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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2025/02/04 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
日本の法と政策/Japanese Law and Policy
授業コード
/Class Code
BB01441001
ナンバリングコード
/Numbering Code
GCJh007/GCJk004
開講キャンパス
/Campus
ポートアイランド
開講所属
/Course
グローバル・コミュニケーション学部/Global Communication
年度
/Year
2025年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
後期/AUTUMN
曜日・時限
/Day, Period
木3(後期)/THU3(AUT.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
宮本 健吾/MIYAMOTO KENGO
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
宮本 健吾/MIYAMOTO KENGO グローバル・コミュニケーション学部/Global Communication
授業の方法
/Class Format
対面授業(講義)、対面授業(実習)
授業の目的
/Class Purpose
本講座では、外国人に関する法律について、当該法律の趣旨や立法過程に関する日本政府の政策的観点を踏まえて講義を行います。本講座を受講することで、来日した留学生の方々が、就職、婚姻、出産、帰化、相続といった人生の各転換期において困ることがないよう、必要な知識や経験、情報収集の方法を学ぶことができます。
また、留学生だけでなく、外国人に関わる業務や支援に携わっている方、あるいは今後その可能性がある方にもぜひ知っていただきたい内容となっています。
本講座の担当者は、国際業務を専門とする行政書士事務所を開業して20年目を迎える実務経験豊富な教員です。実務的な観点から、入管行政および日本における外国人政策について講義します。
到 達 目 標
/Class Objectives
就職や起業の場面においては、学生自身が自らの意思で就職後(起業後)の在留資格変更や、その後の永住に至るまでの注意点を理解し、日本政府が収集する自分の情報やデータについて把握できるようになることで、在留資格変更許可申請や永住申請をスムーズに進めることが可能となります。
また、婚姻、出生、相続といった渉外戸籍の分野においては、各国の法律や政策を理解することで、婚姻や相続手続きが円滑に進むようになります。
さらに、帰化(日本国籍取得手続き)に関しては、日本政府の裁量が大きい分野ではあるものの、自らの意思で日本国籍を取得するための知識や準備ができるようになります。
そのほか、日々報道される外国人に関するニュースを、法律や政策的観点から深く理解できる力も身につけることが期待されます。
授業のキーワード
/Keywords
就職,不法就労,人手不足,起業,入管,国際結婚,国際離婚,偽装結婚,国際相続,出産,永住,帰化,日本人,外国人,同性婚,自然災害
授業の進め方
/Method of Instruction
本講座は基本的に講義を中心に進めますが、日本政府への情報開示請求など、実際に申請を行うことで情報収集の方法を実践的に学べるよう、実習を取り入れた内容にしています。
また、外国人の方々の各ライフステージを「入管業務」、「渉外戸籍(婚姻、死亡)」、および「帰化(日本国籍取得手続き)」の3つに大きく分け、それぞれのテーマに沿って講義を展開します。学生自身にも各ステージを意識しながら受講していただける構成となっています。
履修するにあたって
/Instruction to Students
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
日々の外国人に関する法律の制定などを確認するため、可能であれば、月曜日から金曜日まで毎日、日本政府が発表するパブリックコメントの確認と官報のチェックを行ってください。(確認時間:5~10分程度)
また、外国人政策に関して国がどのように動いているのかを把握するため、日々のニュースもチェックしてください。例えば、特定技能2号、特別高度人材制度、技能実習の廃止および育成技能などに関する情報を確認してください。(確認時間:20分程度)
以上の学習に加え、予習・復習を含めて1時間程度行ってください。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
