本学と、この地域に集う人々のために。フロントライン

専門性を生かした地域貢献

兵庫県立伊川谷高等学校との高大連携リレー授業「異文化交流」

本学では、高大連携授業の一環として兵庫県立伊川谷高等学校に各学部より講師を派遣し、高校生に授業を行っています。高校が独自に設けている「学校設定科目」の「異文化交流」授業として実施され、本学の教員や留学生が教壇に立ち、1年間のリレー形式で行われます。日本になじみの深い、いくつかの国についての現状を生徒が学び、他国や異文化理解の促進につなげたいということで、本年4月から実施されています。授業で扱うテーマは、文化人類学や法律、演劇や医薬品、ボランティアなど実に多彩。本学各学部の専門性を生かした、多角的視点による授業が展開されています。

「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」

高齢化社会を迎え、生涯教育の充実が国の方針となるなか、文部科学省の委託事業である社会人向けの教育プログラム「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」が、本学総合リハビリテーション学部に開設されています。高齢者介護現場のリーダーを養成する「高齢者介護を支える人材の資質・意欲向上研修コース」(定員20名)と、障害者の就労促進や生活支援に関わる人材養成を目的とした「障害者の就労促進と就労場所提供者育成研修コース」(定員10名)の2つのコースがあり、いずれも2008年4月より開講され、有瀬キャンパスで授業が行われています。1年間で必要な科目を修得し、修了者には修了証が授与されます。

共通教育科目「地域学分野」

本学の共通教育科目には、兵庫県や神戸市、明石市など、地元地域についてさまざまなテーマを設けて深く学ぶ、「地域学分野」と呼ばれる科目群が設けられています。「地域学入門・講義」「観光学入門・講義」「地域学演習」「地域学キャリア講義・演習」「防災社会貢献入門・演習」「戦略的大学連携ポーアイ教養」などの科目群からなり、2・3年次では実際に現地に足を運んでフィールドワークを行う授業も組み込まれています。

地域を知り、地域に役立つ
人材の養成をめざして

経済学部
角村 正博 教授

経済学部 角村 正博 教授

本学では以前から、明石学や神戸学など、地元地域のことを学ぶ地域学の科目はすでにありました。2007年4月に、それまでの一般教養課程が共通教育科目として再編され、「地域学分野」は神戸学院大学が誇るユニークな分野として、リベラルアーツ科目群の一角を占めることになりました。地域学をはじめ、観光や防災、社会貢献に関する科目がこの分野にまとめられています。現在、全国的にも観光を地元産業振興の核とする動きがあり、兵庫県や神戸市、明石市も例外ではありません。そのため、地域学分野のなかに観光学を組み込んだわけです。ただ、ホテルや旅行業界など直接的な観光産業だけでなく、広い意味での“ホスピタリティ産業”として、神戸学院生の有力就職先である地域金融業界や人気急上昇中のブライダル業界なども視野に収めています。そうした産業の地元企業から講師を招いて業界について語っていただくなど、学生の就職活動に直接つながる科目も用意されています。地域の活性化は、結局のところ“人づくり”というキーワードに集約されます。「地域学分野」は、ただ単に地域の歴史や伝統を学ぶということではなく、地元に関する幅広い知識を身に付けることで、今の神戸や明石の活性化に役立つ人材を育てることを目的としています。「地域学分野」を通じて、学生が地元企業の方や地域住民の方と触れあうことで、両者の相互理解を促し、学生のコミュニケーション能力の向上を図ることができます。何より、学生には、その存在だけで周囲を元気にするパワーが備わっています。地域学分野の知識を身につけた学生のパワーを地域社会に還元し、活性化につなげていく。それこそが、大学が地域社会に貢献する道なのではないでしょうか。

地域と学び続けて30年―「土曜公開講座」

地域と学び続けて30年―「土曜公開講座」

大学における学問研究の成果を、地域の方々に還元するものとして、1976年から毎年開催されている土曜公開講座は、今年の春で第57回を迎え延べ8万2千人の方が受講されています。記念すべき第1回は、栄養学部創立10周年記念事業として約500名の受講者を迎え開催されました。1995年に発生した阪神・淡路大震災の際には開催が1カ月遅れたものの、このときだからこそ開催すべきとの、地域の皆様から多くの励ましのお声をいただき、「震災復興とまちづくり」「災害と人のからだ」など、震災を体験した地域の人たちにとってまさに知財となるテーマで開催することができました。

その後も毎年、春・秋に各5講座を開催。春期は「私たちのくらしをよくするために」、秋期は「私たちのくらしと文化」をメインテーマに、7つの学部のリレー方式でその時々の話題を取り入れた内容で展開しています。

現在開催中のテーマは、大学院総合リハビリテーション学研究科開設記念として「健康で心豊かにくらしていくために」。総合リハビリテーション学部の教員が、これからのリハビリテーションや介護、福祉用具の役割などについて講義しています。また、受講生の多くは、60歳以上の明石市、神戸市在住の方で、講義の約1時間前から集まりはじめ、お友達と談笑したり、資料を読んだりと、講義室は和やかな雰囲気が流れています。しかし講義が始まれば、講師の言葉に大きくうなずいたり、メモを取ったりと講義を受ける姿勢は皆さん真剣です。受講生の中には、土曜公開講座で刺激を受け、6年間科目等履修生として学ばれた方もいます。
34年目を迎えるこれからも、時代や地域のニーズに応じながら、皆様とともに学び続けてまいります。

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