神戸学院大学

学長式辞

2026/03/24

本日、この良き日に学位を手にされ本学を巣立つ皆さん、卒業おめでとうございます。そして、これまで温かく見守ってこられたご家族、関係者の皆様に心よりお祝い申し上げます。

また、多数のご来賓の皆様のご列席を賜り、ここに2025年度学位記授与式を挙行できますことは、本学教職員一同にとりまして、無上の喜びでございます。ありがとうございます。

さて、卒業生の皆さん、6年余り前に始まったパンデミック、皆さんの時計は一度止まってしまったかのように思われたかもしれません。

4年前を振り返れば、入学式こそ執り行われましたが、本来なら、ご家族と共に祝福され、はじけるような喜びの門出も、厳戒態勢の中、制限されたものでした。

キャンパスライフにおいても、対面授業はあったものの、教室で隣り合う友人とも一定の距離を求められ、会話も常にマスク越し。
何か「画面の中」のやり取りのような、もどかしさを感じる日々であったと思います。

しかし、皆さんは諦めませんでした。不自由な環境の中で、どうすれば学びを止めないか、どうすれば仲間と繋がれるかを模索し続けました。そして、今日の日を迎えられた訳です。

この日を迎えられた皆さんは「コロナ禍の不運な世代」ではありません。「未曾有の逆境をも糧にかえてみせた、最強の世代」というべきです。

そのような皆さんの姿を思い浮かべながら、ある書物を思い出しました。
外山滋比古氏が40年近く前に著した「思考の整理学」という書物です。

その冒頭にグライダーと飛行機の話があります。
グライダーは優雅に飛ぶが、それは牽引する者があってこそ飛べる。飛行機は自らのエンジンで力強く羽ばたくという内容で、「学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間はつくらない」という、私たち学校に関わる者にとって耳に痛い指摘もあります。

もちろん外山氏は「グライダー人間になるな、自らのエンジンで飛ぶ飛行機人間になれ」と単純に断じているのではありません。
「グライダー兼飛行機のような人間になるには、どういうことを心がければよいか考えたい」と論を締め括っています。

さて、ここから卒業する皆さんの話に戻りましょう。
コロナ禍の逆境を糧にかえて、今日の日を迎えた皆さんの背中には、既に自ら飛ぶことのできる羽が備わっています。あるいは小さなエンジンかもしれません。それをして、先ほどは皆さんのことを最強の世代と呼んだわけです。

さぁ、今日から始まります。
皆さんが主役となって世の中を支える日が始まります。
かといって気負い過ぎることはありません。皆さんの背中の羽やエンジンは、いきなり世界を駆け回れるほど力強いものではないでしょうし、飛ぶ方向を見極める力もつけなければなりません。まだまだ、グライダーとして、牽引してくれる人に頼って飛ぶトレーニングをしてください。太陽や星を見て方向を見極める力をつけてください。時にそれに疲れたら、風に身を任せてみるのも悪くありません。
そして、強い羽根やエンジンと、方向を見極める力を備えた後は、皆さんに続く人に方向を示し、何かの理由で自ら飛べない人を牽引する人になってください。

本学を創設した初代学長森茂樹先生は、本学を「後世に残る大学」とすると
されました。私はこれを単に大学の存続を指すものだとは捉えていません。本学で学んだ皆さんが、「世の中を良くするという志」をもって、社会に貢献する姿を目に浮かべながら語られたものではないでしょうか。
 
私たちは逆境を越えたあなた方、最強の世代に心から期待します。

そんな皆さんにお願いがあります。
皆さんは、本日から約十万人の神戸学院大学同窓生の仲間入りをします。
同窓会は大学と共に、建学の精神、真理愛好・個性尊重を胸に社会に貢献されています。今日からはその同窓生の一人として、神戸学院大学を応援してください。 
そして、いつかキャンパスを訪ねてあなたたちの成長を聞かせてください。

最後にもう一度、私たちはあなた方の将来を心から祝福し、期待します。
 
2026年3月23日 24日    
 神戸学院大学学長 備酒 伸彦