本学学部生・大学院生を対象に実施した「『森茂樹物語』感想文コンテスト」に、39点もの作品をご応募いただきました。
厳正なる審査の結果、下記の通り、大賞と特別賞が決定しました。
「徳、真理、愛の人間性を育てることと真理愛好の精神を昂揚することが、文化発展の根源である」(森茂樹物語より)。
私は彼の述べた式辞の言葉に思わず感嘆した。森茂樹物語を通して、彼の幼い頃に培った母からの感性、留学を通じて学んだ学習への意欲、大学創設への熱意は非常に興味深かった。
彼の物語を語る上で欠かせないのが、教育熱心な母親の存在であろう。時代に捉われず、女手一つで三人の子供を育て、森裁縫女学校を設立した彼女は、彼の大学設立を決断させた不撓不屈の精神を築いたといっても過言ではない。母の期待に応え、多くの人に愛された彼の壮大な理想、夢を追いかける野心に、私は感銘を受けた。
今年の夏に母を亡くし、自暴自棄になっていた私は、学びへの意欲はなくなっていた。しかし、森茂樹の人生は自分自身を見つめ直すきっかけになった。より一層、彼の掲げた「真理愛好・個性尊重」の精神のもとで学べることを誇りに感じた。
彼を一言で表すとすれば、まさしく「熱意に溢れた夢見る男」であるといえよう。苦労して体質医学の権威となるも、それに満足することなく、当時の日本人男性の平均寿命である68歳を超えた72歳という高齢ながら、男女共学の四年制大学を創ることを決意し、全国を並走したという彼の功績から後進への期待がうかがえる。また、彼が掲げた建学の精神である「真理愛好・個性尊重」からは、彼が実感したであろう、学問への探究を通じて物事の本質を探る楽しさ、他者の個性や考えを尊重する大切さを知ってほしいという想いが伝わってくる。我々も神戸学院大学の学生として、森茂樹という男の意を汲み、夢を見るだけでなく夢を実現させる努力を惜しむことなく、また、大学での学びを社会で遺憾なく発揮できるよう、引き続き勉学に励みたい。