神戸学院大学

2021年度前期学位記授与式 学長式辞

2021/09/25

例年になく不順な天候が続いた夏が過ぎ去り、秋の気配が色濃く感じられる季節となりました。

コロナ禍の影響が続く中、本日ここに、ご来賓の皆様のご列席の下、2021年度前期学位記授与式を挙行できますことは、本学関係者にとりましてこの上ない喜びであり、ご出席の皆様には厚く御礼を申し上げます。本日は、この会場だけでなく、多くの卒業生・修了生およびご家族の皆様とオンラインで繫いで式を挙行しております。

本日卒業の日を迎えられた学部卒業生・大学院修了生の皆さん、誠におめでとうございます。神戸学院大学を代表して、心よりお祝いを申し上げます。また、本日論文博士の学位を授与された方にも心よりお慶びを申し上げます。この1年半、コロナ禍によってキャンパス生活や研究活動が制限される中、皆さんが積み重ねてこられた努力が実を結び、今日のこの日を迎えられました。その真摯な姿勢に惜しみない賛辞を送りたいと思います。

また、本日ご出席・ご参加いただいていますご家族ならびに関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。本日に至るまで学生の皆さんを支え続けてくださったことに対して、深く感謝を申し上げます。

卒業生・修了生の皆さんは、本日から約9万人の神戸学院大学同窓生の仲間入りをされます。皆さんは、神戸学院大学で多くのことを学び、様々な経験を重ね、その能力を高めるとともに、人間的にも着実に成長してこられました。自らの成長を信じて、自信をもって社会に羽ばたいてください。大学院修了生の皆さん、博士の学位を授与された方は、修士論文あるいは博士論文を完成させるという大きなハードルをクリアされました。そのことを自信にして、専門的な能力を社会の中で大いに活かしてしていってください。

時代は「平成」から「令和」へと移り、3年目を迎えています。今、日本社会は大きな変化の時代に向かいつつあります。皆さんがこれから飛び込んでいく21世紀社会、令和の時代は、10年先、20年先を予測することが非常に難しい不確実な時代に入っています。人口減少・少子高齢化やグローバル化の更なる進行、自然災害の頻発、人生100年時代、働き方改革、外国人労働者の増大、そしてAIやIOTを始めとする新たな技術革新によるいわゆるSOCIETY 5.0時代の到来など、多様な変化が待ち受けています。さらには、昨年から続くコロナ禍の影響の下、「知恵」と「工夫」による新たな日常、新たな生活様式への転換、そして、大学教育においても「対面」と「遠隔」のハイブリッドな教育環境の確立など、社会全体がニューノーマルな時代への対応を求められています。

卒業生・修了生の皆さんは、このような難しい時代をたくましく生き抜くとともに、自らが選んだそれぞれの道で、培った能力を駆使して社会に貢献することが求められています。そこで、これから新たなステージに立ち向かっていく皆さんに、人生の先輩として、いくつかのアドバイスを申し上げたいと思います。

第1に、実社会の荒波の中で、苦しい場面、つらい状況に遭遇しても、自分を信じてください。自分を信じて、プライドを奮い立たせて進む以外にないことが多いと思います。結果を恐れて怯んでしまうのではなく、ここというときには覚悟を決めて進んでください。

第2に、とはいっても、謙虚さも忘れないでください。周囲の方々のアドバイスには謙虚に耳を傾け、耳の痛い意見にも真剣に向き合ってください。最後は自らの決断に迫られても、様々な考えに接し、それらを吸収することで、自分の判断を研ぎ澄ますことができます。そして、そのような姿勢が周囲の信頼を生むことにもなります。

3つ目に、周りの目を気にして自制してしまい、自らの可能性にふたをするのではなく、自分が本当に納得できる道を選んで進んでください。自分からの「逃避」が後々の「後悔」を生み出す原因になります。たとえ期待したような結果がすぐには得られなくとも、納得のいくチャレンジこそが次へのエネルギーと知恵を生み出します。

最後に、自分が築いてきた人間関係を大切にしてください。自分を支えてくれる家族、苦しいときに頼りになる先輩や友人、厳しくも的確な指導をしてくれる上司や指導者、これらの人間関係の蓄積は大きな財産です。自らの能力を発揮する上での大きな力になります。時には、どのような人間関係を構築しているかが、その人の能力として評価される場合もあります。

以上が、社会へ旅立つ皆さんへの私からのアドバイスです。

さて、皆さんが今日巣立っていく神戸学院大学は、一九六六年に京都大学名誉教授で体質医学の権威であった初代学長・森茂樹博士の下、建学の精神「真理愛好・個性尊重」を掲げて、栄養学部だけの単科大学として創立されました。それから55年を経た現在では、複数のキャンパスに10学部・8つの大学院研究科、1万1千人を超える学生数を擁する、神戸市内で最大規模の文理融合型私立総合大学に発展しました。

神戸学院大学は、これからも、社会の多様な分野で活躍する同窓生の皆さんの姿に刺激を受けながら、「社会から必要とされる、兵庫・神戸を代表する存在価値の高い大学」を目指します。そして、「学生が自らの成長を実感できる大学」であり続けることを基本として、日々前進していく所存です。 

本日新たな「出発(たびだち)」の日を迎えられた皆さんが、伝統ある神戸学院大学の同窓生であることに「誇り」を持ち続け、社会の様々な分野で個性を発揮しながら活躍されることを心から祈念いたします。卒業生・修了生の皆さんは、半世紀を超える歴史を持つ本学にとって最高の宝であり、財産です。神戸学院大学はこれからも皆さんを応援していきます。困ったとき、悩んだとき、あるいは気が向いた時にはぜひキャンパスを訪れてください。そして皆さん、今日からは同窓生として、母校である神戸学院大学を力強く応援してください。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。

2021年9月25日

神戸学院大学学長 佐藤雅美