Episode.6 ボランティア活動支援室
学生スタッフ子ども班編

Episode.6 ボランティア活動支援室
担当職員
チームワークを
何より大事にする。
そんな彼も以前は
1人で無理をしていた。

入学当時の加見くんは色々なことを1人で抱え込みがちでした。ボランティアでの経験を通じて、徐々に変わっていったのですが、きっかけは確か2年次のサマーボランティアだったと思います。竹を使って子どもたちと流しそうめんをする。最初にその企画を聞いた時、「どうやって進めていくの?」と尋ねたのを覚えています。彼自身、どう進めればいいのか、何も考えられていなかった様子でした。けれど、サマーボランティアの企画を進めていくうちに気づいたようです。「大きな企画を動かすためには、よりたくさんの人に助けてもらう必要がある」ということを。それから、彼は積極的に人に協力を仰ぐことができるようになっていきました。メンバーと協力しながら準備を進める様子には成長を感じました。今ではすっかり、愛されキャラが定着しています。彼がいるだけで場が明るくなるし、後輩から頼りにされ、アドバイスする姿もよく目にします。この企画を通して、彼自身、多くの気づきがあり、それが成長のきっかけになったんだと思います。

誰かに頼り、力を借りる。
これまでの僕になかった体験は、
想像以上の達成感を
与えてくれた。
法学部 4年次生※2021年取材時 加見圭吾さん

活動にあまり参加できなかった僕が、
2年次になり、リーダーを任された。

小学生の時、僕はボーイスカウトに参加していた。周りにはお兄さんとお姉さんがいて、いつも僕たちに手を貸してくれたり、楽しませるための冗談だって言ってくれる。当時、そんな姿に憧れていた。僕も、お兄さんやお姉さんのように、誰かを支えたり、喜ばせられる人になりたい。大学でボランティア活動支援室の学生スタッフになった理由もその「長年の憧れ」をかなえるためだった。そんな思いを持って入ったものの、1年次の僕は、資格取得のための勉強も忙しくて企画に携われず、イベント当日だけ参加する状態だった。ただ目の前のことをこなすことでいっぱいいっぱいだった1年間が過ぎ、2年次になった時に予想外の出来事が起こった。子ども班のリーダーに推薦されたのだ。正直、冗談だと思った。「1年間、あまり企画や運営に携われなかった僕にリーダーなんて務まるのか」。不安しかなかった。けれど、絶好のチャンスだとも思えた。昔からの憧れである誰かを支え、喜ばせられる人に近づけるかもしれない。だから、挑戦するような気持ちで、僕はリーダーを引き受けた。当たり前だけれど、リーダーになったからといって、急に何かが変わるわけではない。メンバーとどう連携したらいいかも分からず、なかなか頼ることもできなかった。でも、僕はあるボランティアをキッカケに自分でも驚くくらい変わることができた。それが、初めて自分で企画書を書いたボランティアイベントだった。

大きなことを成し遂げた達成感。
それは、たくさんの人たちと
協力したからこそ生まれた。

夏のボランティアで、ある企画を提案した。竹を使って、子どもたちと「流しそうめん」をする。絶対、子どもたちに喜んでもらえる自信があった。でも、ボランティア活動支援室の職員さんに相談して最初に言われた言葉は、「どうやって進めていくの?」という不安が混じった質問だった。その言葉に一瞬、固まってしまった。そして、質問は矢継ぎ早に続いた。「誰が竹を切るのか」「どこで調理するのか」「そうめんを流すときの水はどうするのか」などなど。質問されて気づいた。「やりたいこと」を「できること」にするためには、こんなにも多くの課題をクリアしなくてはならないのか。そんな状況を目の当たりにして悩んだ。そして、その時間が僕に気づかせてくれた。一つの企画を進めていくのに、どれだけ多くの人の力が必要かを。何でも1人で抱え込んでしまう自分から、必死で変わらなきゃいけなかった。食べ物を扱うなら食品衛生の問題、竹を切るときの安全管理。自分ではできないこと、分からないことがたくさんあった。こんなことで困っている、これをやってほしい。積極的に自分から情報を発信、共有していくと、だんだんと周囲を巻き込んでいけることに気づいた。子ども班のメンバーはもちろん、栄養学部の先生方や大学の職員さんなど、驚くほど多くの人に協力してもらってやっと実現した「流しそうめん」イベント。子どもたちはとても楽しんでくれて、たくさんの笑顔を見ることができた。つられるように満面の笑顔になるボランティアメンバーたちの姿。この光景を見るために活動を続けてきたんだ、と僕は心から思えた。ボランティア活動を経験して、僕には心から信頼できるチームができた。一人じゃないからこそ、新しい「考え方」や「価値観」に気づくことができている。

