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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2024/04/10 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
防災情報研究/The Study of Disaster Information
授業コード
/Class Code
BA01531001
ナンバリングコード
/Numbering Code
SDMg017
開講キャンパス
/Campus
ポートアイランド
開講所属
/Course
現代社会学部/Contemporary Social Studies
年度
/Year
2024年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
後期/AUTUMN
曜日・時限
/Day, Period
金1(後期)/FRI1(AUT.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
添田 孝史/SOEDA TAKASHI
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
川西 勝/KAWANISHI MASARU 現代社会学部/Contemporary Social Studies
添田 孝史/SOEDA TAKASHI 現代社会学部/Contemporary Social Studies
安富 信/YASUTOMI MAKOTO 社会防災学科/Social Studies of Disaster Management
授業の方法
/Class Format
講義(対面)および実習(対面)
授業の目的
/Class Purpose
ディプロマ・ポリシー1(社会科学および人文科学を中止とした学際的な学修を通じて、現代社会で起こりうる災害に対する事前の備えや、事後の社会的混乱の最小化を実現するための専門知識を身につけ活用することができる)を身に付ける。
この科目は、学部のDPに示す防災に係る社会的諸問題を学際的かつ科学的に把握するとともに、自らその解決策を実践する力を習得することを目指している。
減災に欠かせない「情報」について、デマとパニック、災害報道、リスク、安否情報などの切り口から、その捉え方を学ぶ。後半では、原子力防災についての知識を習得し、県や市レベルの地域防災計画における原子力等防災計画編が理解できるようになることを目的とする。
なお、この科目は、実務経験のある教員が担当する。前半が読売新聞記者を30年以上務めた川西、後半は元朝日新聞記者でジャーナリスト歴30年以上の添田が担当する。具体的な災害現場の取材事例を交えて、より分かりやすく防災情報の取り扱いについて解説したい。
到 達 目 標
/Class Objectives
1.マスメディアによる災害報道について、情報とはなにか、防災情報、デマとパニック、リスクと情報、適切な安否情報の発信や伝達という観点から、自分の言葉で説明できる。
2.代表的な原発事故である東京電力福島第一原子力発電所の事故の概要について説明できる。
3.原子力災害時の防災情報におけるバイアスや、メディアの問題について、過去の事例を引いて具体的に説明できる。
4.突発的な大災害に際し、情報を総合的に検討し、適切な行動を選択することができる。
授業のキーワード
/Keywords
災害リスク、災害報道、デマ、パニック、原子力災害
授業の進め方
/Method of Instruction
基本的に講義中心で進める。教材の記事やビデオを見て受講生からの意見や疑問点について自発的な発言を求める。放射線測定装置を使った環境放射線計測の簡単な実習もする。
履修するにあたって
/Instruction to Students
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
事前学習として、講義の対象となる参考書の該当部分や、記録映像に目を通しておくと理解しやすい。(目安として1時間)
事後学習として、講義の対象となった配布記事、レジュメを復習し、参考とされた過去の災害について自分で再確認すること(目安として1時間)
提出課題など
/Quiz,Report,etc
毎回の授業時に、出席カードを提出してもらう。カードに記載されたことに対して、次の授業時に、総評などを行う。
前半の川西担当授業の終了時に中間レポート、添田の授業終了時に期末レポートを提出してもらう。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
授業中の自発的な発言や出席カードの記載内容(40%)、中間レポート(30%)、期末レポート(30%)。出席のみでは単位認定しない。
テキスト
/Required Texts
