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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2024/04/11 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
人文の知C/人文の知4 多様性を生きる【②】/Knowledge of Humanities C
授業コード
/Class Code
B503584002
ナンバリングコード
/Numbering Code
HASb105
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
人文学部/Humanities and Sciences
年度
/Year
2024年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
火1(前期)/TUE1(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
三田 牧/MITA MAKI
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
出水 孝典/DEMIZU TAKANORI 人文学科/Humanities
新居田 久美子/NIIDA KUMIKO 人文学科/Humanities
三田 牧/MITA MAKI 人文学科/Humanities
授業の方法
/Class Format
対面授業(講義)
授業の目的
/Class Purpose
この科目は、人文学部のDP1「複数の分野の基礎知識を教養として身につけている。」に関連しています。「人文の知」と題された、人文学科で開講される多様な内容への導入科目として、1年次生が履修するものです。
現代は「多様性の時代」とよく言われます。
「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞ『私と小鳥と鈴と』に由来することばを聞いたことがある人もいると思います。
多数派(マジョリティ)か否かが物事の優劣を決めるような時代は終わり、マイノリティも含めみんなそれぞれに素晴らしい個性・役割があると考えることがふつうになりました。

・三田(文化人類学)の担当する回では、文化から多様性を考えます。地球上で人間が織りなす文化をタペストリー(織物)としてみれば、私たちの文化はその壮大な模様の一部です。私たちの「普通」が、まったく「普通」ではないことを理解することを目的とします。
・出水(言語学)はジェンダーにおけるマジョリティ、マイノリティの問題を、MtFトランスジェンダーの当事者としての視点から、自ら経験したことも含めた話をしていきます。
・新居田(キャリア教育・社会心理学)の担当する回では、発達理論や社会学見地から、他者との関係性の中から生じる心理や行動を学びます。人×社会、遺伝×環境の影響を探りながら、自分を取り巻く社会全般を理解することを目的とします。
到 達 目 標
/Class Objectives
1. 現代社会における多様性について理解し、それを説明することが出来る。(知識)
2. 性に関する偏見(gender bias)を認識し、どのように対処していくべきなのかを説明できる。(知識)
3. 自分のキャリアを考えていく上で、人の一生を生涯発達の視点から学び、その影響を説明できる(知識)
4. 自文化の視点から異文化(他者)を理解しようとするのではなく、世界の文化の多様性の中で、自文化を相対的に理解する姿勢を身に着けることができる。(知識・ものの見方)
5. 物事のあり方が多様化する社会で、自分と何らかの点で異なる他者を許容し、協調していくことができる。(態度・習慣)
授業のキーワード
/Keywords
多数派(マジョリティ)、少数派(マイノリティ)、自分、他者、差別と区別、ジェンダー、LGBT、知覚と発達、異文化と自文化
授業の進め方
/Method of Instruction
この講義では、そのようなテーマに沿って言語学、キャリア教育、人類学を専門とする3人の担当者が、それぞれの分野と多様性の関係についてリレー形式で講義していきます。
履修するにあたって
/Instruction to Students
「男なら泣くんじゃない!」「女の子はそんなこと言っちゃダメ!」のように親から言われた経験はありませんか?自分と違う文化や習慣をもつ人と、何となく相容れないなあという経験をしたことはありませんか?

人間はついつい、自分とは縁のない生き方、文化、思考方法などを、意識的・無意識的に受け入れずに排除してしまいがちです。
でも自分とは異なる他者から学べることも数多くあるはずです。

多様性の時代と言われる現代は、寛容な心でもって、さまざまな自分とは縁のなかったものを目にしたりそれと接したりすることで、新たな視野が開ける機会が多くある時代であるとも言えます。

私たちと一緒に、多様性の問題について考えていきましょう。
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
授業で学んだ用語がどのような概念を表すのか復習する(60分)。講義内容に関する本、あるいはそれを題材とした小説や漫画を読んだり、アニメや映画を見たり、ニュースを読んだり観たりして、ふだんから多様性にまつわる問題を理解しようとする(60分)。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
毎回、小レポートを出席カードに書いて提出する(三田)。毎回の授業で、出席カードにその日の確認テストや感想を記入して提出する(出水)。出席カードにその日の学びを記入して提出する(新居田)。3人の担当者のいずれかが講義で取り上げた問題に関してレポートを執筆し、最終課題としてdot.Campusに提出する。その内容に関しては、追加の動画やレジュメなどの形でフィードバックする。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
毎回の授業に対するdotCampusのアンケートへの回答や小レポート70%、最終課題30%

