本学関係者にとりましてこの上ない喜びでございます。皆様には厚く御礼を申し上げます。

本日、卒業の日を迎えられた学部卒業生・大学院修了生の皆さん、おめでとうございます。神戸学院大学を代表して、心よりお祝いを申し上げます。また、本日ご臨席いただいていますご家族ならびに関係者の皆様にはお祝いを申し上げると共に、本日に至るまで学生たちを支え続けてくださったことに、深く感謝を申し上げます。

今日、この式に臨まれた学生の皆さんは新型コロナウイルス感染症の真っただ中に大学生活を送られました。
コロナ禍。それさえなければ、もっと違った学生生活を送ることができたのに。そう思う方もいると思います。ただ、それは過去のことです。
過ぎ去ったマイナスをプラスに転じる方法を考えることが建設的であることは皆さんご承知のとおりです。
さて、皆さんにお伝えしたいことを二つ。

一つ目は私自身の経験からです。
私は高校生の頃、獣医になることを夢見ていました。結局、それは叶わず浪人を経て進学し理学療法士になりました。二つの病院勤務を経て、兵庫県職員となってからは、初めての土地で、身の丈を超える大きな仕事を任され、ただただ走り続けました。その間に結婚・転居・3人の子育てと、今思えばよくそんなことができたなと思います。
ただ、これは皆さんお気づきのとおり、ほとんどの大人が経験するごく普通の人生の一つです。
結局、長い人生何があるか分からない。要は、その時々を頑張ったり、休んだりしながら、それでも誠実に毎日を過ごすことが大切で、それが将来、別のチャンスを呼ぶこともあるし、必ず何かを成し遂げているということ。そして、振り返って1人、よくやったなと思える時が必ず来るということ。
これが普通の人生を送ってきた私が実感として皆さんにお伝えしたいことです。
どうぞ安心して、その分、少しチャレンジする気概をもってこれからの人生を送ってください。

もう一つは、ウォルト・ディズニーが残した言葉です。
「過去の出来事に傷つけられることもあるだろう。でも私が思うに、そこから逃げ出すこともできるが、そこから学ぶこともできる」というものです。
私自身、この1週間を振り返っても色々なことがありました。ただ笑っていられることばかりではありませんでした。それでもよくしたもので、人間には防衛機制という自分を守る機能が備わっています。例えばきつく叱られて心が大きくざわついても、まずは3時間ほど静かにやり過ごすと心は不思議なほど落ち着いてきます。そして日を追うごとにその事実を冷静に省みることができるようになることは、皆さんも経験したことと思います。その上で、ウォルト・ディズニーが言うように「そこから学ぶ」というのは、マイナスをプラスに変える具体的な方法だと思います。
どうぞ、傷ついたときには少し我慢してやり過ごしてください。そしてそれをプラスに変えるということを覚えておいてください。

先日、あるテレビ番組で、ビル・ゲイツが大学生を前に語っていました。「今の日本で生きる皆さんがうらやましい。皆さんの若さに嫉妬さえ覚える」。
マイクロソフトを創業し、ウインドウズの世界を創ったビル・ゲイツの言葉です。
ゲイツ財団を通じて全財産30兆円を、貧困で生命の危機にある子供たちのために使い切るというビルゲイツが、もうすぐ70歳を迎えるビルゲイツが、皆さんの世代に抱く感情は「うらやましい」です。
若さとはどれほど素晴らしいことか。将来に向けて生きるということがどれほど有意義なことか。
卒業という今日の日を、皆さん自身も心から祝ってください。そして、これからを楽しむ第一歩としてください。

最後に皆さんにお願いです。
皆さんは、本日から約十万人の神戸学院大学同窓生の仲間入りをします。神戸学院大学にとって、同窓生は宝であり、財産です。今日からはその同窓生の一人として、神戸学院大学を応援してください。そして、いつかキャンパスを訪ねて皆さんの成長を聞かせてください。
私たち教職員にとって、皆さんの成長した姿を見ることほど幸せなことはありません。

改めて卒業ならびに修了おめでとうございます。皆さんが社会で生き生きと活動している姿が見られることを心より期待しています。

2025年9月27日      
 神戸学院大学 学長 備酒 伸彦