Episode.7 法学部
角森ゼミ「模擬裁判」編

模擬裁判で仲間と
熱い討論を交わす度に、
僕は新たな視点を
発見していった。
法学部 4年次生 ※2021年取材時 小林 海斗さん

議論の場で何も主張できなかった悔しさ。
僕は言葉の力を磨くために、
法廷教室に飛び込んだ。

興味があることは、なりふり構わず挑戦する。これまでずっと、僕はそうして生きてきたと思う。高校生の時には、地元で地域創生グループを立ち上げたり、生徒会活動にも力を入れた。何事も積極的に行動していく姿勢。それが間違いなく僕の強みだった。でも、ある時、行動力だけではダメだと気付かされた。他校の生徒会と行う意見交流会で、レベルの高い議論に口をはさむこともできなかった。自分の意見さえも伝えられなかった状況がとにかく悔しくて、腹立たしかった。その出来事をキッカケに、行動力だけでなく、言葉を武器できる人になりたいと思うようになった。そんな時に興味を持ったのが法律。志望学部を法学部に絞って大学を調べていると、神戸学院大学の法廷教室が目に留まった。早速、オープンキャンパスに行き、実際の法廷教室を見学した。「うわっ、本物の裁判所みたいだ!」想像以上に立派な造りに驚いたし、正直、その教室に入った瞬間、僕は一目惚れしていた。その日に行われたプログラムにも参加し、模擬裁判を傍聴した。裁判の中で弁護士役の大学生が事件に対する熱い思いを主張する姿は、まさに僕のなりたい姿そのものだった。「これだ!」と痺れたし、神戸学院大学しか考えられない。そう思った。この舞台に立ち、実践的に法律を学びたい。そして、「言葉を自分の武器」に変えて、もう誰にも負けないくらい成長してみせると僕は誓った。

親の立場で主張する。
それが、20歳の僕の前に
壁として立ちふさがった。

裁判官、弁護士、証人に至るまでゼミ生が役になりきる。それが2年次から始まった模擬裁判。やっと法廷教室を使って、実践的な学びができる。待ちきれない気持ちでいっぱいだった。2年次の模擬裁判で扱ったのは、「幼児水死隣人訴訟」。知り合いの家族に子どもを預けたところ、目を離した隙に池で溺れ亡くなってしまった。その模擬裁判で僕が演じたのは被害者家族の弁護士役。「家族がどんな思いで子どもを預けたのか」「亡くなった今どんな思いなのか」「加害者家族にどのように償って欲しいと思っているのか」被害者家族の思いを代弁して、裁判官を納得させる。それが弁護士役としての僕の役目だった。けれど、僕は家庭を持っているわけでも、子どもを育てているわけでもない。20歳の僕が親の気持ちを理解して、自分の言葉に変えて主張する。当時の僕には難しすぎた。模擬裁判が始まるまでは、単純に法律だけに基づいて主張すればいいものと思っていた。多面的に物事を見ることの必要性、そしてその大切さに気付けた瞬間だった。だからといって、すぐに身につく力ではなかった。でも、課題に気づけたこと自体が大きな収穫だと思えた。3年次の模擬裁判では当事者の視点に立てる僕になってみせる。挑戦することを僕は諦めなかった。

意見を聞く。吸収する。
そして、視野を広げる。
周りのみんなが僕を
成長させてくれた。

3年次の模擬裁判は、僕が提案した「医療過誤」がテーマに決まった。法律に加え、医療の知識も必要となることから教授でさえ、「本当にやるの」という顔をしていたけれど、それでも、成長するためにあえて難しい裁判に挑戦したかった。自分が言い出したからには中途半端にはしたくない。だから、事件の資料を片っ端から読み込み、とことん調べたし、自分の考えだけで突っ走ってしまわないように、いつも以上に周りの意見を聞いた。裁判に必要な医療カルテの作成も、「この症状の患者さんならどんな病気が想定されるか」。専門的すぎてわからないところは医学部に通う友人に相談した。「法学部の学びを超えている」と友人に言われるくらい、必死で取り組んだ。裁判資料に使う、医療カルテも実物そっくりに作成できたんじゃないかと思う。そんな僕の頑張りを見てか、ゼミ全体の空気感も変わったようだ。裁判を成功させるためにそれぞれが何をするべきかを考え、行動するようになった。そんな仲間とだから法廷では熱い弁論を繰り広げることができた。仲間との討論の機会は、1つの事件でもこんなにも様々な視点があることを教えてくれた。周りの意見を吸収することで、新しい視点で主張できる僕になれたと思う。今では、被害者の心情に寄り添った弁護ができるようになってきた。そう言えるくらい、僕の視野は広がったし、成長も実感できている。

