神戸学院大学の
防災・減災への取り組み

神戸学院大学の防災への取り組み/ご挨拶 学長 佐藤雅美

神戸学院大学では、阪神・淡路大震災発生当時から今日に至るまで、
ボランティアや啓発イベントなど、防災に関するさまざまな活動を学内外で実施。
学部を含む神戸学院大学としての活動のほか、他の教育機関や自治体、
地域のNPO、企業などと連携し、幅広い取り組みを行ってきました。
今回は、そうした取り組みを時系列で俯瞰できるように年表形式で振り返り、
主な活動をピックアップして具体例として紹介します。

1995年1月17日、大災害をもたらした阪神・淡路大震災。
この大震災に際し、本学は直ちに「兵庫県南部地震災害緊急対策本部」を設置し、学生・教職員の安否確認、被害状況の調査、各関係機関等との連絡、建物の応急処置、ライフラインの復旧や入試対策、卒業式の延期等の対応を行いました。

1997年、阪神・淡路大震災発生時から停止していた明石市立天文科学館のシンボル、大時計。
神戸学院大学では、震災の記憶を語り継ぐモニュメントとして譲り受け、有瀬キャンパス内に設置。地震発生直後の午前5時46分を指して止まったままだった針が、 再びその時を本学で刻むことになりました。

2004年10月6日、阪神・淡路大震災を教訓に、学校での児童支援などの震災後の取り組みや課題を話し合うシンポジウム「地域と考える震災十年」が有瀬キャンパスで開催。
1部で商店会長や新聞記者らが、それぞれの10年を振り返り、2部では参加者によるパネルディスカッションが行われました。

2004年12月、神戸学院大学では阪神・淡路大震災10周年事業として「『大震災』~その時大学は~」を実施。講演会「プロゴルファー古市忠夫氏と語ろう」、人命救助法を学ぶ「震災体験ワークショップ」、「震災10周年シンポジウム」が開催されました。

2005年1月、阪神・淡路大震災10周年事業「『大震災』~その時大学は~」を2004年に引き続き開催。
中国古筝による追悼コンサート、写真部員等による追悼写真展、教員・留学生の犠牲者遺族の方々を迎えて行った追悼式典を実施しました。

2005年12月8日、「人と防災未来センター」の研究調査員で、読売新聞大阪本社の安富信・地方部次長(当時)が有瀬キャンパスで「災害報道の現場と課題」をテーマに講演。安富次長は、主な災害をメディアがどう報道してきたかを紹介し、「新聞とテレビがそれぞれの特性を生かした報道をすることが大切」と強調しました。

2006年1月17日、防災・社会貢献ユニット生※が兵庫県姫路市の市立旭陽小学校の招待を受けて、出前授業を行いました。学生は、液状化現象の原理を5年生に説明したり、自らが体験した震災体験の辛さや人と人との絆の大切さを伝えたりしました。※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組

2006年度より、神戸学院大学では、阪神・淡路大震災当時に神戸市で働いていた市職員とそのOBを客員教授に招き、リレー講義「阪神・淡路大震災研究」をスタート。防災・社会貢献ユニット※の専門科目の一環として、研究者以外の実務経験者から学ぶことで防災の「即戦力」を育てる目的で行われました。※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組

2006年9月30日に開催された「阪神・淡路大震災の記録展」では、資料整理を行ってきた長田区役所の避難所日記など資料室所蔵の資料約3万点のほか、震災後の長田で撮影された映画「男はつらいよ」のロケ地関連資料の展示を企画・開催しました。

2007年4月、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、災害時における市民・事業者・市の協働による総合的・体系的な食糧・物資の確保・供給体制を整備するために締結しました。
「神戸市民の安全の推進に関する条例」に基づき、風水害・地震等の緊急時に、「神戸市地域防災計画」に定める被災者支援及び救助活動が円滑に実施されることを目的としています。

2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震では、柏崎市を中心に周辺地域に大きな被害をもたらしました。
神戸学院大学では、学際教育機構防災・社会貢献ユニット※とボランティア活動支援室、学生支援センターが主体となって、学生ボランティアを募集。集まった学生と引率の教職員とともに、被災地でボランティア活動を実施しました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組。

2008年3月11日、東北福祉大学で「防災・減災及びボランティア活動に関する相互支援協定」を締結。
全国でも例が少ない東北と近畿と地理的に離れた大学間の防災やボランティアの協定により、防災や減災分野の研究や教育活動は一層充実し、相互に教育・研究効果が期待できる貴重な連携となりました。

