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神戸天然物化学
寄附講座 核酸創薬研究
総合リハビリテーション学部
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神戸天然物化学株式会社

核酸医薬分野を独自の研究で開拓。
難病治療に新たな光を。

幼少期から筋力低下が始まり、いずれは死に至る“不治の病”とされてきた遺伝性の疾患・筋ジストロフィー。中でもデュシェンヌ型は最も発生頻度が高い病で、長らく完全な治療方法は存在していませんでした。その難題に、長年取り組んできたのが、神戸学院大学総合リハビリテーション学部の松尾雅文特命教授です。これまで、2009年から2012年までの期間に行われた国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との研究では、基礎研究から臨床研究への橋渡しの促進を目的とした事業を神戸天然物化学株式会社と協働で実施するなど、難病治療に道を開く研究を行ってきました。

「デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、遺伝子の作用を変えることで治療できることを提唱しました。私は独自に研究を積み重ね、その治療法を見出しました。遺伝子機能の変化を促すのは、アンチセンス核酸とよばれる物質。こうした物質を含む核酸医薬を開発することで、病気の治療を目指しています」と、松尾特命教授。現在は、第一三共株式会社において治験が実施され、新たな核酸医薬実現に向けた可能性を探る段階に入っています。

本寄附講座は、神戸天然物化学株式会社の協力により、さらなる核酸医薬の応用を目指して発足したもの。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究費を用いて、筋ジストロフィーに合併する筋萎縮の治療を目指したアンチセンス核酸医薬の開発に取り組んでいます。また、糖原病という先天代謝異常症の治療薬も第一三共株式会社と共同研究し、治療薬を見出してきました。現在、ヒトでの効果確認の治験が準備されています。

「これまで、先天性の難病治療研究に膨大な時間を費やしてきました。私が解明したアンチセンス核酸による遺伝子配列の操作法を応用すれば、どんな疾患でも治せる可能性があります。アンチセンス核酸は遺伝子の働きを変える作用を発揮する薬なので、今後さまざまな病気の治療へと応用が広がると期待されているのです」と、笑顔を見せる松尾特命教授。これからより一層多くの薬が開発され、多くの人々を救い、希望をもたらすことが期待されています。

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