シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2024/04/11 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
人類進化誌Ⅰ/Evolution of Human Beings Ⅰ
授業コード
/Class Code
B508323001
ナンバリングコード
/Numbering Code
HASe321
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
人文学部/Humanities and Sciences
年度
/Year
2024年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
火5(前期)/TUE5(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI
遠隔授業
/Remote lecture
Yes

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
竹内 潔/TAKEUCHI KIYOSHI 人文学部/Humanities and Sciences
授業の方法
/Class Format
遠隔授業(オンデマンド授業)
■第1回目の授業動画と資料のURLは以下のとおりです(大学のアカウントでアクセスしてください)。

□動画
https://kobegakuin-my.sharepoint.com/:v:/g/personal/hk131759_human_kobegakuin_ac_jp/EQpJImqQ0TVKo-G3l4GkkWIBf4wW3cTYB5iDnl25Zy0nKQ
□資料
https://kobegakuin-my.sharepoint.com/:b:/g/personal/hk131759_human_kobegakuin_ac_jp/ESSDQXDFIpdDsxdKUPDty_UBYtk2XaBa-5AaigEZTp28gw?e=DkLs8S

★2回目の授業の動画と資料のURLは、4月16日の午後に学内情報サービスの「掲示板」で知らせます。
授業の目的
/Class Purpose
最近、人を批判するときに「あの人は人間としてどうなのか?」といった表現がよく使われます。この表現の意味は、「あの人は人間の基本的な特徴である良心をもっていない」ということでしょう。では、「人間の基本的特徴」は、「良心」だけでしょうか?また、人間以外の動物は「良心」を持っていないのでしょうか?

じっさいには、人間だけが持っている心理的・行動的な特徴には、「良心」以外にもさまざまなものがあります。また、動物、とりわけ人間に近い類人猿には人間の「良心」的行動に似た行動が見られます。

この科目の前半では、人類学や霊長類学の知見にもとづいて、まず、私たち現在の人類が持っている基本的特徴について私たちの行動と類人猿の行動を比較して考えてみます。

つづいて後半では、私たちが持つ基本的な特徴が、時間の流れのなかで、つまり、人類の進化のなかでどのようにしてあらわれたのかについて明らかにします。

この二つの作業によって、私たち現在の人類が持つ基本的特徴、すなわち「人間性」の内容と起源を理解することがこの授業の目的です。
さらに、現在の人類を「人種」という植民地時代につくられた概念で分類することにはなんら科学的根拠がないことを明確にします。

前半、後半ともに、理解をすすめるために、毎回の授業で映像資料を使います。

なお、この科目では人文学部ディプロマポリシーの「人間の行動や文化に関する専門知識と技能を総合的、体系的に身につけている」と「人文学の知見にもとづき、知的好奇心をもって自立的に深く学修できる」の達成をめざします。
到 達 目 標
/Class Objectives
1. 現生人類の行動や能力の基本的な特徴を説明できる。
2. 現生人類の行動や能力の基本的特徴が、人類の進化の中でどのようにしてあらわれてきたのかについて説明することができる。
3. 大学教育においても混同されることの多い「人種」と「民族」がまったく異なる概念であること、また、「人種」が科学的には意味のない概念であることを説明できる。
授業のキーワード
/Keywords
人類学、類人猿、現生人類、化石人類、人間性、利他性、技術、言語、進化、人種、民族
授業の進め方
/Method of Instruction
■最初(第1回)の授業は、この科目の概要を紹介するガイダンスです。
■第2回以降の授業の構成は次のとおりです。ただし、順序は授業ごとに変わります。
a)前回授業の復習
b) 映像資料の視聴
c) パワーポイントを使った説明
d) 小テスト、質問・感想の提出
履修するにあたって
/Instruction to Students
シラバスは、担当教員と受講生のあいだで交わすいわば「契約書」です。シラバスの内容をしっかり確認した上で受講してください。

★この授業は遠隔授業ですが、定期試験を教室で実施します。

■ 授業で使用するパワーポイント・スライドの配布資料は、火曜5限までにMoodleにアップして知らせます。スマホにダウンロードするか、ストリーミングして、パソコンで授業を視聴する際の参考にしてください。
■ 授業の進捗や小テストの回答に反映される理解度によって、授業計画の内容や順序を変更することがあります。
■ 授業中に流す映像資料の大半は日本語音声ですが、字幕はついていません(外国語の映像資料には、日本語字幕がついています)。

★小テストは【最初から最後まで授業を視聴していないと答えられない問題】を出します。「オンライン授業だから単位が取りやすい」ということはないので注意してください。
★授業を視聴せずに、あるいは「つまみ食い」的に視聴して、適当に書いた解答では得点できません。ネットの情報やChat GPTを使った解答も零点とします。
★ 小テストで友人に知らせてもらった回答をそのまま、もしくは少し変えて提出した場合は、知らせてもらった方も知らせた方も、両方とも零点とし、通算2回同じ行為をおこなった場合は単位を認定しません。
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
毎授業終了後、必ず、記憶が新鮮な当日のうちに映像資料の内容をスライド配布資料と関連づけて、ノートにまとめてください(30~40分程度)。期末試験では、映像資料の内容に関わる問題を必ず出題しますので、この作業をおこなっていないと試験で高い得点をとることはできないので注意してください。
なお、すべての授業動画のリンクをMoodleに貼って、期末試験までいつでも視聴できるようにします(ダウンロードはできません)。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
第2回~第14回授業では、Moodleで小テストの解答、質問、感想を提出してもらいます。
小テストについては、次の授業の資料で正解例、採点基準、平均点を示します。
質問・感想については、次の授業の資料で、授業内容を踏まえたすぐれた質問を選んで回答し、また、すぐれた質問や感想を提出した受講生のHNと「ボーナス点」(1~3点)を示します。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
■第2回~第14回授業の小テスト 1回5点×13回=65点
□Moodleを使って回答してもらいます。
□質問は「授業を聞いていたかどうか」を確認するような選択肢形式ではなく、授業内容の理解をもとに自分で考える記述形式です。
評価では、「自主的に考えようとしたかどうか」という点を重視します。したがって、誤答であった場合も、(一生懸命)考えたことが分かる回答には点をあたえます。
□授業内容を理解した上でのすぐれた質問や感想には、小テストの評点とは別に、いわば「ボーナス点」として、1~3点の範囲で加点します。

