学長インタビュー3フロントライン


新学長に聞く ―神戸学院大学の現在、そしてこれから 神戸学院大学 学長 岡田芳男

「真理愛好・個性尊重」の精神を再確認し、
基礎を身に付けた学生を社会に送り出したい

神戸学院大学 学長 岡田 芳男

私は高校時代、柔道部で毎日練習で汗を流す生活を送っていました。柔道の技には基本の“型(かた)”があります。まず、その型を身につけるために練習を何度も繰り返します。そして、その型を修得した者は、次にその基本の型を組み合わせた応用の習得を目指します。応用の型も自分のものにしてしまった達人は、最終的に独自の型をあみ出すこととなるのです。このように、基礎の積み重ねとその習得なくして達人にはなれないのです。この “型”の話を大学教育に当てはめますとまさに柔道と同じで、まずしっかりとした基礎を学生たちに身に付けてもらうことこそが本学における教育の第一前提であると考えます。この基礎教育をしっかりと学生たちに習得してもらうということなくして、地域社会など外の社会からの協力要請に応えることはできないのではないでしょうか。そのためには、今までのように学部ごとで学びの質のレベルを上げていくとともに、学部間の垣根を低くして相互の協力態勢をさらに強化することも必要でしょう。

今年度から、基礎教育においては従来の教養総合教育科目に代わる新しいプログラムとして共通教育機構が始まりました。共通教育機構では、基礎思考力、基礎実践能力の育成と、広い視野と柔軟な思考力の育成を主な目的としており、学生が将来の進路を考える際に役立つ多彩なカリキュラムが多数用意されています。学生たちの中には、薬学部の薬剤師や栄養学部の管理栄養士のように、国家資格取得という明確な目的を持って入学する学生がいる一方で、明確な目的を持たず漠然とした意識で入学してくる学生もいます。そうした学生であっても、在学中の4年間で何らかの答えを見つけてしっかりとした基礎学力を身に付けて社会に出ていっていただきたいと思います。本学には、その答えをつかむきっかけとなるカリキュラムがたくさん用意されています。

こうした基礎教育の充実と共に大切なのが、学生によりよい教育サービスを提供できる教職員の質を向上させることです。学生たちに満足感を持って学んでもらうには、彼らに学問に集中できる環境を作ってあげなければなりません。そのため本学では、FD(ファカルティディベロップメント)やSD(スタッフディベロップメント)というプログラムを実施し、教職員の指導を行っています。ただ、私自身も含めてですが、教職員の皆さんには、このFDとSDの制度があるからということではなく自身の質を向上させる意欲を強く持って、改善すべきところがあれば率先して改善し職務に当たってほしいと思います。

栄養学部のみでスタートした本学は、当初、少数の学生と少数のスタッフが共に協力しあい、こつこつとまさに手作りで現在の規模にまで発展させてきました。今では、卒業生が約6万人、そして今の学生たちやその家族も合わせれば大変大きなファミリーを形成しています。本学には、同窓会のほか、こうした学生の家族で構成される教育後援会など、本学の発展に尽力していただいている組織があります。こうした力も借りながら、本学の建学の精神である「真理愛好・個性尊重」の精神をさらに強く意識し、われわれ教職員も一丸となって学生の教育にあたっていきたいと考えています。学生たちには、真理とは、本当の正義とは何かを判断できる能力を身に付けてもらい、相手の個性も尊重できるような人物に育ってくれることを望みます。そして、社会からは学力のみならず人間性においても「神戸学院大学の学生は基礎がしっかりしている」という高評価をいただけることを願っています。そのためには、創立当初の精神を今一度確認しながら、地道な努力の積み重ねで教育の質を上げていく事しかない。そう確信しています。

そして、学生たちに青春時代の貴重な4年間を本学で過ごしてもらうのですから、保護者の方共々「神戸学院大学に入って本当によかった」と思ってもらえる大学でありたいと願っています。一生の友人に出会える課外活動に精を出すのもよいでしょう。1年間、海外に留学するのもよいかもしれません。本学で何かを見つけ、自分のものにして欲しいと思います。

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