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現代社会学部の学びとは

医療や福祉などの現場で、異なる専門職がお互いに連携し合い
患者や利用者、家族に対して最適なケアやサービスを提供する。
現在、さまざまな専門職が協働して行う包括的ケアの重要性が高まっています。
本学では、そうした流れに対応できる人材を育成するために、
専門職連携教育(IPE)に取り組んでいます。

医療・福祉系国家資格をめざす学生を対象に
専門職連携の授業がスタート

「地域の保健医療福祉分野でリーダーシップを発揮しながら、人々の健康増進や暮らしの向上に寄与できる専門職の育成」。そうしたビジョンのもと2010年度より専門職連携教育(IPE)を実施しています。2017年3月には、IPEのさらなる充実を図るため、IPE推進ワーキンググループを発足させ(2018年4月にIPE運営委員会へ改称)、IPEを単位化しました。その後、2018年4月に神戸市の後援事業としての認定を受け、同年10月には神戸市看護大学とも連携協定を締結。

対象は、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、公認心理師、看護師など、国家資格をめざす学生。初年次から高年次にかけて段階的に授業を開講し、自らがめざす専門職の知識・スキルを深めるとともに、専門職連携の実践力を身につけることができます。

専門職連携教育(IPE)とは
Inter Professional Education=IPE
連携やケアの質を向上させ、患者・利用者・家族・地域中心のケアやサービスを提供するために、複数領域の専門職が同じ場所でお互いに学び合いながら、他の専門職に対する理解や連携を深めていく学習法です。


ポートアイランドキャンパスでIPEを実施

1年次生を対象にした授業が2018年9月と10月にポートアイランドキャンパスで開講され、薬学部・栄養学部・総合リハビリテーション学部・心理学部と神戸市看護大学の学生、約120名が参加。

1日目は、チームをつくることからスタート。学生が、お互いに打ち解けるための時間「アイスブレイク」を設けながら意見を交換し合うことで、自身と他の専門職の理解を深めました。2日目には、これまでに病気をされた経験のある方、または家族が疾病に罹患し介護をされた経験をもつ地域の方をお招きし、グループごとにお話を伺いました。専門職連携の第一歩となる「当事者理解」として、学生たちがそれぞれの専門職の立場から質問し情報を整理し、意見を集約して発表しました。

また、明石市で特色ある地域医療を実践する、ふくやま病院の理事長、譜久山剛氏が登壇。専門職連携の実際や地域医療における活動状況について語っていただきました。最後に春藤久人副学長から、「できないことがあるのは伸びしろだと考えて勉強し、今後もIPEの授業に継続的に参加して成長を実感してほしい」とエールが贈られ閉講しました。

実施後のアンケートでは、「参加する前は不安だったが他学部の学生と交流できたのでよかった」「他の専門職のことを知ることができ有意義だった」「実際の患者さんの声を聞けて専門職としての実感が湧いた」「次回もぜひ参加したい」など、前向きな感想が多数寄せられ、充実した授業となりました。

より実践的な内容を数多く盛り込み
地域が求める“専門職連携の実践力”を鍛える

今、地域で求められているのは、医療・福祉施設の中だけでなく地域に出て行き、複数の専門職と連携して行う健康管理や指導、在宅ケアといった、人々の暮らしを健康的に豊かにするための包括的な知識や技術を身につけた専門職です。また、兵庫県や神戸市など、本学が立地するエリアでも、保健医療福祉分野の人材が今後不足してくることが予想されます。こうした現状を踏まえ、本学でもこれまで任意のプログラムとして実施していたIPEを、正式なカリキュラムの一つに位置づけました。

本学のIPEの特徴は、座学だけではなく、実践的かつ多彩な演習や実習を多く盛り込んでいることです。実際の現場につながる内容を豊富に用意することで、専門職連携の実践力をより多く修得できる内容になっています。参加した学生も、私たち教員が予想していた以上に熱心に取り組み、IPEの趣旨をしっかりと学びとってくれています。

今回ご紹介したIPEは、4段階の最初のステップ。今後は、学内での実習のほか、専門職連携チームで地域に出向き、実際に地域の人たちと触れ合う機会を設ける予定です。地域に支えられているIPEで学んだ学生が卒業後は地域の保健医療福祉分野で活躍し、チーム医療の担い手となって地元へ貢献していく。それを大きな目標に、今後もプログラムの充実を図っていきたいと考えています。

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