神戸学院大学

社会連携

<寄稿>TKK3大学連携プロジェクト主催「東日本大震災から10年 未来へ思いを紡ぐ大学生プロジェクト」に1年 取り組んできました

2022/03/11

今年の仙台未来防災フォーラムでは展示ブースを設置しました
今年の仙台未来防災フォーラムでは展示ブースを設置しました
「神戸防災のつどい 次世代を担う若者による防災を考えるつどい」で発表する佐藤菜都さん(右上のオンライン画像は小山菜奈さん)
「神戸防災のつどい 次世代を担う若者による防災を考えるつどい」で発表する佐藤菜都さん(右上のオンライン画像は小山菜奈さん)
宮城県南三陸町の防災庁舎(2014年撮影)
宮城県南三陸町の防災庁舎(2014年撮影)
昨年のキックオフミーティングのオンライン画面
昨年のキックオフミーティングのオンライン画面
第1回オンライン交流会の画面
第1回オンライン交流会の画面
第2回オンライン交流会の画面
第2回オンライン交流会の画面
学生交流もオンラインで実施
学生交流もオンラインで実施

2021年度TKK3大学連携プロジェクト(TKKは東北福祉大学・工学院大学・神戸学院大学)では、未来を担う学生たちの新たなプラットフォームの場となるよう「東日本大震災から10年 未来へ思いを紡ぐ大学生プロジェクト」に1年かけて取り組んできました。以下は社会連携グループの前田緑・同プロジェクト担当からの寄稿です。

2022年3月11日で東日本大震災の発生から11年になりました。
あの日も、金曜日だったことを鮮明に覚えています。

帰宅困難者であふれかえる東京の様子、続々と伝わってくる被災地の津波被害の様子など……。
「何が起こったのか理解することに時間がかかった」
そう話す、当時小学生だった大学生たちは「あの日のことを未来へ伝えていこう」と日々活動に励んでいます。

■全国12大学の学生約70人が「コロナ禍」でも活動
全国12大学の学生たちが約70人登録し、昨年3月のキックオフミーティング以降、各テーマのプロジェクトごとに情報収集やアイデアの出し合い、実践などに取り組んでいく予定でした。

しかし、新型コロナウイルス感染症拡大のため計画は変更せざるを得なくなりました。それでも定例オンライン交流会(全5回)を通して、東日本大震災に関すること、未来に向けての提言・継承をしていくための考え方などを学び、参加したプロジェクトメンバー同士で災害を風化させない強い思いを共有してきました。

現地で被災され復興活動に取り組む人、学生時代から被災地ボランティアに継続的に取り組まれた人、釜石東中学校3年生のときに被災をした人、防災・ボランティアの専門家、発災直後に支援に行けなかったけれど、その後現地の人と繋(つな)がりをもち続けている人など、多くの人々の視点から、あの日のことを知り、どのように伝えていけばいいのかを学んできました。

震災学習の講義のテーマと、お話いただいた講師の皆さんは以下の通りです。
・キックオフミーティング「防災集団移転地あおい地区のまちづくり」小野竹一氏(宮城県東松島市あおい地区会)
・第1回「釜石から命守り、育む力を」久保力也氏・菊池 のどか氏(株式会社 8kurasu)
・第2回「災害体験を語り継ぐ」諏訪清二氏(防災学習アドバイザー・コラボレーター)
・第3回「つながりつづけること」小島汀氏

■思いを多くの人に伝えた「神戸防災のつどい」
この1年取り組んできたことの提言・発表の場として、二つの「発信活動」に取り組みました。

阪神・淡路大震災の発生から27年を前に今年1月16日にポートアイランド第1キャンパスで実施した「神戸防災のつどい  次世代を担う若者による防災を考えるつどい」では、現代社会学部4年次生で、学生グループ「防災女子」の前代表、佐藤菜都さんと東北福祉大学教育学部1年生の小山菜奈さんが登壇しました。

佐藤さんはプロジェクト全体の内容について発表し、小山さんは宮城県気仙沼市での被災体験をオンラインで報告しました。今回が初めての「語り部」としての発表でした。佐藤さんも小山さんもプロジェクトを通じて「つらい被災経験がなくとも、誰かの『語り』をしっかり受け止めて、別の人に(そのストーリーを)『継ぐ』ことをしていいのだと実感し、自分たちから伝えてみようと思えるようになった」と話していました。

■仙台防災未来フォーラムではブースを設置
今月5日に仙台国際センターなどで開催された「仙台防災未来フォーラム」では、展示ブースを出展し、ポスターや動画を用いてプロジェクトで感じたことを、東北福祉大学、東北学院大学の学生が来場者 約170人に説明しました。まん延防止等重点措置の適用延長により、各地から駆け付けられなかったメンバーも写真メッセージや「あの日」を振り返る「2011.3.11の私」と題したメッセージ作成に取り組みました。

また、フォーラムに参加した東北福祉大学、東北学院大学、桃山学院教育大学の学生たちと、現地には行けなかったプロジェクトメンバーがオンラインで学生交流の時間も設けました。「2022年度 このプロジェクトとして取り組みたいことは?」のテーマで、グループワークを実施しました。防災運動会や防災キャンプの企画などのイベントだけではなく、「コロナ禍で、東北へ行けない日々にモヤモヤしていた。来年度は、オンラインで学ぶだけではなく、被災地に出向き、肌で感じ、感じたことを伝えていく活動に取り組みたい」という意欲的な学生もいました。

このプロジェクトを2022年度も継続して実施し、各地の学生がつながり、多くの人へ伝えていく「語り手」となれるよう取り組んでいきます。あの日の記憶を、次世代に伝えていく思いを胸に。