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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2024/04/15 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
医薬品ナノテクノロジー/Pharmaceutical nanotechnology
授業コード
/Class Code
K000561001
ナンバリングコード
/Numbering Code
開講キャンパス
/Campus
ポートアイランド
開講所属
/Course
博士/
年度
/Year
2024年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
後期/AUTUMN
曜日・時限
/Day, Period
土4(後期)/SAT4(AUT.)
単位数
/Credits
1.0
主担当教員
/Main Instructor
市川 秀喜/ICHIKAWA HIDEKI
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
市川 秀喜/ICHIKAWA HIDEKI 薬学部/Pharmaceutical Sciences
藤井 文彦/FUJII FUMIHIKO 薬学部/Pharmaceutical Sciences
授業の方法
/Class Format
対面授業(講義)
授業の目的
/Class Purpose
この科目は,薬学研究科のDPに示す3項目のうち,1を目指す.
(DP: https://www.kobegakuin.ac.jp/education/gs/pharmacy/)

ナノスケールでの「もの作り」技術であるナノテクノロジーが各種産業分野で脚光を浴びている.この傾向は医薬品分野やライフサイエンス分野においても例外ではない.このような時代の趨勢に対応し,あるいは工学的色彩を強く帯びた技術を自領域で活用するためには,ナノテクノロジーの正確な理解が基本となる.この科目では,ナノテクノロジーの特徴,有用性,問題点に関する基本的知識,応用面における最先端知識を修得する.
到 達 目 標
/Class Objectives
1.ナノテクノロジーの概念と有用性について説明できる.
2.ナノテクノロジーの医療応用における主な利点と問題点を列挙できる.
3.ナノマテリアルの特性について説明できる.
4.ナノテクノロジーと製剤技術の関わりについて説明できる.
5.ナノテクノロジーを用いた病巣診断や疾患治療の代表例を列挙できる.
6.ナノスケールにおけるイベントの観察・計測技術の例を列挙できる.
授業のキーワード
/Keywords
ナノテクノロジー,ナノマテリアル,ボトムアップ法,ブレークダウン法,ナノメディシン,リポソーム,デンドリマー,ナノゲル,薬物送達システム,マイクロパーティクル,放出制御,ナノ構造制御,粒子設計,がん治療,中性子捕捉療法,次世代DNAシーケンサー,蛍光色素,半導体ナノ結晶, 蛍光相関分光法,超解像イメージング, クライオ電子顕微鏡,近赤外分光法,2光子顕微鏡,光音響イメージング
授業の進め方
/Method of Instruction
主としてパワーポイントを用いて講義を進めます.
履修するにあたって
/Instruction to Students
この科目は,物理化学,熱力学,製剤学,製剤工学,薬剤学,細胞生物学,有機合成化学等を基礎として,これらの学術専門分野にまたがる複合的な内容で構成されます.したがって,受講前にそれら個々の専門分野に習熟しておくことを望みます.

オフィスアワー:随時(不在にするときもありますので,事前に電子メールで在室確認してください)

