神戸学院大学

社会連携

土曜公開講座「わたしたちのくらしと薬物依存―国の政策と効果的な支援の在り方についてー」を開催しました

2022/10/18

講座の様子
講座の様子
グラフをもとに説明する春日教授
グラフをもとに説明する春日教授

第84回神戸学院大学土曜公開講座を10月15日にポートアイランド第1キャンパスで開催しました。第2回目となる今回は、法学部の春日勉教授が登壇し、「わたしたちのくらしと薬物依存―国の政策と効果的な支援の在り方についてー」と題し、約60人の受講者が聴講しました。

まず、薬物依存は世界的な課題であり、日本も例外でなく再犯に次ぐ再犯が相次いでいる状況であると紹介しました。そして、薬物が禁止されてきた歴史を振り返り、社会情勢や政治の影響を受けて変化することを説明した上で、カナダやアメリカでは非犯罪化が進んでいること、一方で日本では厳罰化が進んでいることを、新聞記事を見せながら紹介しました。

次に、日本における薬物事犯への国の方針について解説し、薬物に対して厳しい方針を貫いていることを説明しました。日本が処罰を優先してきた理由として、「一番は『取締機関の姿勢』にある」と述べ、「薬物の使用は犯罪である」という図式が日本は定着しており、社会の中で「病気」として受け取られず、医療や福祉につながりにくいという構造に問題があると話しました。あわせて、現在行われている薬物依存症に対する施策や、立法の在り方や報道のされ方等も変化しつつあることを紹介しました。

最後に、薬物中毒の原因に関するアニメーション動画「ネズミの楽園」や、薬物依存回復に向けた各国・国連の取り組みを紹介した上で、「薬物依存の回復のためには、孤独を避けられる環境づくりや治療面でのアプローチが必要である」として、講義を締めくくりました。

受講者からは、「孤独を避け、信頼のおける仲間・人間関係が大切だと学べた」「薬物問題は刑罰だけでなく、福祉の面が必要だと分かった」など多く感想が寄せられました。

次回の第3回目は、10月22日開催の法学部の佐藤一進准教授による「『主権』をときほぐす―『歴史を物語る能力』という観点から―」です。