科目一覧へ戻る | 2025/02/13 現在 |
開講科目名 /Class |
専攻演習Ⅰ/Advanced Seminar Ⅰ |
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授業コード /Class Code |
B509221007 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
HASa305 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
人文学部/Humanities and Sciences |
年度 /Year |
2025年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
水3(前期)/WED3(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
中村 健史/NAKAMURA TAKESHI |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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中村 健史/NAKAMURA TAKESHI | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
対面授業(演習)。 |
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授業の目的 /Class Purpose |
この科目は、人文学部のディプロマポリシーのうち4、5、6、7を目指して実施される。 この科目は人文学部の専門教育科目のうち学部共通科目にあたり、「専攻演習Ⅱ」と並んで「卒業研究演習」の導入科目として位置づけられる。 この科目は文学研究の入門篇であり、『小説言の葉の庭』を題材にして、小説を分析的に読む方法を学ぶ。 授業の目的は以下の通りである。 (1)典拠を基にした小説の分析方法を理解する。 (2)作品の主題・構想・表現を適切に分析できる。 (3)2の成果を適切に文章で表現できる。 (4)これまでの学修を振り返り、3年次後期以降の学修および卒業後を含めたキャリア形成の計画を立てる。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
(1)典拠を基にした小説の分析方法を理解し、実際の作品に適応して一定の結論を得られる。 (2)作品の主題・構想・表現を適切に分析できる。 (3)2の成果を適切に文章で表現できる。 (4)これまでの学修を踏まえて、3年次後期以降の学修および卒業後を含めたキャリア形成の計画を作成することができる。 |
授業のキーワード /Keywords |
国文学、文学、研究 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
演習形式を主としつつ、必要に応じて講義形式を取り入れて進める。 授業の性質上、授業計画の内容、順序を多少変更する場合がある。 授業内で最低1回の発表が義務づけられる。発表を行わなかった者には単位を与えない。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
受講生は研究倫理を意識して授業や時間外学修を行うようにすること。研究倫理に関する指導は授業内でも行う。 (1)研究不正の類型 研究不正のなかでも特に注意すべきは、「捏造」「改竄」「盗用」です。 これらの不正は、科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会『研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて―研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書―』(文部科学省、2006年)において次のように定義されています。 ■捏造 存在しないデータ、研究成果等を作成すること ■改竄 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること ■盗用 他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること 「捏造」は、人文学研究の場合、「ありもしない用例を作成する」「ありもしない調査結果を作成する」「ありもしない先行研究を作成する」などの行為によって自身の論を都合よく展開する、といったケースが考えられます。 「改竄」は、人文学研究の場合、「用例を部分的に変更する」「調査結果を部分的に変更する」「先行研究を部分的に変更して引用する」などの行為によって自身の論を都合よく展開する、といったケースが考えられます。また、厳密な意味では改竄とは言えませんが、「不注意によって先行研究(論文)を不正確に引用してしまう」というケースは少なくありません。 「盗用」は、人文学の研究の場合、もっとも起こりやすい研究不正といえますが、「他者の『考え』を引用したり、言及したりする場合には出典を明示する」という習慣を身につければ、多くの場合、回避することができます。 (2)研究不正の防止 研究不正を防ぐためには、以下のような点を意識することが有意義です。 研究に対する意識 を持ちましょう。レポートといえども、「すでにある研究を踏まえつつ、(多少なりとも)新しい発見・とらえかたを提示する」という学術的な営みであることを意識してください。単位や卒業のために書くのではなく、「真理を探究したい」という志に基づいた崇高な行為であることを自覚すれば、研究不正を避けることができます。 引用・参照のルールを知る ことも重要です。人文学研究においてもっとも起こりやすい研究不正は盗用です。これを防ぐためには、先行研究(論文)の引用・参照に関するルールをしっかりと把握し、使いこなせるようにしておかなくてはなりません。また、草稿の段階で校正・推敲を繰りかえすことも大切です。自分の書いた文章を何度も読みなおすことで、引用・参照に関する不備を発見し、改めることができます。 ゼミによって独善を避ける ようにしましょう。人文学研究では論文を単独で執筆するケースがほとんどで、他者からの批判やチェックを受ける機会が乏しい傾向にあります。また、用例や調査結果、データを分析する際に、研究者の主観が投影される場面も少なくありません。独善的な研究に陥らないためには、ゼミを上手に利用しましょう。あなたの調査や分析をゼミで共有し、他者からの批評を受けることで、研究不正が防げます。 (3)著作権と引用 レポートを書いたり、研究発表をしたりするときに、書籍や論文、ウェブサイトから文章、写真、図表などを引用することがあります。しかし、多くの場合、こうした文章、写真、図表などには著作権がありますから、引用はそれを侵さない範囲で行わなくてはなりません。そのためには以下の条件を満たす必要があります。 どこまでが引用であるか一目で区別できる ようにレポートの書式を整えましょう。具体的には引用文に「 」を付けたり、あるいは前後1行空き、2字下げの書式にしたりします。また、写真、図表の場合には出典を示すキャプションを入れます。 引用の出典を明示する ことも重要です。著作者の名前と掲載媒体の情報(出版社や雑誌名、ウェブサイトのURL)はかならず記載するようにしましょう。 内容の改変が許されない ことは言うまでもありません。省略は差しつかえありませんが、省略箇所が分かるように処理しておく必要があります。 引用が「従」であり、しかも必然性のある引用である ことに留意してください。あくまで自分の書いた文章が「主」であり、その内容を補強するために引用を行うのでなくてはなりません。引用すること自体が目的化していたり、レポートの内容とあまり関係のない著作物を引用している場合には、著作権の侵害と見なされます。 一方で、以上の条件が守られていれば、引用にあたって作者の許可を得る必要はありません。 また、引用の分量(長さ)についても特別な制限はありません。ただし、あまりに過剰な引用は「引用が『主』になっている」と判断されることがあります。著作権の侵害と見なされたり、レポートとしての評価が低くなったりすることがあるので、注意しましょう。 |