評価基準:授業の理解(30%)、思考の深さ(30%)、記述の的確さ(40%)
テキスト
/Required Texts
指定しません。
参考図書
/Reference Books
(1) 鈴木裕之. (2015) 『恋する文化人類学者』 世界思想社.
(2) ブレイディみかこ. (2021) 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 新潮社.
(3) V.E. フランクル.(山田 邦男・松田美佳(訳)) (1993) 『それでも人生にイエスと言う』 春秋社.
(4) 神谷悠一・松岡宗嗣. (2020) 『LGBTとハラスメント (集英社新書)』 集英社.
(5) 石田仁. (2019) 『はじめて学ぶLGBT―基礎からトレンドまで』 ナツメ社.
(これらはこの授業の推薦図書として、図書館の「人文学部推薦図書コーナー」に配架しています)
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 文化人類学から多様性を考える(1)三田 日本の社会では「普通」であることが好まれるようです。しかし、この「普通」は、一歩日本の外に出てみると、まったく普通ではありません。文化とは、食べること、眠ること、集うこと、信じること、着ること、など、人の生き方にかかわるすべてです。イントロダクションとして、日本の文化を外側から眺めてみましょう。
2 第2回 文化人類学から多様性を考える(2)三田 人類学のフィールドワークでは、異文化を学び、異文化を内側の視点から理解することを試みます。この回は、人類学のフィールドワークについて、三田の経験をもとに話します。
3 第3回 文化人類学から多様性を考える(3)三田 いかに生きるかは、いかに死をとらえるかと深く関係しています。この回は、日本を含む、いくつかの社会の死の観念について学びます。
4 第4回 文化人類学から多様性を考える(4)三田 人は超自然の存在を信じてきました。それは、精霊であったり、神であったり、さまざまです。何を信じるか、は、その社会であるべき生き方と結びついていることが多いです。この回では信仰と生き方について考えます。
5 第5回 文化人類学から多様性を考える(5)三田 地球上には様々な文化が存在します。異なることが原因となり、諍いや反目、時に戦争も起こります。この回では、そのような諍いの事例を学ぶとともに、異なる者どうしがどのように共存し得るかについて考えます。
6 第6回 言語学から多様性を考える(1)出水 sexとgender
生物学的性(sex)と社会的・文化的な側面から見た性(gender)の違いを理解した後、それを踏まえて性的マイノリティであるLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)について見ていきます。
7 第7回 言語学から多様性を考える(2)出水  女ことばの特徴と2つの説
女ことばには、男ことばと較べてどのような特徴があるのかを見た後、違いが生じる理由を説明した2つの説である支配説・相違説について見ていきます。
8 第8回 言語学から多様性を考える(3)出水  言語に込められた価値観
言語を使って何かを記述する場合、記述対象に関して言語使用者がどのような感情を抱いているのか、それが生み出された言語表現の微妙な部分にどのように反映されるのかを考えていきます。
9 第9回 言語学から多様性を考える(4)出水  ジェンダーに対する固定観念を表す言葉
男性や女性に関して述べるときに用いられる言葉に、男性らしさ・女性らしさに関するジェンダー・ステレオタイプを含意する言葉があることを見ていきます。そういた言葉に基づく偏見は、ジェンダー・バイアスと呼ばれます。
10 第10回 言語学から多様性を考える(5)出水  映画におけるLGBTを考える
BL映画である『窮鼠はチーズの夢を見る』、およびMtFトランスジェンダーを主人公とする映画『ミッドナイトスワン』を取り上げ、映画で描かれているゲイやトランスジェンダーに関するイメージがステレオタイプであり、そのような描き方にどういう問題があるのかを考えます。 
11 第11回 キャリア教育から多様性を考える(1)新居田 人の社会化と個性化を育む生涯発達心理学
子どもは親を選べませんが、親ガチャがどうであれ、赤ちゃんも高齢者も人は死ぬまで発達を続けます。人はどのように発達していくのかを概観します。
12 第12回 キャリア教育から多様性を考える(2)新居田 認知バイアスの裏と表
差別や偏見はなぜ生まれるのでしょう。認知バイアスという思考や判断の偏りは誰にでも生じるものです。自分の中に起こった「バグ」をどう扱えばよいのか、対人関係への影響を探っていきます。
13 第13回 キャリア教育から多様性を考える(3)新居田 わたしたちに身近なダイバーシティ(多様性)
「定型発達」、つまり「普通の人」って何? セクシャリティに限らず、障害の有無、民族の違いをはじめ、さまざまな特徴を持つ人間・生物がいるのがこの地球です。社会経済活動では、ダイバーシティの活用がいまや主流。社会で活躍する人材の多様性を探り、産業社会の問題解決を考察します。
14 第14回 キャリア教育から多様性を考える(4)新居田 女性活躍推進が必要なワケ
DX:デジタルトランスフォーメーションが進展しても男女不平等社会である日本。明治民法から守られてきた「性別役割分業」から現代の社会問題を追いながら、未来の家族のあり方や生き方の変化を考察します。
15 第15回 キャリア教育から多様性を考える(5)新居田 社会全体のウェルビーイング
社会と人の行動は相互作用的に影響を与えあうものです。人のまとまりである「集団」と、共通目標を持つ「組織」がありますが、働くということは組織に所属することになります。一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮しやすい環境・社会を創り貢献していくのは、偉い大人ではなく、これからのあなたたちです。
16 第16回
17 第17回
18 第18回
19 第19回
20 第20回

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