2009年1月、毎日新聞社、兵庫県、(財)ひょうご地震記念21世紀研究機構主催の全国の子どもや学生の防災教育・活動を表彰する「ぼうさい甲子園(1・17防災未来賞)」において、学際教育機構防災・社会貢献ユニット※の学生が、大学部門で「ぼうさい大賞」を受賞。
さらに小学校、中学校、高校、大学の4部門全体の中から選ばれる最高の賞「グランプリ」を受賞しました。また、その功績が認められ、神戸市青少年育成協議会による「こうべユース賞」を受賞しました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組。

2009年3月17日、学生や地域社会への防災・減災及びボランティア活動の諸事業について、連携・協力関係を推進することを目的とし、本学と大妻女子大学、工学院大学、神戸女子大学(神戸女子短期大学含む)並びに兵庫医療大学が「防災・減災及び災害時のボランティア活動に関する5大学連携支援協定」を締結しました。

阪神・淡路大震災15年を迎えた2010年1月17日、「人と防災未来センター」慰霊モニュメント前で、県内2ヵ所で採火した「追悼の灯り」が本学学生らによって、「1・17のつどい−阪神・淡路大震災15周年追悼式典」会場の県公館に運ばれ、式典会場内の新成人の本学生に引き継がれ祭壇に献灯されました。

2010年5月、本学と東北福祉大(仙台市青葉区)、工学院大(東京都新宿区)が連携し、3大学共通認定の「社会貢活動支援士」資格と、資格取得に必要な専門カリキュラムを共同開発し、インターネットでの同時遠隔授業がスタート。
防災・減災を軸にした社会貢献活動にかかわる同時遠隔授業は、全国でも初めての試みとなりました。

2011年1月13日、ポートアイランド内の港島幼稚園で、学際教育機構防災・社会貢献ユニット※の学生が、園児らに対して「防災教育学」の出前授業を行いました。
地震や火事を起こす悪役と市民の平和を守る”防災レンジャー”に学生が扮するパフォーマンスや防災クイズを行い、楽しみながら学んでもらいました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組。

2011年3月18日~3月20日、兵庫県が実施した「東北地方太平洋沖震ボランティア先遣隊」に神戸学院大学東日本大震災支援対策本部として学際教育機構防災・社会貢献ユニット※をはじめ、ボランティア活動支援室、ポーアイ安全・安心ステーション、TKK学び合い連携センターの教職員が参加。被災地の状況を確認しました。※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組

「第19回 市長と学長の懇談会」が神戸常盤大学で2011年7月28日に開催されました。
「防災と大学」をテーマに18大学が参加。本学をはじめ、神戸大学、神戸常盤大学短期大学部、兵庫県立大学、神戸親和女子大学、流通科学大学の6大学が、それぞれの事例報告を行いました。

阪神・淡路大震災から17年を迎えた2012年1月17日、学際教育機構防災・社会貢献ユニット生※が参加した神戸市立港島小学校との連携授業が行われました。
1年生は「防災カルタ」、2年生は「防災ダック」(防災カードゲーム)といった、1年生から6年生まで、それぞれ異なる防災学習の教材で授業やアドバイスを行いました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組

2012年1月17日、「1.17メモリアルウォーク2012」に連動し、ポートアイランドキャンパスから神戸市の東遊園地を経由し、HAT神戸までの約6kmを歩く催しが行われました。神戸学院大学の職員や本学学際教育機構防災・社会貢献ユニット生※のほか、東北福祉大学の学生と職員が、帰宅訓練コースを約2時間かけて歩きました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組。

2012年1月17日、TKK3大学連携プロジェクトのフォーラム「追悼の夕べ~阪神・淡路大震災を思い東日本大震災を憂う」が、ポートアイランドキャンパスで開催され約50人が参加。
神戸学院大学学際教育機構防災・社会貢献ユニット生※による阪神・淡路大震災の被災状況や復興に携わった方々の提言などをまとめたビデオ上映のほか、東北大学、工学院大学、東北福祉大学の学生がボランティア活動を報告するなどしました。
※2014年、現代社会学部社会防災学科に改組。

