教育活性化会議が進める学内教育改革の取組 ― 神戸学院大学がさらに発展するために ―フロントライン

2008年12月24日、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会が、今後の大学教育のあり方をまとめた答申「学士課程教育の構築に向けて」を発表しました。今回の答申では、少子化による「大学全入時代」の到来や教育のグローバル化など今日の社会状況を受けて、それぞれの大学が目指す学力レベルや方向性を明確にし、学生の質を高めるために自ら改革を行う必要があると述べられています。また、これまでのような学部単位で縦割りに物事を決定していくということではなく、全学的な視点で教育改革に取り組むことも大学に求めています。本学でも、現在行われている教育を見直し、更なる発展のために改革を実行する機関「教育活性化会議」を2008年7月に学内に設置。さまざまな改革に着手することとなりました。

「学士課程教育の構築に向けて」
―中央教育審議会答申の概要―

【1】基本的な認識

  • グローバル化する知識基盤社会において、学士レベルの資質能力を備える人材養成は重要な課題である。
  • 目先の学生確保が優先される傾向がある中、大学や学位の水準が曖昧になったり、学位の国際的通用性が失われたりしてはならない。
  • 各大学の自主的な改革を通じ、学士課程教育における3つの方針の明確化等を進める必要がある。

【2】主な内容

1.学位授与の方針について座談会はこちら

【現状・課題】
  • 他の先進国では「何を教えるか」より「何ができるようになるか」を重視した取組が進展
  • 我が国の大学が掲げる教育研究の目的等は総じて抽象的
  • 学位授与の方針が、教育課程の編成や学修評価の在り方を律するものとなっていない
  • 大学の多様化は進んだが、学士課程を通じた最低限の共通性が重視されていない
【改善方策の例】
  • 大学は、卒業に当たっての学位授与の方針を具体化・明確化し積極的に公開
  • 国は学士力に関し、参考指針を提示
《学士力に関する主な内容》
  1. 知識・理解(文化、社会、自然等)
  2. 汎用的技能(コミュニケーションスキル、数量的スキル、問題解決力等)
  3. 態度・志向性(自己管理力、チームワーク、倫理観、社会的責任等)
  4. 総合的な学習経験と創造的思考力

2.教育課程編成・実施の方針について 座談会はこちら

【現状・課題】
  • 学修の系統性・順次性が配慮されていないとの指摘
  • 学生の学習時間が短く、授業時間外の学修を含めて45時間で1単位とする考え方が徹底されていない
  • 成績評価が教員の裁量に依存しており、組織的な取組が弱いとの指摘
【改善方策の例】
  • 順次性のある体系的な教育課程を編成
  • 国は分野別のコア・カリキュラム作成を支援
  • 学生の学習時間の実態を把握した上で、単位制度を実質化
  • 成績評価基準を策定し、GPA等の客観的な評価基準を適用

3.入学者受入れの方針について 座談会はこちら

【現状・課題】
  • 大学全入時代を迎え、入試によって高校の質保証や大学の入口管理を行うことが困難
  • 特定の大学をめぐる過度の競争
  • 総じて、学生の学習意欲の低下や目的意識が希薄化
【改善方策の例】
  • 大学は、大学と受験生のマッチングの観点から入学者受入れ方針を明確化
  • 入試方法を点検し、適切な見直し
  • 初年次教育の充実や高大連携を推進

4.その他

【現状・課題】
  • ファカルティ・ディベロップメント(FD)は普及したが、教育力向上に十分つながっていない
  • 設置認可は弾力化されたが、質保証の観点から懸念すべき状況も見られる
  • これらの活動に係る財政支援が不可欠
【改善方策の例】
  • 教員、大学職員への研修の活性化と、教員業績評価での教育面の重視
  • 自己点検・評価の確実な実施、分野別質保証の枠組みづくりのため日本学術会議への審議依頼等の質保証の仕組みを強化
  • 財政支援の強化と説明責任の徹底

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