科目一覧へ戻る | 2025/02/13 現在 |
開講科目名 /Class |
人類進化誌Ⅰ(資格)/Evolution of Human Beings Ⅰ |
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授業コード /Class Code |
B508323002 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
HASe321 |
開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
人文学部/Humanities and Sciences |
年度 /Year |
2025年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
金4(前期)/FRI4(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI |
遠隔授業 /Remote lecture |
Yes |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI | 人文学部/Humanities and Sciences |
授業の方法 /Class Format |
【遠隔授業(オンデマンド授業)】 ★スマホでも視聴できる50~60分の動画を毎週配信します。 ★ただし、第6回授業(5月16日予定)、第15回(最終回)授業(7月18日予定)の2回は4時限(15:30~17:00)に教室で理解度確認ワーク(テスト)をおこないます。 ★注意★ このワークを受けなければ単位は取得できません。 ★第1回、第6回、第15回の授業を除き、毎回の授業で30分程度を要する小テストを実施します。 【第1回授業の動画と資料のURL】 ★第1回目の授業動画と資料のURLは以下のとおりです(大学のアカウントでアクセスしてください)。 □動画 □資料 ★第2回目の授業の動画と資料のURLは、4月17日(木)に学内情報サービスの「掲示板」で知らせます。 ★第3回以降の授業の動画と資料のURLは、毎週金曜5限までにMoodleから知らせます。 ★ 授業の進捗や小テストの回答に反映される理解度によって、授業計画の内容や順序を変更することがあります。 |
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授業の目的 /Class Purpose |
最近、人を批判するときに「あの人は人間としてどうなのか?」といった表現がよく使われます。この表現の意味は、「あの人は人間という存在の基本的な特徴である良心をもっていない」ということでしょう。では、人間として当然もっているはずの「基本的な特徴」、言いかえれば他の動物が持っていない人間の「基本的特徴」は、「良心」だけなのでしょうか?また、人間以外の動物は「良心」を持っていないのでしょうか? じっさいには、人間だけが持っている心理的・行動的な特徴には、「良心」以外にもさまざまなものがあります。また、動物、とりわけ生物学的に人間に近い類人猿には、人間の「良心」的行動に似た行動が見られます。 この科目の前半では、人類学や霊長類学の知見にもとづいて、まず、私たち現在の人類が持っている基本的特徴について私たちの行動と類人猿の行動を比較して考えてみます。 つづいて後半では、私たちが持つ基本的な特徴が、時間の流れのなかで、つまり、人類の進化のなかでどのようにしてあらわれたのかについて明らかにします。 この講義では、この二つの作業によって、私たち現在の人類が持つ基本的特徴、すなわち「人間性」の内容と起源を理解し、私たちの何気ない日常の行動がどのような進化の過程で生まれてきたのか、講義内容をもとに考えていきます。 この授業では、専門用語は必要最小限しか使いません。人類の悪戦苦闘の進化の物語と、そしてその物語が私たちの日常につながっていることの驚きについて、受講生のみなさん一人一人がそれぞれのしかたで自分の理解に変えていくことを重視します。 授業では、さらに、人類進化の帰結として、世界のどの地域に住んでいようと現在の人類はホモ・サピエンスという一つの種であって、科学的には「人種」という区分は成りたたないということを明らかにします。 また、マスメディアなどで「人種」と混同されがちな「民族」という概念について明確に理解することで、多様性の現代に必須の基礎教養を身につけます。 以上の作業をとおして、この科目では人文学部ディプロマポリシーの「人間の行動や文化に関する専門知識と技能を総合的、体系的に身につけている」と「人文学の知見にもとづき、知的好奇心をもって自立的に深く学修できる」の達成をめざします。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
1. 現生人類の行動や能力の基本的な特徴を説明できる。 2. 現生人類の行動や能力の基本的特徴が、人類の進化の中でどのようにしてあらわれてきたのかについて、概略を説明することができる。 3. 大学教育においても混同されることの多い「人種」と「民族」がまったく異なる概念であること、また、「人種」がフィクションであることを説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
