常設展示のご案内

未来の暮らしをソウゾウする神戸学院大学 安全・安心‐暮らしと健康‐

本学は、創設者であり初代学長の森茂樹博士が、「将来、予防医療が重視される時代となり、栄養学がその大きな役割を担っていくこと」を強く認識し、日本初の男女共学の栄養学部を設置し開学した大学です。それは、人のくらしを考えるのに「健康、そして暮らしにおける安全と安心」が大切だからだと考えたからです。時代の流れと共に受け継がれ、9 番目の学部が開設された今でも息づく本学のひとつのテーマでもあります。

今回、ナレッジキャピタル The Lab.に、神戸の大学として参加するにあたり、神戸学院大学のテーマの1 つである、「安全・安心」そして「暮らしと健康」をコンセプトに2つの体験型の展示を実施いたします。

2016年度の開催内容
未来の暮らしをソウゾウする 神戸学院大学 安全・安心-暮らしと健康-

安全・安心 ~暮らし~ 防災の気づきを学ぶ

阪神淡路大震災から20年。震災をきっかけにつくられた学際教育機構 防災・社会貢献ユニットで培ったノウハウを継承・発展させた新たな学科として社会防災学科を2014年4月に開設しました。
その社会防災学科を中心に、神戸から「防災の気づき」を関西の中心都市である大阪で発信します!

展示期間:一期 2016年8月20日(土)~9月18日(日)、二期 2016年11月18日(金)~12月17日(土)
『プレート境界型地震及び津波発生装置』 ⁄ 現代社会学部 社会防災学科 准教授 中山 学

2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)が発生し,東日本大震災となり、早や5年半が経過しました。
それまでに、三陸沿岸への地震の影響はなかったのでしょうか?
平安時代前期の869年に貞観地震、1896年6月に発生した「明治三陸地震」、1933年3月の「昭和三陸地震(明治三陸地震のアウトライズと言われています)」によって津波被害が発生しています。このほかに、1960年5月のチリ地震(Mw9.5)で被害を受けました。
その際に大きな被害を受けた大船渡町(当時)では写真-1のような標識、JR東日本大船渡駅では写真-2のような標識が見られます。
しかし、2010年2月27日に発生したチリ大地震(Mw8.8)による津波で避難指示や勧告が出た地域の住民のうち、避難所などで実際に避難が確認された人の割合はピーク時でも3.8%にとどまり、06~07年に津波警報が出た際の避難率よりも大幅に低くなっていました。
岩手県釜石市では、大津波警報で全住民の1/3を超える約150,000人に避難指示が出ましたが、避難所で確認できた住民はピーク時でも950人でした。平常時の防災意識が如何に重要であるかが分かります。
地震調査研究推進本部から2011年1月11日に発表された地震発生確率では、宮城県沖地震は今後30年以内にマグニチュード7.5ならば99%でした(図-2参照)。このような状況で東北地方太平洋沖地震は発生し、残念ながら約20,000人の方々が尊い命を失いました。

図-1 三陸沿岸の既往地震

図-2 今後30年以内の発生する確率
(地震調査研究推進本部 at Jan.11th,2011)

写真-1 津波警告の標識(1)

写真-2 津波警告の標識(2)

2011年以降、南海トラフ巨大地震に対する注目度が高まっています。
小さい地震により発生する津波(L1津波)も含めて、どのように対応すればよいのでしょうか?
「どのような津波が来るか分からないので、すぐに逃げよ」と主張される方も多くおられます。
「最低限の物理的対応」をした後、1,000年に一度程度の津波(L2津波)に対しては、すぐに逃げるという考え方が必要ではないでしょうか?
すなわち、東日本大震災からの復興まちづくりの基礎となる都市基盤整備は、防潮堤(写真-3参照)や河川水門(写真-4参照)などの海岸保全施設を整備し、津波を防御しつつ、それでも超えてくる津波に対しては避難する という「多重防御」と呼ばれる考え方になってきています。

写真-5 高台移転用盛土工事状況(陸前高田市)

写真-4 河川水門工事状況(岩手県県土整備部)

写真-3 防潮堤工事状況(岩手県県土整備部)

1854年の安政東海・南海地震から162年、1946年の南海地震から70年が経過しました。
5年前の巨大地震級の地震となった場合(2004年発表の震源域の2倍)には、最悪のシナリオでは約320,000人の死者・行方不明者が出ると予測されています。
海溝型地震による津波の中で、比較的よく起こるという程度と巨大地震による大きな津波の違いをご用意した模型で体感してください。ご来場をお待ちしております。
写真-6 模型による津波襲来の様子

展示期間:一期 2016年8月20日(土)~9月18日(日)、二期 2016年11月18日(金)~12月17日(土)
『防災クイズ』 ⁄ 現代社会学部 社会防災学科 教授 前林 清和