レポートに関しては、授業中に説明します。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
授業中の取り組み70%(出席、授業中の発言、小テスト等)、レポート30%。
テキスト
/Required Texts
講師オリジナルテキスト(講義の第1回目で印刷したものをお渡しします。)。また、随時テーマに応じた資料も授業毎に用意し、配布します。
参考図書
/Reference Books
授業の初回に、第1回から第15回までに対応するテキストを配布します。さらに学習を深めたい方は、『詳説 入管法と外国人労務管理・監査の実務 -入管・労働法令、内部審査基準、実務運用、裁判例-〔第3版〕』の講義で学んだ該当ページを、講義後に読むことをお勧めします。
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ガイダンス これから学ぶ入管法およびその周辺知識を俯瞰して理解することで、その後の講義をよりスムーズに受講できるようにします。
具体的には、外国人の方が入国してから大学に通い、就職や起業を経て結婚し、家族を持ち、その後永住や帰化によって日本国籍を取得し、さらに相続が発生するまでの一生の流れについて、具体例を交えながら、皆さんが頭の中でイメージしやすいように講義していきます。
2 第2回 入管法~入国編 日本に入国する際の条件について説明します。本講義では、日本に入国・上陸するための基本的な条件や、国籍、パスポート、査証(ビザ)などについて解説します。
また、偽装結婚を例に挙げながら、「活動の非虚偽性」などの概念について、映画を通じて学んでいきます。
3 第3回 入管法~在留資格編 日本の最高法規である憲法と在留資格との関係に言及した上で、日本で活動するために必要な在留資格について講義します。
現在、在留資格は明らかになっていないものを除き、29種類存在します。外国人の方が取得できる在留資格は1つのみであるため、どの在留資格が適切であるかを正確に判断できるようになることが重要です。そのため、本講義では日本に存在するすべての在留資格について、それぞれの特徴や関連性を含めて詳しく講義します。
4 第4回 入管法~在留する際の基礎知識編 在留中に知っておきたい基礎的な知識として、日本からの出入国時に必要な再入国許可、上陸拒否の条件、中長期在留者の定義、アルバイトをする際の資格外活動許可、在留資格変更や在留期間更新の手続き、特例期間、退去強制、在留資格の取消、在留資格不正取得罪、さらには年金や税金に関する事項について学んでいただきます。
これらは細かな知識ではありますが、知っておくことで、後の永住申請や帰化申請、また人災や自然災害が発生した際に、日本での在留生活を支える助けとなる内容です。
5 第5回 就労系の在留資格① 留学生の方が就職活動を行う際には、日本人と同様の就職活動に加えて、就職先で働くために必要な在留資格を取得できるかどうかという点も考慮することが重要です。この観点を欠いたまま就職活動を行った結果、企業から内定は得られたものの、就労系の在留資格への変更が認められず、実際に働けないという事態が発生する可能性があります。
そこで、本講義では、留学生の方が卒業後に関わることの多い就労系の在留資格の中でも、特に関係の深い「技術・人文知識・国際業務」に焦点を当て、その在留資格該当性などについてより詳しく説明します。この講義を通じて、留学生を含む外国人の方が希望する仕事を見つけ、日本での在留を実現できるよう講義します。
6 第6回 就労系の在留資格② 第5回目で解説した「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格の上位資格にあたる「高度専門職1号・2号」や、「特定活動46号」、さらにアルバイトから正社員登用される場合に使用されることがある「特定技能」について講義します。
高度専門職を目指すことで、日本での永住申請が卒業後最短1年で可能になるといったメリットがあります。また、「特定技能」という在留資格は、「技術・人文知識・国際業務」に比べて留学生の間では人気が高くないものの、永住申請や家族の帯同が可能な「特定技能2号」への道がほぼすべての特定技能分野で開かれています。これらの点を踏まえ、それぞれの在留資格の特徴やメリットを詳しく講義していきます。
7 第7回 就労系の在留資格
(事例検討)
これまで学んできた入管法の基礎や就労系在留資格の取得に関する考え方を基に、解決方法や視点を入管側、申請者側、そして会社側のそれぞれから検討していきます。
具体的な事例を一緒に検討することで、これまでの知識を整理し、実際の外国人の方の就職活動に役立てられるようにします。
さらに、就労系在留資格変更時の申請書の書き方や、申請書に記載されている各項目の意味についても詳しく解説します。加えて、申請におけるよくある勘違いや注意点についても併せて講義します。
