神戸学院大学

共通教育センター

共通教育科目「近現代史概論Ⅰ」で多数のネパール人を雇用している企業の代表者らが特別講義しました

2026/07/10

外国人雇用のメリットを話すセイエーの西田社長と信頼されている社員のメヌカさん
外国人雇用のメリットを話すセイエーの西田社長と信頼されている社員のメヌカさん
ゲストスピーカーの(左から)セイエーの西田社長、結コンサルタントの下村代表取締役、セイエーの清水企画部部長、同社のメヌカさん
ゲストスピーカーの(左から)セイエーの西田社長、結コンサルタントの下村代表取締役、セイエーの清水企画部部長、同社のメヌカさん
講義する下村さん
講義する下村さん
自身について語るメヌカさん。(右は清水さん)
自身について語るメヌカさん。(右は清水さん)

共通教育科目「近現代史概論Ⅰ」の授業(担当・鵜飼昌男講師)で7月6日、ネパール人を積極的に雇用しているビルメンテナンスの会社「セイエー」(本社・愛知県春日井市)の西田宏久代表取締役社長ら3人と、ネパール人の仲介にあたっている同市の会社「結コンサルタント」の下村浩明代表取締役による特別講義が有瀬キャンパスで実施されました。

授業のテーマは「多様性が現場を変える―外国人スタッフと働く現場のリアル」。21世紀の日本社会が直面する外国人労働者との共生を目指し、外国人雇用と就業現場の現状を理解することが目的です。鵜飼講師からゲストスピーカー4人の紹介がありました。

■増え続ける外国人労働者
まず、下村さんが日本で働く外国人労働者の現状について概要を説明し、学生が意見形成するための基礎知識を提供しました。ミャンマー、インドネシア、ネパール、スリランカ出身の人たちを中心に右肩上がりに増えていること、外国人の「在留資格」制度、留学生が入国管理局の許可を得て働く「資格外活動」について紹介しました。人手不足が深刻な分野は「特定技能」の在留資格が適用され、ビルメンテナンスの仕事もそのうちの一つだといいます。愛知県の尾張地区ではネパール人労働者が急増しており、「資格外活動(留学)」の在留資格で働く人が多いのが特徴だとされています。

「結コンサルタント」では、渡航前にネパールの日本語学校で日本語と日本文化をしっかり学んだ人たちだけを、日本の企業に紹介しています。渡航費用を受け入れ先の企業に負担してもらうシステムも構築しており、就職して中途退職した人は、まだ1人もいないといいます。ネパール人の性格として、下村さんは、①日本への憧れが強く、質素で控えめ②我慢強く、日本での仕事については文句が少ない③他人への配慮や思いやりが強く、年長者や高齢者を大切にする……の3点を挙げました。

■人手不足が解消、職場も明るく
続いてネパール人約50人を清掃管理業務などで雇用しているセイエーの清水隆次経営企画部部長が外国人と働くときのポイントを述べました。

まず、「言葉の壁」が日本人スタッフの側にも不安としてある事実に対して、現場では「伝わらない」ことを前提にジェスチャーを交え、指導する人が実際にやって見せて本人にもやらせるなど、「言葉の壁」の存在を前提にした清掃業務理解のためのさまざまな工夫を紹介しました。セイエーの三つの工夫として、①やさしい日本語を使う②言葉だけでなく画像を取り入れたマニュアルを使う③座学だけでなく道具を使った研修制度の実施――を挙げました。

また、休暇の取り方、食習慣など生活文化の違いは、事前に確認してその違いを共有することで対応しているといいます。

外国人を採用することのメリットとしては、人手不足が解消できるうえ、その人のおかげで職場が明るくなり、多様な物の見方が入ることで職場の雰囲気作りにも役立つことを挙げました。

続く質疑応答で、鵜飼講師が「そもそも、なぜ外国人を採用しようと思ったのですか」と最も基本的な問いを投げかけました。西田社長は「人手不足が深刻でした。アルバイトを1人雇うのにもスマホ広告などでは多額の経費がかかり、募集しても日本人の働き手は全く来ない状況です。現場は50カ所ほどあるので外国人を雇うことにしました。通訳・翻訳担当として雇った(ネパール人の)シムカダ メヌカさんが自身のネットワークで知人をたくさん紹介してくれ助かりました」と答えました。

■求職もネパール人のつながりから
ゲストとして壇上に立ったメヌカさんは19歳で来日して日本での職歴も長く、三重県で大学院修士課程も修了。技術・人文知識・国際業務(技人国と略称)ビザで在留しており、セイエーでは業務部主任として信頼されています。学生から「ネパール人コミュニティーの人たちとどのようにやりとりをするのですか」と質問されて、メヌカさんは「例えばフェイスブックでの知り合いから、その人の知り合いを紹介されて連絡が来ます。ここだったらネパール人が楽しく働けそうだと分かると、アルバイトを紹介してくれませんかと頼まれることが多いです」と流ちょうな日本語で答えました。

「実際に日本で働いてみての感想はどうでしたか」との質問には、「働いた当初は、日本人はみんなあまりしゃべらないなと思いました。それで私から、もっとしゃべりましょうよと職場で声をかけました」と笑顔で答えました。日本とネパールとの架け橋のような存在になっているようでした。

最後に「ネパール人雇用に抵抗はなかったか」と聞かれ、西田社長が「お客さんとトラブルがないかと疑っていたこともあった。しかし、ネパールに行ってしばらく生活してみると、みんな本当に楽しそうに仕事していた。笑顔が最高。日本でもみんな一生懸命仕事をしてくれると確信しました。私はこれからも外国人を大事にして付き合っていきたい」と述べ、講義を締めくくりました。