■定期試験 35点
□授業内で使用する映像資料もふくめた授業全体について、要点が理解できているかを問う記述形式の試験を試験期間中に教室で実施します。
□試験は、Moodleを使います。問題数は10~15問程度。
□配布資料やノートを持ち込んでもかまいません。
□すべての授業から、小テストよりやや難しい記述式の質問を出します。
□配布資料やノートの持ち込みは可ですが、十分な試験準備をしておかないと5割以上の得点は困難です。
□評価基準は以下の2点です。
1) 映像資料を含め、授業内容がしっかりと理解できているか (80%)。
2) 自分が理解していることを分かりやすく論理的に表現しているか (20%)。

□試験終了後に正解例、評価基準を資料として配付します。
テキスト
/Required Texts
ありません。
参考図書
/Reference Books
以下の本は受講に必須というわけではありません。授業内容に関心を持ったら、図書館で借りて読んでください。

【人間性と人類進化】
・山極寿一, 2008. 『人類進化論―霊長類学からの展開』, 裳華房.
・海部陽介, 2022. 『人間らしさとは何か : 生きる意味をさぐる人類学講義』,  河出書房新社.

【人種と民族】
・アダム・ラザフォード,2022.『遺伝学者、レイシストに反論する』,フィルムアート社
・スチュアート ヘンリ, 2002.『民族幻想論―あいまいな民族 つくられた人種』,解放出版社
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ■ガイダンス 科目の内容、授業の進め方、成績評価方法について説明します。
日本の理系・文系という学問区分は特殊な分け方であること、人類学という学問が理系・文系にまたがる総合的な学問であることについて説明します。
2 第2回 ■類人猿は人類に進化するのか? 生物分類上と生物進化における現生人類と類人猿の関係をもとにして、「類人猿は人類に進化するのか」という問いについて考えます。
3 第3回 ■類人猿は言語能力を持っているのか? 類人猿(チンパンジー、ボノボ)の言語能力実験をもとに、類人猿の言語を使う力と私たち現生人類の言語を使わないコミュニケーション(非言語コミュニケーション)について考えます。
4 第4回 ■類人猿は道具を作るのか? 野生のチンパンジーの道具の使用や製作についての実例をもとにして、現生人類との技術に関する基本的な違いについて考えます。
5 第5回 ■類人猿は協力したり、贈りものをしたりするのか? 類人猿と現生人類の協力や食料の分配に関する実験の結果を比較して、協力や分配における両者の基本的な違いについて考えます。
6 第6回 ■現生人類はどのような特徴を持っているのか? 第2回から第5回の授業内容をもとに、類人猿と比較した場合の現生人類の基本的な特徴をまとめます。
7 第7回 ■人類はいつ、どのようにして家族を持ったのか?
森林の急激な減少という環境の変化に直立二足歩行で適応した生物が人類という存在であることを理解したうえで、直立二足歩行が私たち現生人類に至るまで及ぼすことになった影響について考えます。
8 第8回 ■人類はいつ、どのようにして道具を作るようになったのか? 草原化が進む環境で、二つの化石人類(ホモ・ハビリスとパラントロプス・ボイセイ)が生存のためにとった戦略を比較して、生存と絶滅を分けた要因について考えます。
9 第9回 ■人類はいつ、どのようにして食糧を分配するようになったのか? 完全に草原となった環境で、化石人類(ホモ・エレクトス)に生じた身体的変化と生活の変化について考えます。
10 第10回 ■ネアンデルタール人はどのような人類だったのか? 寒冷地で誕生したネアンデルタール人がどのような特徴をもった人類であったのか、考えます。また、ホモ・サピエンスとの関係についても考えます。
11 第11回 ■ホモ・サピエンスはいつ、どのようにして芸術や多様な道具を産みだすようになったのか? ホモ・サピエンスが、約5万年前に突如として壁画などの芸術や多彩な道具製作技術を発達させた原因を探ります。
12 第12回 ■ホモ・サピエンスはどのようにして地球上に広がったのか? ホモ・サピエンスがアフリカから地球上のさまざまな環境に進出することができた要因について考えます。
13 第13回 ■人種は科学的な概念なのか? 地球上に広がった人類を「人種」という概念で区分することに科学的根拠があるのか、考えます。また、「黒人だから瞬発力がある」といったステレオタイプについても客観的根拠があるのか、検証します。
14 第14回 ■民族とはどのような概念なのか? 日本において「人種」と混同されがちな「民族」がどのような概念なのか、考えます。
15 第15回 ■我々はどこにいるのか? 技術を原動力として農耕革命や産業革命を経て成立した高度産業社会と利他性に支えられた生業社会という現生人類の二つの社会のありようを比較したうえで、現在、人類が直面している問題について考えてみます。

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