加見 圭吾さんの
My Experiences

成長の証言2 ボランティア活動支援室
学生スタッフ
子ども班前リーダー
引っ込み思案だった後輩が、
子ども班を束ねる
リーダーに変わった。

織田さんと知り合って2年経ちますが、初めて会った時の彼女はびっくりするくらい引っ込み思案で、自分から発言することは少ない印象でした。ミーティング中に視界に入る彼女は、何か自分の考えを持っていたのかもしれないけれど、ただ、周囲の話を聞いているだけのよう。質問するわけでも、大きく頷くわけでもなかった。でも、2年次になって、後輩ができてから変わり始めた。ボランティアの企画を決めるミーティングで率先して発言するようになったし、イベントを実施する時も、誰かの指示を待つのではなく、自分で考えて動く姿が目立つようになった。積極的になっていく姿に感心したのを覚えています。コロナ禍のイベントでも、自ら積極的に企画を出すなど、「子ども班」のリーダーとして立派にその役職を果たしています。僕の出番なんてもうない。そう思えるくらい彼女を信頼しています。

積極性とは無縁だった私が、
ボランティアを続ける中で、
主体的に動けるようになった。
現代社会学部 3年次生※2021年取材時 織田 紗矢香さん

消極的な私からの脱却を決意。
がむしゃらに行動した毎日。

陸上部だった高校時代に、インターハイの補助員やマラソン大会の運営を経験して気づいたことがある。大勢の人が選手たちをサポートしているという事実だ。「私も誰かを支えられる人になりたい」と強く思った。大学生になって、そんな思いで入ったのがボランティア活動支援室の学生スタッフだった。私が入ったのは、子どもたちに向けてボランティアを行う「子ども班」。もともと子どもは好きだったけれど、いざ活動が始まると、子どもたちが喜ぶ企画は思い付かないし、なかなか意見が出ないミーティングでは、声を出すことさえ難しかった。自分の企画や発言に自信がなかったというのが正直なところ。高校時代は先生が指示してくれるし、誰かがやってくれるのが当たり前だった。でも、大学では誰かがやるのを待っているだけでは何も始まらない。「このままじゃ何もできずに4年間が終わるかも」「学生スタッフとして活動する意味だってない」。だったら、自分がやろうと思うようになった。企画会議ではやりたいことや気づいたことを積極的に発言した。私が言った言葉がキッカケで、どんどんみんなの意見が続いて、企画が出来上がっていく。自分たちがやりたいと思ったことを形にできることがこんなに楽しいとは思わなかった。そんな姿を評価してくれたのか次期リーダーに推薦された。「え?私?え?」驚きしかなかった。引っ込み思案の私にできるのかと悩みもした。けれど、選んでもらえたのだから頑張りたい、と前向きな私がいた。そう思う自分を客観的に見て、少しずつ変われているのかもしれないと実感できた。

コロナ禍だろうと、
ボランティアは人を笑顔にできると実感した。

リーダーとなって迎えた2020年。そんな時に新型コロナウイルスによる感染症が拡大した。大学は入構制限がかかって登学できない。メンバーで集まってミーティングもできない。正直どうしていいのかわからなかった。けれど、ボランティア活動は止めたくなかった。自粛生活も続いて気分も落ち込んでいる。こんな時だからこそ、子どもたちを笑顔にするのが私たちの役目だと思った。コロナ禍でもイベントをやりたい。実現するために必要なことは何か。さまざまな角度でみんなと話し合った。「児童館とオンラインでつながって開催しよう」。決まったものの課題は山積み。どんなゲームだったら楽しめるのか。オンラインによるタイムラグの影響はどうするのかなど。私も積極的に意見を出し、チームを引っ張っていった。何度も話し合って決めたのが、○×クイズ、間違い探し、ジェスチャーゲームの三つ。当日のイベントは大盛り上がり。達成感をすごく味わえたし、何より画面越しに子どもたちの笑顔を見ることができたのが嬉しかった。児童館の職員さんからも、温かい言葉をもらった。コロナ禍でボランティアをすることの不安は多かったけれど、ボランティアを続けてきて本当に良かったと思えた。これまでいくつものボランティアを経験して、成功も失敗もたくさんした。でもその経験の一つひとつが私を成長させてくれた。今だからこそ、そう自信を持って言える。

