合格者からのメッセージ[1]フロントライン

新司法試験は特に条文と判例がすべて 実際の事件も生きた教材に 平岡 健太郎さん

私は、大阪市内に住んでいる事もあり自宅中心で勉強しておりました。私の場合、勉強と睡眠にそれぞれ8時間、その他の生活のバランスも考え毎日をやりくりしていました。勉強は、やるときは集中してやる、その他の時間は勉強の事は考えないというふうにメリハリを付けました。そうして、きっちりと勉強したからこそ新司法試験に合格したのだと思います。

受験をするにあたって、もっとも勉強しなくてはならないことは、やはり条文と判例です。とにかく、1年次生の時から、まずは条文と判例を中心に勉強していただきたい。そして、ある程度勉強が進んでおられる方も、自分がきちんと条文と判例をおさえているか冷静に謙虚な姿勢で、かつ厳しい目で再確認していただきたいと思います。何となく分かっているというのは、それは分かっていないに等しいからです。100のあいまいな知識よりも、1つの確かな知識のほうが確実に合格に結びつきます。そうしたことを、しっかり肝に銘じていただければと思います。

もう一つ大切な事は、常に、実際に起こった事実そのものを意識して勉強する事が大切だということです。判例についても法解釈論の部分だけでなく、その背後に存在する事実についても意識して勉強していただきたいと思います。今年の本試験の中で、主張反論について論ずる必要のある問題が出題されました。この時私は、法解釈の違いという視点からだけではなく、事実分析の違いという視点からも論述しました。例えば、問題文中の事実の摘示として「それは結構だ」という、事件当事者の発言があったのですが、この言い方は、状況によっては「それならもう必要ない」という否定的な言い方にもとれるし、「それならOKですよ」という肯定的な言い方にもとれます。つまり、同じ一つの言葉(事実)であっても、その時の状況によって180度違った意味のものとして解釈することができるのです。ですから、事実を分析して、主張反論を展開するということも、重要なことではないかと思います。

在学生の方には、普段から最新のニュースなどを教材にして、それぞれの事実がどのような判例や条文に当てはまるかといったことを考える作業を習慣付けることをお勧めします。事実認定・事実分析に関する力を強化する、非常によい実践的なトレーニングになると思います。

プロフィール

1971年生まれ

大阪市立大学法学部(第二部)卒業。学業と並行して和菓子メーカーに勤務。退社後、司法書士を経て神戸学院大学法科大学院入学。

好きな言葉:

「正直者が馬鹿を見る世の中であってはならない」

法曹界を志す方・後輩へのメッセージ:

旧来の司法試験では、その合格率の低さ故に、努力が結果として報われないことが少なくありませんでした。しかし、この新司法試験は、旧試験に比べて努力が結果に結びつく試験であると思います。決して自分の実力を過信し自惚れることなく、地道に謙虚な姿勢でたゆまぬ努力を続けられた方にはよい結果が待っていると思いますし、また、そのような方に我々の後に続いていただきたいと思っています。

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