合格者からのメッセージ[2]フロントライン

しっかりした基礎固めと社会人としての勘で難関を乗り切る 冨士﨑 真治さん

私は、法学部ではなく情報学部を卒業して、音響会社でSEとして働いていました。そして、一念発起して法曹の世界に飛び込みました。法律など全く分からずゼロからスタートして法律を3年間必死で勉強し、今回、初めての新司法試験に合格することができました。

法律に関して門外漢だった私が、今回最短で合格できたのは、恩師の方々にご指導いただき、主体的に勉強するということができたからだと感じています。まず、私が勉強において重要視したのは、実務法学の基礎である条文と判例の部分です。最初は、はっきりと意識して、この基礎の部分たる条文・判例を徹底的に勉強することが大事だと思います。

基礎をきっちり固めたら、その法律の基礎を、紛争に適用して「紛争の解決」に導くということを勉強します。この部分こそが、実務法学の核心であると思います。ここでは、各種の紛争事案に、法律を適用していくという作業をするわけですが、重要となってくるのは、社会経験の蓄積だと感じました。法律の抽象的な文言と、紛争事案にある各種の事実には、やはり距離があります。両方をつき合わせてすんなり「あてはまる」ということはあまりないかと思います。この距離を測るモノサシが、社会経験に基づく勘、あるいは、法律用語での経験則であるような気がします。このような勘や経験則を用いて、いろいろな事実が詰まった事案を分析して法律構成を上手に簡潔にまとめること、法律の抽象的な文言と事実を結び付けるための論理を展開をすること、も重要であるかと思います。

ただ、今回、完全な素人である私が合格できたのは、何よりも本学の先生方に熱心にご指導いただいたおかげだと思っています。法律に関して右も左も分からなかった私を受け止めていただけると直感し、その先生方を信じてついていって本当によかったと思います。こうして、自分の学力を伸ばしていただける先生方に師事することができたのも、社会人としての勘が冴えた結果なのかとも感じています。

プロフィール

1976年生まれ

流通科学大学情報学部経営情報学科卒業、TOAエンジニアリング株式会社入社。退社後、神戸学院大学法科大学院入学。

好きな言葉:

「明確な目的樹立、そしてくるいない実施方法、そこまでのことは頭脳が考える。しかしそれを水火のなかで実施するのは頭脳ではない。性格である。平素、そういう性格をつくらねばならない」
― 秋山真之の言葉: 「坂の上の雲」 司馬遼太郎著 より抜粋

法曹界を志す方・後輩へのメッセージ:

自分の頭で、法曹になるためにはどうすべきかを考え、主体的に行動・勉強してください。努力の方向を誤ることなく、どれだけの努力ができたかで勝負が決まります。独りよがりになり努力の方向を間違わないよう、恩師に相談したりして自己の客観的な状況を把握してください。的確に情報を集めて合目的思考をしつつも、素直に、丁寧に、謙虚に、自分は受かると信じて、信じるに値する努力をすれば、運も味方をしてくれるはずです。

フロントライン 一覧