参考図書
/Reference Books
『記者は何を見たのか 3.11東日本大震災』(2011、読売新聞社、中公文庫)
『止まった刻(とき) 検証・大川小事故』(2019、河北新報社報道部、岩波書店)
『原発と大津波 警告を葬った人々』(2014、添田孝史、岩波新書)
『東電原発事故 10年で明らかになったこと』(2021、添田孝史、平凡社新書)
『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(2023、吉田千亜、岩波現代文庫)
映画『Fukushima50』(2020 若松節朗監督)
ノンフィクションドラマ『チェルノブイリ』(2019 ヨハン・レンク監督 HBO製作)
ノンフィクションシリーズ『THE DAYS』(2023 西浦正記監督 Netflix製作)
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ガイダンス 本講義を担当する川西と添田の紹介と、全講義のスケジュールについて説明する。
2 第2回 情報とメディア 講義の出発点として、情報とは何か、その概略を把握する。情報を伝達し、社会に伝えるメディアの働きについても知る。
3 第3回 防災情報―気象情報を中心に― 予報、警報や避難指示など、専門機関は災害による被害を軽減するため、様々な防災情報を出している。気象情報を中心に、防災情報の内容と働きを学ぶ。
4 第4回 デマとパニック 災害時にはデマ(流言)が発生することが多い。デマの発生、伝播を、災害情報や社会心理と関係づけて理解する。パニックと情報の関係についても考察する。
5 第5回 災害報道① マス・メディアによる災害報道について、求められる働き、活字と放送による違い、取材の問題点などの観点から考える。
6 第6回 災害報道② 災害取材の現場で、記者たちは何を考え、どう行動しているのか。現場における実践的な活動の実態と、記者たちの葛藤を知る。
7 第7回 リスクと情報 私たちは様々な情報を通じてリスクを感知しているが、リスクを適切に認知し、回避行動につなげるのは難しい。リスクと情報について、社会心理の観点から学ぶ。
8 第8回 命を救うための情報・報道 前半のまとめとして、東日本大震災における宮城県石巻市立大川小学校の悲劇を
題材に取り上げ、防災に求められる情報、報道のあり方を考える
9 第9回 神戸と原発 京阪神地方は約1800万人が住んでいる世界10位の人口集中地帯である。その100キロ圏内には15基も原発がある。地震多発地帯でもあることから、京阪神は世界で最も原発事故リスクの大きな地域と考えられている。もし事故が起きたらどんな被害が予想されるのだろうか。兵庫県が策定した原子力等防災計画をもとに、福島原発事故と比べながら、大学の所在地である神戸市における災害イメージの概要をつかむ
10 第10回 被曝と避難の基本 原発事故の被害でもっとも怖いのは放射線による被曝である。放射線が人体に影響を及ぼす仕組みや、強さの度合いを示す線量の測り方、兵庫県や神戸市におけるモニタリングの現状について学ぶ。被曝リスクの大きさを、他の健康リスクとの比較からも考えてみる。簡単な線量測定の実習もする。
11 第11回 福島で防災計画はうまく働いたのか 東電福島事故では防災計画が十分機能せず、原発周辺の病院の患者がすぐに避難できず放置されて数十人も亡くなったり、近隣住民が高い放射線量のもとに数日間さらされ続けたりした。防災計画のどこに問題があったのか、それは解消されたのか検証する。
12 第12回 福島は安全、それとも危ない?風評被害とは何か 現在の福島の環境は、どの程度の健康リスクがあるのだろうか。子どもの甲状腺がん多発は、どう考えると良いのか。「食べて応援」に、なぜ賛否があるのか。災害にともなう風評被害とは何か。
13 第13回 役に立たなかったジャーナリズム 事故の十数年前から地震の研究者は福島に大津波が起きる可能性を警告していたのに、原発事故を防ぐことはできなかった。新聞やテレビは、なぜそれを見過ごしてしまったのだろうか。そして事故発生後もメルトダウンしている状況や、深刻な汚染状況を報道することが遅れ、「大本営発表」と揶揄された。防災情報を担わなければならない報道は、なぜ失敗したのか、その問題点を探る。
14 第14回 福井の原発は大丈夫か? 福井県にある高浜、大飯、美浜、敦賀の原発群が、再稼働の手続きを進めている。原発の安全対策や、万一事故が起きた場合の防災計画は十分なのだろうか。具体事例を取り上げて見ていきたい。
15 第15回 原発のメリットとコスト 世界の原発や再生可能エネルギーの現状を取材した映画「日本と再生」の短縮版(34分)を鑑賞し、原発のメリットとデメリットについて話し合い、これから原発とどのように付き合っていくのか考える。

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