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認知症の人にやさしい
まちづくり研究プロジェクト
総合リハビリテーション学部
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神戸市
先進的な認知症「神戸モデル」を
神戸市と協働し全国に先駆け推進。
少子高齢化が進む現在において、国は「認知症初期集中支援事業」を策定。自治体に具体的なアクションプランの推進を求めています。神戸市でも、7年ほど前からモデル事業の立ち上げに着手。医師や保健師、ケアマネージャーなど医療・福祉の分野から多職種の専門家が集まりチームが発足。認知症対策に本格的に取り組むことになりました。その後、目玉となる認知症「神戸モデル」の策定作業がスタート。その一員として参加したのが、認知症の専門医である神戸学院大学総合リハビリテーション学部の前田潔特命教授です。
「2007年、愛知県で認知症の方が引き起こした列車事故に対して、JR東海は運行に著しい支障をきたしたとして家族への損害賠償を請求。最高裁で否決されましたが、この問題を憂慮した神戸市長の発案で、認知症の人とご家族のための認知症対策モデルづくりを進めてきました。自治体に専門家や研究者が内部に入って協働した例は全国でもほとんどなく、その意味で大きな挑戦でした」。前田特命教授は、そのように当時を振り返ります。
2019年1月、事業プランは認知症「神戸モデル」として施行され、1年後には約17,000人の方々が制度を利用。当初、6,000人を目標としていた数値を大幅に上回る成果を上げることができました。現在、名古屋市や横浜市など同様のプランを取り入れる自治体が増えています。
「制度開始直後から次々と窓口に応募の電話がかかり、利用者は事前の予想を遥かに超えることに。この結果に結びついたのは、診断の助成だけにとどまらず、認知症と認定された後の事故などへの救済制度が充実しているからではと考えています。このことで、神戸市民の早期診断のハードルが下がり、医療の基本である“早期発見・早期治療”へと導くことができるようになりました」と、前田特命教授。
「認知症の人にやさしいまちづくり研究プロジェクト」は、神戸市の支援によるものです。さらなる検証と分析を行ってモデル事業の随時見直しを図り、認知症「神戸モデル」を他の自治体へ、そして国の施策へと広げる。そうした目標を持ち活動し続けます。

チーム員会議


コーディネーター会議
チーム員会議、コーディネーター会議
認知症初期集中支援事業のチーム員会議、コーディネーター会議の様子。医師、保健師、社会福祉士などが集まり、それぞれの専門性から可能な支援、必要な支援についての意見を交換。神戸市では、他の自治体に先駆け認知症対策に早期から取り組み、広報誌などを通じて熱心な啓発活動を行っています。

神戸モデル
認知症「神戸モデル」は、診断にかかる費用を神戸市が助成する「診断助成制度」と、診断の結果、認知症と認定された人が起こした事故に対して神戸市が保険料を負担する賠償責任保険等が付帯されていることが大きな特徴。手厚いサポートにより、認知症の早期発見につながると期待されている。
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