第20回神戸学院大学法学部法律討論会
2019/11/22
日時 | 2020/04/29 (水) 13:00〜17:50(終了予定) |
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会場 | ポートアイランドキャンパス D101講義室(D号館1階) |
第20回神戸学院大学法学部法律討論会を開催します。
今回の討論会では、流通経済大学の隅谷史人准教授を出題者にお迎えします。隅谷准教授は、本学法学部を2008年3月にご卒業され、新進気鋭の商法学者として着実に業績を挙げておられます。在学中に本討論会で活躍した本学法学部の卒業生のお一人ですが、そのような方を本討論会の出題者にお迎えするのは、2004年の第1回討論会以来、初めてのことです。
今回の事案(ケース)は、つぎのようなものです。
Aさんは、個人事業主として、神戸市内で小売業のお店を経営していました。Aさんは、2019年3月頃、行きつけの飲み屋でひょんなことからDさんと仲良くなり、たびたび一緒にお酒を飲むようになりました。Aさんは、自分の店のお客さんを増やすために何かよい商品はないかと考えていたところ、Dさんと飲む機会があり、Dさんに何気なく相談しました。すると、Dさんは、自分の勤め先であるBが製造・販売する美顔器(甲)を取り扱わないか、とAさんに持ちかけました。Aさんは、これまで店で美顔器を取り扱った経験がなく、最初はあまり気が進みませんが、他ならぬ飲み友達のDさんの言うことだからと思い直し、Bの代理店となって甲を販売することを考え始めました。
ところが、Bの販売代理店になるのはそう簡単なことではありませんでした。Aさんが、Bに甲の代理店契約の件を打診したところ、Bは、取引を始めるには、甲の利用方法や商品知識を修得する必要があり、そのためにはBが主催する講習会に有料で参加する必要がある、と回答しました。そこでAさんは、2019年8月下旬に講習料30万円を、クレジット会社であるC社が発行した事業者用クレジットカードでBに支払って、講習会に参加しました。
さらに、Aさんが講習会に参加してみると、販売員の心得として、甲を販売する以上は、甲を購入し日頃から使用することが重要だ、ほとんどの講習会受講者は甲を購入している、と言われました。そこでAさんは、同年9月中旬に、代金20万円を、同じくC社の事業者用クレジットカードでBに支払って、甲を購入しました。Aさんは、甲の使い方などについて講習も受けたし、甲を買って自ら使用するのだから、Bの代理店となって甲を販売すれば、店のお客さんの数もきっと増えるに違いない、と期待に胸を膨らませていました。
ところが2019年10月下旬、独立行政法人の商品テストの結果、甲には美容効果がほとんどないことが明らかとなりました。その事実を耳にしたAさんは、Bに苦情を言おうとしましたが、Bは倒産状態にあり、まともに対応してもらえません。そうこうするうちに、AさんがC社の事業者用クレジットカードでBに支払った甲の講習料と代金について、C社に立替払金を支払う期日が迫ってきました...
後に美容効果がないことが明らかになった甲について、これまで講習や販売をしたあげくに倒産したB。そして、Aさんが事業者用クレジットカードで支払った甲の講習料や代金について、Aさんにその立替払金の支払いを求めるC社。BとC社のそれぞれに対して、Aさんは、民法上、どのような主張をすることができるのでしょうか。
本学法学部の民法専攻のゼミを中心とする5つの参加団体の討論代表者が、この問題に挑戦します。果たして、Aさんは、美容効果のない甲に無駄なお金を支払わなければならなくなるのでしょうか。
みなさんもぜひ、この問題について考え、自分なりに抱いた疑問を、参加団体の討論代表者にぶつけてみてください。本討論会では、学部学生に限らず、どなたでもご参加頂けますし、会場にお越しくださった方は、どなたでもご質問頂けます。
多くの皆さんの積極的な参加、そして真摯な議論を、願ってやみません。今回、学外からの参加団体として、摂南大学法学部の民法専攻のゼミが初参戦します。加えて、これも本討論会の歴史上初めてのことですが、本学法学部2年次生の有志数名が自主的にチームを結成し、本討論会に参加します。これまでの討論会よりも、さらに白熱した議論が期待されます。
皆さんのご参加を心よりお待ちしています。
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