震災当時の追体験を行うことで、災害時の帰宅訓練をするとともに防災意識を高めようと「1.17ひょうごメモリアルウォーク2013」を2012年に引き続き開催。
神戸学院大学の職員と学生が参加し、ポートアイランドキャンパスから東遊園地を経由するHAT神戸までの約6・5キロのコースを歩きました。

2013年8月7日から9日にかけて、TKK3大学連携プロジェクトのカリキュラムである神戸学院大学担当の夏期集中講義「災害ボランティア学」が実施され、3大学の学生が参加。
避難所運営に関するワークショップを中心に行われ、最終日には、現地に行かなくともできるボランティア活動などを体験しました。

2013年10月、宮城と神戸の大学生が交流する「神戸招へいプログラム」により、東北福祉大学を含む宮城県の4大学の学生が3泊4日で神戸市に滞在しました。
神戸学院大学の学生が実行委員となって対応し、懇親会やワークショップなどを実施。交流が深まるとともに、相互に復興を学ぶよい機会となりました。

2014年2月、東日本大震災の被災企業での職業体験を通じて、復興の進捗や課題について学ぶ「復興支援インターン」に、神戸学院大学の学生が参加しました。
インターンでの活動は、仮設施設で事業を再開した鮮魚卸「足利本店」で座学を受け、主にメカブやモウカザメの出荷作業を手伝いました。

2014年9月5日、ボランティア活動支援室や現代社会学部社会防災学科などが緊急募集した「丹波市土砂災害ボランティアバス」に学生が参加。
豪雨災害で大きな土砂被害を受けた兵庫県丹波市において、屋内の土砂を拭き取る作業、屋外の泥かき作業、屋外の清掃等の作業を行いました。

阪神・淡路大震災以降、その教訓を次世代に伝えつつ、防災教育に力を入れてきた学校・大学・NPOが実行委員会を結成。震災から20年を迎え、アメリカなど海外や関西からゲストを招き、災害、減災の取り組みや地域のつながり、若者の参画などについて意見を交わし、参加型・体験型のワークショップを開催しました。

日米4都市の研究者らが集う「日米草の根交流プログラム 災害後の地域復興における市民参画 経験、試練、そして教訓の意見交換」をポートアイランドキャンパスで開催しました。

2015年10月、台風18号で大きな被害を受けた茨城県常総市で、水害ボランティア活動を実施。先遣隊(参加学生6名)、第2陣(同10名)が参加しました。
ボランティア学生らは、茨城空港から公共交通機関を利用して常総市に入り、2泊3日で家屋やがれき、田畑の片づけのほか、今後の支援に生かすため市内の視察も行いました。

2016年1月9日、阪神・淡路大震災から21年を前にグランフロント大阪北館のナレッジキャピタルで現代社会学部社会防災学科がワークショップ「みんなDEつくろう★安全・安心なまちづくり」を実施。
実験助手と学生がスタッフとして参加し、参加者とともに災害から命を守る行動を考えました。

2016年5月21日~5月22日にかけて行われた、平成28年熊本地震緊急支援ボランティア(第2陣)の活動報告を実施しました。
布田川断層帯の近くで甚大な被害を受けた、布田地区の被災家屋の片付けについての活動の報告を行いました。

2016年8月、9月1日の防災の日を前に、本学の「防災女子」のメンバーと栄養学部の学生が大丸梅田店とタイアップした企画「ローリングストックで味わう・備える!おいしい常備食フェア」を実施。
「ローリングストック」は、日持ちする食材を消費しながら買い足して、災害に備える手法。フェア当日は缶入りスープやシリアルなどが並ぶコーナーで、常備食を活用したレシピを掲載したチラシを配りました。

経営学部の学生が、2017年3月11日にノエビアスタジアムで開催された「東日本大震災復興応援チャリティーイベント」に参加。
株式会社ブルボンと神戸市との産学官連携として共同開発した、神戸開港150年「白のアルフォートミニチョコレート塩バニラ」の販売を行いました。

2018年2月4日、花巻温泉ホテル千秋閣で開催された「地域防災力向上シンポジウムin岩手2018」に、防災女子に所属する学生が参加。
東北で防災女子として活動を行うのは、今回が初めて。開催当日は、会場内で災害食アレンジ紹介と試食を実施し、本プログラム内で事例発表とパネルディスカッションを行いました。

2018年3月24日に開催されたイベント「神戸国際防災フェスティバル2018『避難訓練コンサート』」の、コンサート本番中に災害が発生した想定で行われる避難訓練に本学学生が参加。
ホール内ロビーでは、「防災女子」がコープこうべとコラボしてローリングストック活用レシピの試食や、吹奏楽部による演奏会を実施しました。