神戸学院大学は、阪神・淡路大震災の震源地に最も近い総合大学として、9年前に学際教育機構「防災・社会貢献ユニット」を立ち上げ、防災や社会貢献の専門家を育ててきました。その実績をもとに2014年4月全国で唯一、防災を体系的に学ぶ社会防災学科を新設。災害に強く人にやさしい温かみのある安全な社会づくりに貢献できる人材を育成しています。学生を主体としたアクティブラーニングを特徴とし、防災の専門的知識、それらを社会に役立てるための考え方や技能を学び身につけた人材を社会に排出しています。また、防災に関する最先端の研究や防災教育、防災教材などの開発を進めており、これから起こる災害時の被害を少なくするために活動しています。
ところで、わが国は、災害大国と言われるように、地震や津波、火山噴火、台風、風水害、土砂災害、豪雪、竜巻など様々な災害が多発しています。これらの災害から命を守り、救うために最も大切なことは、防災学習を通じて市民ひとりひとりの防災力をアップさせることです。

今回の展示では、子どもたちが、気軽に楽しく防災を学ぶことができる教材、デジタル防災クイズを展示しています。ぜひ、家族みんなで会場に来ていただき、見るだけでなくクイズを解いたり、模型を揺らしたりしながら、防災の知識を身につけてください。災害は、忘れたころにやってくるのではなく、いつもやってきます。防災を身近なものにすることが命を守ることにつながります。

安全・安心 ~健康~ 健康の大切さを学ぶ

開学当時は、栄養学部のみでしたが、現在では、薬学部、総合リハビリテーション学部と3つの専門性から「健康」を支える学びと研究を行っています。今回は、栄養学部と総合リハビリテーション学部のコンテンツを通して「健康の大切さ」を神戸学院大学から発信します!

展示期間:一期 2016年8月20日(土)~9月18日(日)、二期 2016年11月18日(金)~12月17日(土)
『認知症予防に向けた 計算アプリ』⁄ 総合リハビリテーション学部 作業療法学科 助教 梶田 博之


認知症の人の数は2012年の時点で約462万人と推計されており、2025年には700万人を超えるともいわれています。現在のところ、認知症を根本的に治療できるような方法や薬物は開発されていないため、認知症は日本のみならず高齢化の進む世界の国々において、大きな社会問題となっています。その対策として重要なことは、まずは認知症にならないようにすることです。認知症になる要因はさまざまありますが、普段の生活習慣も認知症の発症に大きく影響しており、運動や趣味活動などを意欲的に行っていくことで、認知症になるリスクを軽減することができるといわれています。

私たちは近年広く普及しているタブレット端末を利用し、この端末にインストールしたアプリケーションソフトを高齢者が行うことで、認知症予防に向けた活動ができないかと考えました。今回は、その第一弾として開発した計算ソフトを展示しています。このソフトは計算問題の種類や解答方法などが選択でき、簡単な設定にすることで認知機能が低下した人でも実施できるように設計しています。そのため、認知症予防だけではなく、認知症の人が症状の進行スピードを抑制する目的としても使用可能です。
もちろん、計算ソフトを実施するだけで認知症が予防できるわけではありませんので、このソフト以外にも脳のさまざまな機能を必要とするようないくつかのソフトを現在検討、開発中です。これらを組み合わせて継続的に行うことで、楽しみながら認知症予防ができればと考えています。

展示期間:二期 2016年11月18日(金)~12月17日(土)
『ローリングストックで備える災害時の食事』⁄ 栄養学部 助教 伊藤 智

みなさんは、災害に備えて食料を備蓄していますか?
阪神淡路大震災、東日本大震災など、大きな災害を経験している日本人でも、食料を備蓄している家庭の割合は47.4%と半数に満たない現状です。これは「災害は起きない」「備蓄しても無駄になってしまう」「非常食はおいしくない」などの思い込みが原因だと思われます。
そもそも、なぜ食料の備蓄が必要なのでしょうか。災害時はライフラインが寸断され、水や電気、ガスの供給が止まってしまい、いつも使用している台所で調理できなくなってしまいます。また自治体などでは、地域の住民全員に行き渡る量を備蓄しておらず、道路が閉鎖されてしまった場合、食料を輸送する手段が無くなってしまいます。
災害はいつ発生するか、分かりません。
神戸学院大学では、備蓄率向上を目指し、昨年度から食材を使いながら(ローリング)、備蓄する(ストック)する「ローリングストック法」を紹介しています。定期的に使うことを前提としていますので、保存期間は半年程度で済みます。そのため、保存する食品の幅が広がり、自分好みでおいしい食品を備蓄することや、高血圧や糖尿病など持病がある人やアレルギー体質の人も安心して食べられる食品を備蓄しやすくなります。

また災害時こそ、普段食べている食事が望まれます。ポリ袋調理は一度に複数の味付けのメニューを調理でき、洗い物も少なくすることができる点から、災害時に適した調理法だと考えられます。今回は栄養学部の学生が、ローリングストックできる食材を使って、災害時に摂取不足となるたんぱく質や食物繊維、摂取過剰となる塩分などに配慮して、平常時にも被災時にもおいしくポリ袋調理できるレシピを考案しました。
ぜひ展示をご覧いただき、ご家庭の備蓄品について、被災した際に家族が生活するうえで問題ないか、備蓄量は不足していないかなどを見直すとともに、ローリングストック法を活用して家族一人ひとりに適した備えを実践してください。

2015年度の開催内容はこちら ⇒2014年度の開催内容はこちら