学士課程教育って何?フロントライン

―若手事務職員で構成する研修グループ「神戸学院未来塾」研修会より [報告]
開催日:2009年1月29日(木)

2008年12月24日に中央教育審議会より「学士課程教育の構築に向けて(答申)」が提言されました。この答申は、「ユニバーサル段階」突入に伴う大学改革の主軸である教育の質保証を掲げるものであり、提言のポイントは以下の3点が挙げられます。

  1. 「3つの方針」(出口・中身・入口)
    学位授与の方針(DP:ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(CP:カリキュラム・ポリシー)、入学者受入の方針(AP:アドミッション・ポリシー)
  2. 環境整備(FD・SD、質保証の仕組みの強化)
    教職員の職能開発(FDの実質化、SDの推進による専門性向上)、質保証の仕組みの強化(PDCAサイクルの確立、第三者評価システムの環境整備、情報公開、大学間連携)、財政支援(財政支援強化と大学の説明責任の徹底)
  3. 取組の主体は、「国」「大学」「大学団体等」

学位授与の方針については、欧米の大学にならい、「何を教えるか」よりも「何ができるようになるか」に力点を置き、「学習成果」の明確化を図っていくことや出口管理(学位授与)を厳格化する必要性について謳われています。

教育課程編成・実施の方針については、「幅広い学び」の保証が必須であり、「学習成果」達成に向けた大学教育の体系化・構造化が求められており、評価に関してもGPAの厳格な適用や学習ポートフォリオの導入など多面的な評価が求められています。

入学者受入の方針については、AO・推薦入試等の「学力不問」選抜を見直し受入方針の明確化を図ることや、初年次教育の充実により広きに渡る学問の基礎的理解を築くことも重要なポイントとしています。

しかしながら学士課程教育の充実には、教職員の協働関係の確立や、SDの推進による専門性の向上が不可欠であり、大学職員の自己啓発は非常に重要なファクターとして考えられます。学生の人材育成を行うにあたり、職員による支援は欠かせない要素であり、個々人のスキルアップが今まさに求められています。

最後に基盤となる財政支援について、国は大学の質保証の取組を支援するために財政支援を行う必要がありますが、対して大学はその責務から社会に対する説明責任(情報公開)を果たす義務があるとの見解が出来ます。大学の財務状況公開等については、こうした観点からも必要不可欠であるといえます。

この答申を受け、大学として、また各グループとして何ができるのか、何をしなければならないのか、一人ひとりが考えなければならないと思います。

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