織田 紗矢香さんの
My Experiences

成長の証言3 ボランティア活動支援室
学生スタッフ
子ども班メンバー
どんな問題も未然に防ぐ。
気が付けば物事を冷静に
見つめる彼女がいた。

ちょうど同じタイミングで学生スタッフになった藤原さんは、入学当時はおっとりした印象でした。ニコニコと笑顔あふれる彼女の周りには、いつも人が集まっていました。「先輩ともすぐに仲良くなれて、それってすごい才能だな」と感心したのを覚えています。でも、そんな彼女にも苦手なことはありました。それは、現場の状況を把握すること、そして何事も受け身だったということ。「状況を予測し、問題があればその対応策をちゃんと考える」。以前は十分にできていなかったように思います。だけど、さまざまな人と出会い、数々の企画を考え、運営していくうちに、責任感を持って活動するということの大切さに気が付き、主体的に周りを見ながら判断し、対応できるようになっていきました。今では、彼女は6班約110人のメンバーをまとめるボランティア活動支援室学生スタッフの代表に。コロナ禍での活動を考える会議の時だって、教員や職員に囲まれた中で、「この時期だからこそできる企画は何か」と受け身ではなく、積極的に発言している姿には頼もしさを感じています。

ボランティアでの
出会いと経験。
その数だけ私は成長した。
法学部 3年次生※2021年取材時 藤原 梨名さん

「楽しもう」という気持ちだけで上手くいくほど、
ボランティアは甘くなかった。

高校時代、生徒会でやっていたボランティアが楽しかった。大学に入ったら 本格的にやってみたい。そんな思いもあって、ボランティア活動が盛んだった神戸学院大学を選んだ。入学してボランティア活動支援室の学生スタッフになった。ボランティア活動に力を入れていることは知っていたけれど、想像していた以上にスタッフも多く、学生スタッフの活動は六つも班が分かれていて驚いた。しかも、どの班に入れるかは面接によって決まる。第1志望は「環境班」。高校時代にも、地域の祭りやゴミ掃除のボランティア活動をしていたのもあって、やりがいを感じていた。私が入ることになったのは「子ども班」。第2志望だった。でも、残念という気持ちはまったくなかった。第1志望と同じくらいやりたいことだったし、なにより子どもと関わるのが好きだったから。「とりあえず参加して、楽しみながら活動しよう」くらいの気持ちだったかもしれない。けれど、始めてすぐ、そういう軽い気持ちだけで活動はできないと気付いた。神戸学院大学では、学生自身がボランティアの企画を考え、イベントの実施まですべてを担当する。やりがいがある分、学生自身が積極的に行動しなくてはいけない。企画を考えるミーティングでも、その意識の違いがすごく感じられた。先輩は、自分の思いをしっかり発言している一方、私は周りの反応を気にして、遠慮して何も言えない。「聞き手ばっかりじゃだめだ。積極的に行動しなくっちゃ」。もどかしさを感じた時、学生スタッフとして、スタートラインに立てた気がした。

状況把握し問題を解決する自分。
ボランティア活動で、
私は新しい自分に出会った。

ボランティア活動への姿勢が積極的になっていくのと同時に、「私の企画は体験する子どもたちにどう映るんだろう」。そんな疑問や視点を持つようになった。「常に子どもたちの視点で」。自分にそう言い聞かせ、頭のなかでいくつもシミュレーションを繰り返すようになった。ボランティア活動を重ねていくなかでも、試行錯誤は続いた。そんなことを繰り返すうちに、自分が変わってきていることに気が付いた。自分自身がやりたいことを率先して発言をしたり、いろんな企画を考えることができるようになっていた。できるようになったことは、それだけじゃなかった。いつのまにか、冷静かつ的確に物事を判断し、問題を解決していく姿勢が身に付いていた。どんなリスクがあって、どんな危険が予測できるのか。ボランティア活動をしていくなかで、まずは状況を把握し、問題があればその対策を考えていくことができるようになった。出会った人の数だけ、ぐんぐん成長できているようにも思えた。今ではボランティア団体の代表。いろんな立場の人の意見や話を聞き、自分で咀嚼しながら発言をし、決断をしていくこともできるようになった。まさか、楽しいからという理由だけで活動していた私がボランティア団体の先頭に立ち、周りを動かすようになるなんて想像すらしていなかった。神戸学院大学のボランティア活動は、学生自身が考えて行動し実現していく。

藤原 梨名さんの
My Experiences

ボランティア活動支援室学生スタッフ
110人を超える学生スタッフは、自らがボランティアに参加するだけではなく、同じ学生という立場から、他の学生のボランティア活動をサポートしています。その一環として、災害班、環境班、子ども班、医療班、国際班、広報班と6つの班に分かれそれぞれ班の特性を生かした企画を行っています。

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