授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
授業時間外に必要な学修の目安となる時間は、1回あたり3時間程度である。 受講生は、発表を担当する場合には、以下の予習が必要である。すなわち、発表の準備として、まず作品を丁寧に読み、指示された方法によって分析を加える。次に関連する作品や資料を調査の上、適切にまとめた上で、先の分析に加味し、裏づけとする。さらに全体をわかりやすくレジメにまとめる。一人で努力するだけでなく、ほかの受講生や教員に積極的に質問し、関わりを持ちながら予習を進めてゆくことも重要な要素となる。 また、発表を担当しない場合には、次に取り上げる章を読み、自分なりに分析し、意見・助言をあらかじめある程度まとめて授業に出席する必要がある。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
発表時のレジメおよび期末レポート。レジメや発表内容については、その場で講評する。期末レポートについては、提出後、優秀作を提示してフィードバックとすることがある。(したがって、この授業における提出物はフィードバックに利用する場合があることを、受講生はあらかじめ了承しておくこと。なお全体に配布・掲示する場合には、氏名・学籍番号等が分からないように加工する。) |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
授業時の発表内容を75%として評価する。受講生全員がかならず一回は発表を行う必要がある。評価基準(評価の観点)は、「到達目標」(2)および「聞き取りやすい表現・声量・口調で口頭発表できているか」である。 授業時の発言内容(ただし自らの発表時を除く)を15%として評価する。評価基準(評価の観点)は「到達目標」(1)(2)である。 期末レポートの内容を10%として評価する。評価基準(評価の観点)は「到達目標」の(1)~(3)である。 |
テキスト /Required Texts |
新海誠『小説言の葉の庭』角川文庫 2016年 680円(税別) ISBN:9784041026151 |
参考図書 /Reference Books |
トーマス・C・フォスター『大学教授のように小説を読む方法[増補新版]』白水社 2019年 矢倉尚子翻訳 ISBN:9784560097304 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | はじめに | 研究倫理の説明を行い、授業の進め方や発表の割り当てについて確認した上で、『言の葉の庭』について概説する。 | |
2 | 第2回 | 映画版『言の葉の庭』 | 映画版『言の葉の庭』を鑑賞し、その内容について分析・概説する。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
3 | 第3回 | 教員による発表 | 第1話を題材にして教員による発表の範例を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
4 | 第4回 | 受講生による発表(1) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第2話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
5 | 第5回 | キャリア形成支援行事 | 全ゼミ合同でおこなわれるキャリア支援に関する説明会に参加する。今後のゼミ活動・インターンシップ・就職活動についての大まかなスケジュールを把握するとともに、大学での学習と結びつけつつ将来設計を確認する。「授業の目的」(4)に対応。 | |
6 | 第6回 | 受講生による発表(2) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第3話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
7 | 第7回 | 受講生による発表(3) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第4話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
8 | 第8回 | 受講生による発表(4) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第5話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
9 | 第9回 | 受講生による発表(5) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第6話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
10 | 第10回 | 受講生による発表(6) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第7話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
11 | 第11回 | 受講生による発表(7) | 受講生が以下の発表を行う。すなわち、第8話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
12 | 第12回 | 受講生による発表(8) | 受講生がペアとなり、以下の発表を行う。すなわち、第9話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
13 | 第13回 | 受講生による発表(9) | 受講生がペアとなり、以下の発表を行う。すなわち、第10話のあらすじ・人物の紹介を行った上で、引用された万葉歌が話の内容とどのように関わるか、自分たちの考えを述べる。その後、発表者以外の受講生全員で発表内容について意見交換・助言を行う。発表者は適宜これに応答する。最後に教員が講評・助言を行う。「授業の目的」(1)(2)に対応。 | |
14 | 第14回 | ポートフォリオの作成 | 学修ポートフォリオを作成し、前期の学修を振り返る。「授業の目的」(4)に対応。 | |
15 | 第15回 | ポートフォリオの検討 | 作成した学修ポートフォリオを共有しつつ検討し、後期の学修に向けた計画を練る。「授業の目的」(4)に対応。 |