2018年3月、現代社会学部は、徳島県立総合大学校の「大学等サテライトオフィス開設支援制度」を活用し、関西圏の大学としては初めて、徳島県海部郡美波町のミナミマリンラボにサテライトオフィスを設置。
サテライトオフィスで南海トラフ巨大地震に対する県民の意識を高めるための効果的な方法を提案するためのフィールドワーク調査を行っていきます。

アスティとくしまで開催された「地域防災力充実強化大会in徳島2018」に、防災女子のメンバーが参加。開催当日は、会場受付周辺でポリ袋調理のデモストレーションや27品目アレルギー対応非常食の試食、ステージではミニトークに登壇して、“やってみたくなる防災”を伝えました。

“かえっこしながら楽しく防災を学ぼう”をテーマに、兵庫県内を中心に防災教育、防災啓発に取り組む様々な団体が一同に集結するイベントに栄養学部の学生が参加。伊藤智助教が生活協同組合コープこうべと連携し、災害時の「食」について考えるプログラム「BOSAIキッチン」やBOSAIリレー講座にて講演を行いました。

2019年6月、大阪市生涯学習まちづくり市民大学「いちょうカレッジ」のいのちを守る防災コースが同市立総合生涯学習センターでスタート。「必ずくる 南海トラフ巨大地震」をテーマに講義とワークショップを行いました。

2019年7月30日、兵庫県公館大会議室で、「震災を風化させない−『忘れない』『伝える』『活かす』『備える』」を基本コンセプトに、ひょうご安全の日推進県民会議が主催する「阪神・淡路大震災25年総合フォーラム」が開催。パネルディスカッションに、パネリストとして防災女子の学生が参加しました。

2019年9月1日、大丸神戸店と本学のコラボ企画、もとまちこども大学「BOSAI★キッズフェスタ」を防災の日特別記念企画として開催。巨大災害に備え、助け合うために必要なスキルや家庭での備えに関する情報を、体験しながら学ぶ参加型防災イベントで、現代社会学部社会防災学科の学生がスタッフを務めました。

神戸学院大学と兵庫県との「地域創生に係る包括連携協定」に基づく防災・減災の取り組みの一つとして、大手菓子メーカーの「ブルボン」と兵庫県の協力を得て共同開発した「ひょうごBOSAI天然水」が商品化されました。2019年10月8日、県庁で記者発表を行いました。

有瀬キャンパスの大時計と震災

阪神・淡路大震災発生時から停止していた明石市立天文科学館のシンボル、大時計。神戸学院大学では、震災の記憶を語り継ぐモニュメントとして譲り受け、1997年、有瀬キャンパス内に設置。地震発生直後の午前5時46分を指して止まったままだった針が、再びその時を本学で刻むことになりました。

学長挨拶

阪神・淡路大震災から25年を迎えて

1995年1月17日の阪神・淡路大震災から25年を迎え、改めまして犠牲になられた多数の方々の御霊に対して衷心より哀悼の意を捧げます。

神戸学院大学は、震源地に最も近い総合大学として、この25年間、防災と社会貢献を重要な柱の一つとして、大学運営を進めてまいりました。

震災直後には、被災した明石天文科学館の大時計を譲り受け、震災の経験を風化させないという思いを地域の方々と共有していくため、有瀬キャンパスの中心に設置しました。

また、防災・社会貢献に関する教育・研究を推進するために、2006年には学部横断型の教育プログラム「防災・社会貢献ユニット」を立ち上げ、さらにはこの分野の教育・研究を充実させるために、2014年に開設した現代社会学部に全国初の「社会防災学科」を設置いたしました。この学科には、社会の役に立ちたいという強い思いを持つ若者たちが集まってくれています。

この25年間、ボランティア活動にも力を注いできました。教職員と学生が協働して被災地や地元でのボタンティア活動を推進してきた成果として、2005年にボランティア活動支援室を開設し、専門スタッフと学部の枠を超えた学生スタッフを配置することで多様なボランティア活動を牽引しています。

震災25年を契機に、これまでの取り組みを振り返りますとともに、今後も兵庫・神戸の大学として、地域の方々とともに、防災・減災、地域社会の安心・安全への取り組みを力強く推進していく所存です。

神戸学院大学学長
佐藤 雅美

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