8 第8回 情報開示請求(ワーク) 外国人の方が入国されてから現在までの出入国記録や在留資格変更、在留期間更新、住所の変遷といった履歴の調査方法について説明し、実際に出入国在留管理庁への情報開示請求を行います。(封筒2枚、ご自身の住民票、収入印紙300円をご用意ください。)
この情報開示請求の過程を通じて、日本国政府への情報開示請求の手順や、請求時に必要な添付書類の準備方法を学びます。また、自分自身で日本国政府が保有する情報を取得する方法についても習得します。
その後、第1回目から第7回目までに学んだ内容を確認するための第1回目の小テストを実施します。
9 第9回 経営者の在留資格① 留学生の中には、日本企業に就職し、数年後に起業する方や、卒業後すぐに起業する方もいらっしゃいます。
しかし、外国人留学生が起業する際の情報は限られており、インターネット上の真偽不明で不正確な情報に頼っているケースも少なくありません。
そこで本講義では、外国人留学生が大学卒業後、または企業に就職した後に、自身の会社を設立し、実際に経営を行うための在留資格への変更手続きまでの一連の流れを詳しく講義します。
さらに、起業を支援するために行政が実施している政策や支援制度についてもご紹介します。
10 第10回 経営者の在留資格② インターネット上では、経営・管理の在留資格は500万円以上の投資をすれば必ず取得できるという噂があります。
しかし、実際にはそれだけではなく、当該計画が実現可能であるか、また実現可能だとしても、数年にわたって会社を維持できるかどうかなど、検討すべき事項があります。
そこで、本講義では、外国人留学生が留学の在留資格で大学を卒業し、起業したという想定のもと、経営・管理への在留資格変更時の申請書の注意点や、入管が求める事業計画書の書き方について講義します。
11 第11回 渉外戸籍&在留資格
(結婚編)
日本に長く住む中で、人によっては結婚や出産、日本人の養子になるといった状況が生じる場合があります。
結婚する場合でも、同国人と結婚するのか、日本人と結婚するのか、あるいは同性婚をするのかによって、在留資格が取得できるかどうか、また取得できる場合の条件が異なります。
そこで、本講義では、結婚された夫や妻、またはパートナーを来日させ、日本で長期的に同居することを希望される場合について、結婚から家族として日本に在留するまでの流れを講義します。
12 第12回 永住申請 在留資格における最終的なゴールの一つである永住許可申請についてお話しします。
永住申請では、日本に入国・上陸してから原則として10年間の居住が求められるため、就職後の給与収入や学校生活を含め、日々の法令遵守が重要となります。
そのため、可能であれば在学中から意識して準備を進めることで、予定通りに永住申請ができるよう、本講義ではそのポイントについて講義します。
13 第13回 帰化申請 日本人になるための手続きである帰化申請についてお話しします。
日本では二重国籍が認められていないため、日本人になるためには現在有している外国籍を喪失し、国籍を一つにする必要があります。同様に、出生時から二重国籍の方も将来的には国籍を一つに統一する必要があります。
また、永住申請と同様に、日々の収入や法令順守が重要な要素となります。本講義では、第12回目に実施した永住権に関する内容との違いを含めて詳しく講義します。
14 第14回 渉外戸籍
(国際相続編)
出生時(帰化を含む)に外国籍であった方が亡くなった場合の相続手続き(亡くなった方の財産を後世に引き継ぐ手続き)について講義します。
相続手続きは国ごとに異なる規定が定められており、手続きの煩雑さから相続を放置してしまうと、その間に相続人が亡くなることで新たな相続(数次相続)が発生し、問題がさらに複雑化する場合があります。
本講義では、皆さんにとっては遠い将来の話かもしれませんが、このような事態を防ぐために、相続を考える際の法律の適用方法、相続財産の分割割合、相続人の特定方法について、日本、中国、韓国、台湾の相続制度を比較しながら講義します。
15 第15回 災害と入管行政・政策 地震大国である日本においては、地震を含む自然災害がいつ発生するか予測することは困難です。また、数年前に世界的に発生した新型コロナウイルス禍をはじめ、世界規模の災害や国家(地域)間の戦争・紛争も、いつどのように発生するかを予測するのは難しい状況にあります。
そこで、本講義では、災害・戦争・紛争などが入管行政に与えた影響について、これまでに学んだ知識を踏まえ、どのような問題が発生し、日本政府がどのように対応したのかを説明します。
この講義を通じて、日常からかけ離れた異常事態に対し、自身の知識や経験を活用して対応し、予測する力を養ってもらいます。
その後、第1回目から第15回までに学んだ内容を確認するための第2回小テストを実施します。

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