人類学、進化、類人猿、現生人類、化石人類、利他性、技術、言語、人種、民族 |
授業の進め方 /Method of Instruction |
■最初(第1回)の授業は、この科目の概要を紹介するガイダンスです。 ■理解をすすめるために、毎回の授業で映像資料をもちいます。 ■第2回以降の授業の構成は次のとおりです。 a)前回授業の復習 b) 映像資料とパワーポイントを使った説明 c) 小テスト、質問・感想の提出 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
【シラバスの確認】 ★シラバスは、担当教員と受講生のあいだで交わすいわば「契約書」です。 ★シラバスの内容をしっかり確認した上で受講してください。 [MoodleとMicrosoft Officeが使えることが受講の前提] ★連絡、資料の配付、小テスト、理解度確認ワーク(テスト)、過去の資料と動画の閲覧、小テストと理解度確認ワークのフィードバックなどはMoodleでおこないます。 また、授業動画は大学のMicosoft OfficeをインストールしてあるスマホやPCを使って、大学のアカウントからアクセスしないと閲覧できません。 したがって、受講に際してMoodleとMicrosoft Officeが使えることが前提となります。 操作に自信がない人は早めに友だちに尋ねるか、情報支援センターで相談してください。 【不正行為について】 ★ 小テストや理解度確認ワークで友人に知らせてもらった解答をそのまま、もしくは少し変えて提出した場合、すぐに分かるようにしています。これらの場合、知らせてもらった方も知らせた方も、両方とも零点とし、通算2回同じ行為をおこなった場合は単位を認定しません。 ★ネット情報やChat-GPTなどのAIを使った解答も容易に判別できますし、この講義の内容についての信頼できる情報はネット上に少ないので、そもそも得点できません。このような場合も通算2回同じ行為をおこなった場合は単位を認定しません。 ★理解度確認ワークを自宅などの教室外で解答した場合、単位を認定しません。 |
授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
■毎授業終了後、必ず、記憶が新鮮な当日のうちに映像資料の内容をスライド配布資料と関連づけて、ノートにまとめてください(30~40分程度)。 2回実施する理解度確認ワークでは映像資料の内容に関わる問題を必ず出題しますので、この作業をおこなっていないとワークで高得点をとることはできません。 ■配布する小テストの正解例・採点基準をもとに、復習のためにMoodleで自分の解答を確認して自己採点してください。その点数を提出してもらいますが、提出しない場合は小テストの点数を零点とするので注意してください。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
★第1回、第6回、第15回の3回を除いて、Moodleで小テストの解答、授業内容についての質問と感想を提出してもらいます。 【小テストの自己採点の点数提出】 ■小テストについては、次の授業の資料で正解例、採点基準を示すので、自己採点してください。 ■自己採点した点数を各週で指定する日時までに、Moodleで提出してください。 ★注意!★自己採点した点数を提出しない場合は小テストの評点を零点とします。 ■提出された自己採点について、実際の評点より高めの場合は「+」、低めの場合は「-」、同じ場合は「○」の記号で、Moodleで各自に知らせます。 【質問・感想】 □質問・感想については、次の授業の資料で、おおよそ合計10点を選んで回答し、選んだ質問や感想を提出した受講生のハンドル・ネームと「ボーナス点」(1~3点)を示します。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
【小テスト】(60点) ■第2回~第5回、第7回~第14回授業の小テスト 1回5点×12回=60点。 □Moodleを使って回答してもらいます。 □質問は「授業を聞いていたかどうか」を確認するような選択肢形式ではなく、授業内容の理解をもとに自分で考えて解答する記述形式です。 □評価の基準は、「授業動画をしっかり視聴して内容を理解しているか」です。ただし、誤った解答であっても授業動画をしっかり視聴したことが分かる解答には部分点を与えます。 □「提出課題」に記している自己採点の点数を提出していない場合は零点となるので注意してください。 【質問と感想】 以下の基準に合う質問や感想には、小テストの評点とは別に、「ボーナス点」として、1~3点の範囲で加点します。 a) 授業内容を踏まえて、(素朴であっても)自分なりに深掘りして考えた質問や感想 b) 授業内容の補足になるような質問や感想 【理解度確認ワーク(試験)】 (40点) ■第6回の授業と第15回(最終回)の授業で、それまでの授業内容(第6回は第1回~第5回、第15回は第7回~第14回)を理解できているかどうかを問う記述形式のテストを教室で実施します。20点×2=40点 □試験は、Moodleを使います。問題数は10~20問程度で授業で使用した映像資料からも問題を出します。 □ノートや印刷した配布資料を持ち込んでもかまいません。 □授業の動画の中の映像資料についてのノートや毎回の小テストの自己採点をもとにして、テスト範囲の授業の内容をしっかり復習しておかないと高得点は得られません。 □評価基準は以下の2点です。 1) 映像資料を含め、授業内容がしっかりと理解できているか (80%)。 2) 自分が理解していることを分かりやすく論理的に表現しているか (20%)。 □採点終了後に正解例、採点基準、平均点を資料として配付し、Moodleで各自の点数を知らせます。 |