気づけば、
僕の日常に「法学」は
欠かせないものになった。

これまでを振り返ると「法学中心」の大学生活だった。模擬裁判を経験できたことで、法学の知識を実践的に身につけることができたし、事件に関わる裁判官、弁護士、被害者、加害者、証人のそれぞれの視点に立ち、法廷で力強く主張できるようになった。入学当時の「言葉を武器にしたい」という目標だって叶えつつある。時には、知識や選択肢が増えて、決断に悩むこともある。けれど、それだってマイナスなことじゃない。仲間と討論を重ね、様々な意見を吸収し、視野が広がったからこそだと感じている。気がつけば、法学は僕にとって学びを超えて、趣味のような存在になった。法律問題をネットでチェックするなど、法律関係の記事だってスクラップにして一冊のノートに集めるほどだ。アニメや映画を見ていても、「あ、これは住居侵入罪だな」や「軽犯罪だな」と何かと無意識に法学視点で考える僕がいる。こんなに法学にのめり込むようになるなんて、入学前は想像もしていなかった。自ら問題意識を持って取り組んでいるからこそ、新しい「視点」や「考え方」に気づけているんだと思う。それもこれも、学生を信じて、挑戦させてくれる神戸学院大学だったから。

Episode.7 法学部
教授
彼の姿が周りの
学生も成長させた。
その様子に驚かされた。

初めて会った時から小林くんは、とにかく成長に貪欲なタイプで、「あ、彼は今まさに成長過程の中にいるんだな」と感じたのを覚えています。2年次から始まった模擬裁判でも熱心に取り組む姿が目立っていました。そんな彼を見ていて驚かされたのが3年次での模擬裁判でのことでした。テーマは学生たちが持ちよった事案の中から彼が提案した「医療過誤」に決まりました。法律に加えて医療の知識も必要になるため、はっきり言って難しい。「ここに挑戦してきたか」と驚いたのと同時に、「彼らにできるかな」と多少の不安もありました。それでも彼は自らの行動で、ゼミ生たちを引っ張っていってくれました。医学部に通う友人に医療用語を尋ねたり、裁判で必要となる医療カルテの作成も医学的視点で間違ってないかをとことん聞いたようです。実際に彼がゼミに持ってきたカルテは、実物そのもので、「ここまで完成させるとは」と彼の行動力に感心させられました。そんな彼の裁判に対する熱い思いは周りのゼミ生たちも動かし、自分たちも本気で向き合わなければという意識を芽生えさせたように感じます。彼の行動をキッカケに、ゼミ生たちには一体感が生まれました。模擬裁判を経て、彼は周りから多くを吸収し、また彼を取り巻くゼミ生のみんなが成長できたと思います。

成長の証言2 法律研究会
友人
自分の意見を
押し通し勝ちだった彼が、
周りの視点を取り入れて
主張するようになった。

とにかく法律が好きな小林くんは、僕の周りにはいないタイプの友達でした。有名な学者に加えて、あまり知られていない学者の論文も調べて読んでいたし、読むだけじゃ飽き足らず、法律の記事をスクラップにしてノートにも集めるほど。そんな彼の性格を一言で表すと、一途なあまり頑固でした。法律研究会ではさまざまな法律に関する議題について討論するのですが、彼は自分の考えを信じて、一人で突っ走ることもよくありました。でも、討論を重ねるうちに変わっていった気がします。一人の考えだけじゃ、視野が狭すぎると感じたのかもしれません。もともと、人の意見を全く聞き入れられないタイプではありませんでしたが、自分から進んで人の話を聞いて、自分のものとし、徐々にいろんな視点で主張できるようになっていったと思います。他にも、彼が取り組んでいたゼミの話を聞いて、成長を感じたことがあります。医療過誤をテーマにした模擬裁判で、裁判資料として死亡診断書を自分で作らないといけなかった時も、内容や書き方が間違ってないか医学部の友人に事細かに意見を求めたそうです。実際に彼が完成させた死亡診断書を見せてもらったけれど、学生のレベルを超えていたし、正直すごすぎた。最近でも周りから貪欲に吸収しようとする姿は目立っていて、アニメを題材に法律の討論をしようと誘ってくることも。そこまでしなくてもと思いつつ、彼らしいなと思って僕は見ています。

小林 海斗さんの
My Experiences

※法廷教室

法廷教室では様々な取り組みを行っています。大学生や高校生が弁護士、裁判官、原告、被告、証人などの役割を分担し、実際の事件をモデルにした架空の事件を裁判の形式で行う模擬裁判や地域の小学生に裁判を体験してもらう「KOBEこども大学『君も名裁判官!』」といった、公開模擬裁判などで法律を身近に実践的に学べます。

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