―2026年年頭にあたってのご挨拶―

年頭にあたり、謹んで新春のお喜びを申し上げます。
4月に学長就任以来2ヵ月ほどは、学外へのご挨拶や、学内のさまざまなことを知るためのスケジュールに身を委ねているだけであったことを思い出します。
もちろん就任前から、大学を良くするために何をすべきかを毎日考えていましたが、実際に行動に移せたのは5月の半ば頃からだったと思います。そして、この原稿を書いている今までがあっという間に過ぎ去ったというのが正直なところです。
新年を迎え、そろそろ新米学長のドタバタから抜け出し、縮小社会という大学のみならず広く社会の危機ともいうべき状況に対処して参りたいと思います。
まずは、冒頭でこのことを皆さまにお伝えし、より良い大学づくりのために、皆さまのご協力とご支援をお願い申し上げます。
1 社会に貢献する大学に
大学が関わるべき社会課題は多岐にわたりますが、中でも「縮小社会にかかる課題」「防災・災害後の復旧と復興にかかる課題」「自然科学分野の人材不足」といった課題については、本学としても積極的にかかわる必要があると思います。
学長として、経営者、自治体首長、行政職員の方々とお話をする機会が多くあります。その際に必ずと言ってもよいほど、災害への備えと、企業・自治体の郡部における採用難が話題に上ります。また、このところ急速に進展するAIテクノロジーへの対応や、学生の理系離れなどの話題は皆さまお聞き及びのとおりかと思います。
本学の10学部8研究科の研究力と教育力があれば、これらの課題解決に資する具体策の提示や、課題解決に当たる人材の育成などに十分な貢献ができるように思います。
新年にあたりスーパー自治体職員養成の夢を描いてみました。まずは自治体職員の土台として人文学を学びます。そして、法学・経済学・経営学でそれぞれの基礎力を養います。社会防災学・社会リハビリテーション学によって専門的な応用力を身に着けます。現代社会学・グローバル・コミュニケーション学によってそれを社会で実践する力を広げます。もし、こんなことができたらどんなに素晴らしいことでしょうか。
栄養学、薬学、リハビリテーション学、心理学を学ぶ学生が、それぞれの領域に加えて文系の素養を身に付けることができたら、どれほど厚みのある専門家になることでしょうか。
夢は夢として措くとして、本学が今まで積み上げてきた研究力・教育力を用いて、本学が注力している社会連携力をもって、さまざまな取り組みを実現することで、社会に貢献する大学であり続けたいと思います。
2 後世に残る大学に
18歳人口の減少は大学経営に大きな影響を与えます。これに対処して後世に残る大学とするために具体的な計画を実行に移すことが必要です。
年頭にあたり、三つのことを考えてみたいと思います。
一つ目は大学進学者数減少への対策です。ただしその対策として、進学者減に応じて単純に収容定員を減らす、という考えに留まることは避けたいと思います。社会ニーズに合った教育の実践と質の向上により、結果として有為な人材を社会に送り出すことができれば、大きく定員を減らすことなく合理的な運営も可能だと考えます。その一つが「社会に貢献する大学」の項で夢として述べた学際領域のプログラムです。幸い、本学にはスポーツサイエンス・ユニットという実践知があります。これからの時代に求められる教育について、皆さまから意見をいただけると幸いです。
二つ目はターゲットの拡張です。一つ目と重なるところもありますが、社会人を対象としたリカレント・リスキリングについて、大学院の活性化とも合わせて考えていく必要があると考えます。ある大学に、現役の開業医が押し寄せるMBAコースがあると聞きました。医療機関経営が難しくなった昨今、具体的なニーズに応えた成功例と言えるかもしれません。
いずれにしましても、具体的な目的に応えるコース、さらに言えば、企業・行政と連携した実利のある資格・学位プログラムの検討も重要と考えます。これについても、皆さまからのアイデアをいただけると幸いです。
三つ目は、本学の特徴ともいえる2つのキャンパスの在り方です。マザーキャンパスであり西の拠点である有瀬キャンパス、神戸らしい景観を誇るポートアイランドキャンパス。この2つのキャンパスは本学を象徴するもので誇りともいえるものです。ただ、開学60周年を迎える本学には、当たり前のことですが60歳を迎える建物・施設があります。もちろん適宜修繕を図り、有瀬キャンパスのトイレなどは最新の設備にリニューアルしていますが、これからの10年を見据えると、キャンパス全体の再整備を検討する必要があります。
ポートアイランド第2キャンパスの有効活用についても、さまざまなアイデアが浮かびますが、いずれも具体性をもったものではありません。
本年は、こういった課題を丁寧に解決して、後世に残る大学に向けて進む年としたいと思います。
3 学生の力を信じて
学長就任時の記事にも幾度となく書きましたが、本学学生の前向きな姿勢には希望を感じます。学長昼食会、課外活動場面での交流、学生が主体となるプロジェクトへの参加などを通して、その感を一層強くします。
いつの時代にも「今どきの若者は」と、とかく批判的に評される若者たちですが、大学で仕事をされる皆さんは、彼らの持つ力がよく分かると思います。
教育職員、事務職員の別なく、本学1万1千余人の学生の力を信じて夢を描くのは大学で働く私たちに許された醍醐味とも言えます。
学生たちの力を信じ、社会に貢献し後世に残る大学となりたいと思います。
大学60年周年の節目を迎える本年が、本学にとって新たな一歩を踏み出す輝かしい年となることを祈って、年頭のご挨拶といたします。
