学生に活動の視点を伝える、大学のボランティアコーディネーター
神戸市外国語大学ボランティアコーナー職員 木場佳壽子さん
取材:学生スタッフ広報班 八瀬慎子(人文学部)
普段着が着物だという木場さん。木場さんは神戸市外国語大学(以下、神戸外大)のボランティアコーナーで9年間働いている。コーナーでは、一般の学生に広くボランティアを紹介し、活動に参加してもらい、ボランティアは「楽しい」、「素敵な活動」ということに気付いてもらうために仕事をしているという。
以前は「先生」と呼ばれる仕事に就いていた。しかし、先生だからというところで変に気負ってしまい、自分らしく動けないことに違和感を覚え始めていた。その頃、高校時代によく通っていた駄菓子屋の前をふと通りがかったとき、おばさんが「お久しぶりですね」と声を掛けてくれた。20年以上も経ってもなお木場さんのことを覚えていたのである。その時、木場さんは「子どもの教育は親や先生だけでなく地域の人たちも成長を見守って下さっているのだな」と気が付いた。そして、「近所のおばちゃん的ポジションで学生と関われるボランティアコーナーの仕事が自分には合っているのではないのか」と感じたのだそうだ。
現在、神戸外大のボランティアコーナーの学生スタッフと地域の共催で、学園都市駅周辺に住む障がいのある子どもたちや兄弟が集まり、地域福祉センターで遊びを通じてふれあう「なかよしのお楽しみ会」(以下、なかよし)が毎月1回行われている。
「一見、子どものためのボランティアかと思われがちですけど、実はそれだけじゃないんです」。
なかよしが始まったきっかけは、神戸外大の女子学生が、近所に住むダウン症の子どもの家に通い、個人的に勉強を教えていた。ある時、子どものお母さんが女子学生に、地域でうまく溶け込めない我が子のことについて悩んでいるということを相談し、それを知った木場さんは「障がい者の支援も大切だけど、親御さんが地域で孤立しないようにする手立てはないか」と考え、なかよしの設立を思い付いたのである。
「なかよしのときは、必ず親御さんが後ろで見守って、親同士で会話されているんです。子どもの支援も必要ですが、本当の目的は親御さんのサポートなんですよ」。
「7年間続けているなかよしの活動が、最近地域の方に認知されるようになってきたんです」と嬉しそうに話していた木場さん。「これからもっと地域と連携して、学生と一緒にまちづくりをしていきたい」と力強く意気込んだ。
今回取材させて頂いたボランティアコーナーは学生がにぎやかに談笑する暖かい部屋であった。地域からも学生からも愛される木場さん。これからも「近所のおばちゃん的存在」として活躍してもらいたい。
- 編集後記
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明るい笑顔で取材に応じてくださった木場さん。初めての取材で戸惑う私を温かくむかえてくれました。私は、以前からなかよしのボランティアに参加させていただいていており、子どもが大好きな私にとっては夢のようなボランティアです。そこで木場さんとも面識があり、今回学生記者の依頼が来たとき「木場さんをインタビューしてみたい!」と強く思いました。それが実現することができて本当に嬉しいです。
この記事を読んで木場さんの魅力が伝わっていたらいいなと思います。また、まだ一度もボランティアをしたことがないという方にも「ボランティアしてみようかな?」という気持ちになってもらえたなら幸いです。