担当教員の連絡先:
ichikawa@pharm.kobegakuin.ac.jp(市川秀喜)
fumihiko.fujii@pharm.kobegakuin.ac.jp(藤井文彦)
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
事後学習として,講義の対象であったパワーポイント資料を再確認してください(目安として0.5時間).また,各講義の内容を整理し,自身の研究テーマとの関連を積極的に見出すようにしてください(目安として1時間).
提出課題など
/Quiz,Report,etc
各回の講義終了後に提示される課題についてレポートの提出を求めます.
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
授業中の質疑状況30%,レポート70%として評価します.
テキスト
/Required Texts
講義のパワーポイントスライドを印刷配布します.
参考図書
/Reference Books
・Edward L. Wolf・著『ナノ構造の科学とナノテクノロジー』共立出版
・産業技術総合研究所ナノテクノロジー知識研究会・著『ナノテクノロジーハンドブック』日経BP社
・小石眞純・著『もっと知りたいナノ粒子の世界』日刊工業新聞社
・ナノパーティクルテクノロジーハンドブック編集委員会・編『ナノパーティクルテクノロジーハンドブック』日刊工業新聞社
・片岡一則・監『医療ナノテクノロジー -最先端医学とナノテクの融合』杏林図書
・田端康彦・編『絵で見てわかるナノDDS』メディカル ドゥ
・Joseph R. Lakowicz・著『Principles of fluorescence spectroscopy』Springer
・Richard Turton・著『量子ドットへの誘い』Springer
・白木賢太郎・著『相分離生物学』東京化学同人
・尾崎幸洋・編『近赤外分光法』講談社
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回(市川) ナノテクノロジーの概念とナノマテリアル ナノテクノロジーの基本的なコンセプトを理解するために,はじめにナノスケールの世界とはどのようなものか,そこに現れる特徴的な性質は何かについて学ぶ.また,ナノテクノロジーの展開にはその基盤となるナノマテリアルの創製も欠かせない.ナノマテリアルは,一般に,「少なくとも一次元の大きさが100 nmより小さい」物質をさし,そのサイズゆえに,バルク材料とは異なる様々な特徴的な性質を有する.ここでは,金属,無機,有機物質のうち,ライフサイエンス分野に関わりのある代表的なナノマテリアルの例を挙げ,それらの基本的な特性を学ぶ.
2 第2回(市川) ナノメディシンとナノキャリア ナノメディシンは,ナノテクノロジーを応用した医療行為や技術,概念を指す.ナノテクノロジーを製剤技術に応用して,ナノメートルサイズの構成要素をもつシステムとして創出される医薬品も,薬物治療の精密化を支える重要なナノメディシンとして大きな期待が掛けられている.ここでは,ナノメディシンの中核となるナノメートルサイズの各種キャリア(ナノキャリア)に焦点を当て,それらの基本的特性を学ぶ.
3 第3回(市川) 医薬品分野におけるナノテクノロジーの利用:その1 医薬品開発や薬物治療の現場では,つねに医薬品の適正使用,安定供給,有効性,安全性および安定性を担保するための薬物の加工,すなわち製剤化の知識と技能が求められる.ナノテクノロジーは,薬物到達システムをはじめとして,こうした製剤化のための新しい技術開発に利用されようとしている.
その1〜その3では,医薬品分野におけるナノテクノロジーの応用研究事例を取りあげ,その特徴や課題について議論する.その1では,難吸収性医薬品の代表例であるペプチド性医薬品について,その経口投与のための刺激応答性ナノゲル粒子の設計について学ぶ.
4 第4回(市川) 医薬品分野におけるナノテクノロジーの利用:その2 ナノメディシンに大きな期待が掛けられている対象疾患のひとつに,がんが挙げられる.その2では,がんの重粒子線治療法の一種である中性子捕捉療法を取り上げ,そのナノキャリアの粒子設計について学ぶ. 
5 第5回(市川) 医薬品分野におけるナノテクノロジーの利用:その3 ナノテクノロジーは,ナノキャリアの開発に留まらず,錠剤や顆粒剤などの汎用製剤のナノ構造制御による機能化技術としても利用できる.その3では,こうしたナノ構造制御による薬物の特殊放出制御型微粒子製剤の事例について学ぶ.
6 第6回(藤井) 光計測のためのナノマテリアル テーラーメイド医療の基盤となるゲノムシーケンシングは,光計測を用いたナノテクノロジーの代表例である.ここでは,「光とは何か」,どのような計測法に利用されているかを学ぶと同時に,特に蛍光を用いた光計測のための標識用ナノマテリアルについても学ぶ.
7 第7回(藤井) 細胞内微環境を観察するための光計測 細胞内の環境はナノインフラと呼ばれる微細な構造から成り,その中で動作する生体分子は1種のナノマシーンである.そのような環境と分子の挙動を把握するために,様々な光計測法が開発されている.ここでは,並進拡散を計測するための蛍光相関分光法を中心に,細胞内微環境と生体分子の挙動を把握するための光計測法について学ぶ.
8 第8回(藤井) 回折限界を超えた構造を観察するための光計測 光計測,特に光イメージングでは,光の回折限界のために空間分解能が約200nm以上に制限されており,ナノメーターサイズの細胞内微細構造を正確に観察することは出来なかった.ここでは,回折限界を超えた超解像イメージング技術を中心に,超微細構造を正確に観察するための技術について学ぶ.
9 第9回(藤井) 生体深部を観察するための光計測 ヒトを含む多細胞生物は,ナノメーターオーダーの分子や構造が幾重にも重なって組織や器官を作り上げている.そのため,同程度の波長光に対しては強い散乱体であり,生体深部を可視化することは難しい.ここでは,生体に対して比較的透過性が高い近赤外光を用いた光計測法を学ぶと同時に,光以外を用いた生体深部イメージング技術についても学ぶ.
10 第10回(藤井) 細胞内相分離と光計測 細胞内には膜によって区画化されたオルガネラと同時に,核小体のように膜が無い(メンブランレス)オルガネラも存在する.古くから認識されてきたメンブランレスオルガネラに加えて近年,生体分子が濃縮され相分離した状態が見出された.ここでは,薬物治療のターゲットとしても注目されている細胞内相分離の基礎を学ぶと同時に,その特性を明らかにするために利用されてきた光計測についても学ぶ.

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