テキスト /Required Texts |
ありません。 |
参考図書 /Reference Books |
以下の本は受講に必須というわけではありません。授業内容に関心を持ったら、図書館で借りて読んでください。 【人間性と人類進化】 ・山極寿一, 2008. 『人類進化論―霊長類学からの展開』, 裳華房. ・海部陽介, 2022. 『人間らしさとは何か : 生きる意味をさぐる人類学講義』, 河出書房新社. 【人種と民族】 ・アダム・ラザフォード,2022.『遺伝学者、レイシストに反論する』,フィルムアート社 ・スチュアート ヘンリ, 2002.『民族幻想論―あいまいな民族 つくられた人種』,解放出版社 |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | ■ガイダンス 人類学とはどのような学問なのか? | ■科目の内容、授業の進め方、成績評価方法について説明します。 ■日本の理系・文系という学問区分は特殊な分け方であること、人類学という学問が理系・文系にまたがる総合的な学問であることについて説明します。 |
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2 | 第2回 | ■類人猿は人類に進化するのか? | ■人類と人類と生物学的に近い類人猿との関係を理解するために、「類人猿は人類に進化するのか」という問いについて考えます。 | |
3 | 第3回 | ■類人猿は言語能力を持っているのか? | 類人猿(チンパンジー、ボノボ)の言語能力実験をもとに、類人猿の言語を使う力と私たち現生人類の言語を使わないコミュニケーション(非言語コミュニケーション)について考えます。 |
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4 | 第4回 | ■類人猿は道具を作るのか? | 野生のチンパンジーの道具の使用や製作についての実例をもとにして、現生人類との技術に関する基本的な違いについて考えます。 | |
5 | 第5回 | ■類人猿は協力したり、贈りものをしたりするのか? | 類人猿と現生人類の協力や食料の分配に関する実験の結果を比較して、利他性に関わる両者の基本的な違いについて考えます。 | |
6 | 第6回 | ★第1回理解度確認ワーク(教室)★ 現生人類はどのような特徴を持っているのか? |
第1回から第5回の授業内容をもとに、類人猿と比較した場合の現生人類の基本的な特徴に関する理解度を確認するテストをおこないます。 | |
7 | 第7回 | ■人類はいつ、どのようにして自発的な利他性を持ったのか? | 森林の急激な減少という環境の変化に直立二足歩行で適応した生物が人類という存在であることを理解したうえで、直立二足歩行が私たち現生人類に至るまで及ぼすことになった影響について考えます。 | |
8 | 第8回 | ■人類はいつ、どのようにして複雑な道具を作るようになったのか? | 草原化が進む環境で、二つの化石人類(ホモ・ハビリスとパラントロプス・ボイセイ)が生存のためにとった戦略を比較して、生存と絶滅を分けた要因について考えます。 | |
9 | 第9回 | ■人類はいつ、どのようにして食糧を分配するようになったのか? | 完全に草原となった環境で、化石人類(ホモ・エレクトス)に生じた身体的変化と生活の変化について考えます。 |
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10 | 第10回 | ■ネアンデルタール人はどのような人類だったのか? | 寒冷地で誕生したネアンデルタール人がどのような特徴をもった人類であったのか、考えます。また、ホモ・サピエンスとの関係についても考えます。 | |
11 | 第11回 | ■なぜネアンデルタール人は滅び、ホモ・サピエンスは生き残ったのか? | ネアンデルタール人の絶滅とホモ・サピエンスの存続を比較して、私たちの社会や生活につながるホモ・サピエンスの特徴を明らかにします。 | |
12 | 第12回 | ■ホモ・サピエンスはどのようにして地球上に広がったのか? | ホモ・サピエンスがアフリカから地球上のさまざまな環境に進出することができた要因について考えます。 | |
13 | 第13回 | ■「人種」と「民族」はどのような区分なのか? | 地球上に広がった人類を「人種」という概念で区分することに科学的根拠があるのか考えます。また、「人種」と混同されがたちな「民族」という区分について明確に理解します。 | |
14 | 第14回 | ■なぜ戦争が起こるようになったのか? | まず、ホモ・サピエンスに生じた大きな文化の変化について理解し、次にホモ・サピエンスが集団間の戦争を始めるようになった原因を探ります。 | |
15 | 第15回 | ★第2回理解度確認ワーク(教室)★ 我々はどこにいるのか? |
第7回から第14回の授業内容を振り返るとともに、いわば応用問題として現代社会が抱える問題についても考えるテストをおこないます。 |