行政研究会

Episode8

行政研究会 合格は目標ではなく通過点。
公務員としてどう働くかを突き詰める。

漠然とした思いで志望していた公務員。
各自治体の研究や首長との意見交換を通じて目指すべき理想の職員像が明確になった。

石野 和香菜さん グローバル・コミュニケーション学部
グローバル・コミュニケーション学科 英語コース 4年次生
※2022年度取材時

行政研究会とは

公務員になることだけを目指すのではなく、志の高い行政職員になるための基礎を固めるために2019年度に発足した学部横断型の有志団体。元市役所職員の大学職員や公務員として働く本学のOB・OGらから行政機関に関する知識の指導を受け、財政面や各部署の役割などを細かく学習。3年次には自分たちで選んだ自治体に毎年6カ所ほど訪問し、首長と意見交換会を行う。「どの現場でどう働きたいか」を突き詰めることで、発足以降、全員が公務員としての就職を果たしている。

漠然と公務員を目指していた石野さん。「行政研究会」に加入し、自治体や行政職員の具体像を探っていく。情報の吸収や発表を繰り返すなかで、読み解く力やアウトプット能力が向上。徹底した準備で臨んだ首長訪問の経験により、さらに飛躍的な成長を遂げる。一連の活動を通じて理想の職員像を見つけ、志望を叶えた。

学びを通じて読み解く力が鍛えられ、
アウトプット能力が向上していった。

「人の役に立ちたい」という漠然とした思いで希望していた公務員。2年次の後半、大学のキャリアセンターへ相談に行った際に知り、加入したのが「行政研究会」だった。まずは職務にも重要な簿記やMOS*の資格取得と並行し、行政機関に関する基礎知識を吸収。元市役所職員である指導者が、難しい事例や言葉をかみ砕き、全員が理解できるまで教えてくれる。決められた仕事をこなすイメージだった行政職員が、実際はとても複雑な課題解決に取り組んでいることがわかった。そして3年次の夏から始まる首長訪問に向け、さまざまな自治体を調査。膨大な情報をインプットする間に、読み解く力が鍛えられた。そこから自分たちなりの意見を模造紙にまとめ、研究会内で発表。何十回と繰り返すなかで、アウトプット能力も向上した。
* Word、Excel、PowerPoint、Accessなどの利用スキルを証明する国際資格、マイクロソフト オフィス スペシャリスト

学びを通じて読み解く力が鍛えられ、アウトプット能力が向上していった。

「ぜひうちの自治体で働いてほしい」
と評価されたことで自らの成長を実感。

仲間と情報共有を重ね、訪ねたい自治体を話し合う。小規模な自治体や財政力指数の高い自治体など、特色ある6カ所に絞り、自分たちで交渉。首長訪問の目的は、あくまで対等なレベルで首長と意見交換を行うことにある。中途半端な知識では太刀打ちできない。各自治体の特徴や課題を徹底的に調べ、シミュレーションを繰り返す。上級生や現役公務員である卒業生の先輩方が熱心に指導してくれ、おとなしく引っ込み思案だった性格まで変わった。いよいよ迎えた本番。最初は思うように話せず、訪問先の職員に勉強不足を指摘され、泣いたこともあった。しかし最後には思いの丈を語ることができ、首長に「これほど深く議論できる学生は初めてだ。ぜひうちで働いてほしい」とまで言っていただけて感激。自らの成長を実感できた。

「ぜひうちの自治体で働いてほしい」と評価されたことで自らの成長を実感。

行政職員として何を成し遂げたいか。
掘り下げることで結果が伴ってくる。

公務員を目指すにあたり、表面上のテクニックでその場をごまかすような対策はしないことが研究会のポリシーだ。どこでどう働きたいかをとことん考え、自分なりの結論を持てば、目標はきっと実現できる。その伝統を信じた結果、私たちの世代も11人全員が内定を獲得。 「地域コミュニティの中心となる職員」という理想像を見いだした私は、市民協働のまちづくりに力を入れている自治体への志望を叶えた。誰よりも市民に近い存在として活動し、将来は市職員のトップである副市長として地域に貢献したい。「石野が副市長?」なんて笑われるかもしれない。しかし視点を定めて努力をすれば無理なことなんてないと、大学生活を通じて知ることができた。だから決して“夢”ではなく、明確な“目標”としてこれを宣言したい。

PROFILE

石野 和香菜さん

石野 和香菜さんグローバル・コミュニケーション学部
グローバル・コミュニケーション学科
英語コース 4年次生 ※2022年度取材時

実践的なコミュニケーション能力が身につくことに魅力を感じて進学。さまざまな価値観に触れることで、自身の視野が広がったと振り返る。公務の現場を見てみたいと、公立図書館の非常勤職員を経験。現在は研究会の後輩への指導にも力を入れている。