科目一覧へ戻る | 2024/07/29 現在 |
開講科目名 /Class |
人間形成論特殊講義Ⅰ/Special Lecture on Human Development Ⅰ |
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授業コード /Class Code |
J007311001 |
ナンバリングコード /Numbering Code |
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開講キャンパス /Campus |
有瀬 |
開講所属 /Course |
修士/ |
年度 /Year |
2024年度/Academic Year |
開講区分 /Semester |
前期/SPRING |
曜日・時限 /Day, Period |
火2(前期)/TUE2(SPR.) |
単位数 /Credits |
2.0 |
主担当教員 /Main Instructor |
平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU |
遠隔授業 /Remote lecture |
No |
教員名 /Instructor |
教員所属名 /Affiliation |
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平光 哲朗/HIRAMITSU TETSUROU | 人文学科/Humanities |
授業の方法 /Class Format |
講義(対面) |
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授業の目的 /Class Purpose |
≪主題≫ ミシェル・アンリの現象学 ≪目的≫ ミシェル・アンリによれば、一切の現れの本質は自己触発にある。自己触発は、現れるものが現れることを可能にする超越の働きが、自ら自己自身を被ることである。それは隔たりをまったく欠いた直接的な自己感受である。この自己受容の受動性が感情の本質、情感性であり、情感性が自我の存在である。情感性は見えない。見えないまま顕現する。世界に現れることのないこの現象性をアンリは内在と呼ぶ。本講義ではアンリがいかに従来の哲学を、特にフッサールとハイデガーを受容しつつ批判したかを示し、自己触発、情感性、内在とは何かを明らかにする。それとともに意識と対象、主観性と客観性、世界、存在、自我、知覚、思考、感情、情念、時間、そして生の概念を根底から問い直す。この考察を通してわれわれが学知において、そして人間形成において前提するこれらの概念の理解を新たにする。 本講義は、人間文化学研究科DP1、2、3に対応する。 |
到 達 目 標 /Class Objectives |
・ミシェル・アンリの情感性、自己触発、内在について説明できる。 ・フッサール現象学について基礎的な理解を有している。 ・ハイデガーについて基礎的な理解を有している。 ・ミシェル・アンリによる存在論的一元論批判を説明できる。 ・ミシェル・アンリにおける生の運動を説明できる。 |
授業のキーワード /Keywords |
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授業の進め方 /Method of Instruction |
これは講義である。受講者は講義を受けて考えたことを毎回小レポートとして記述する。その内容を、教員が次回講義の冒頭で紹介する。それにより、受講者が考えたことを、受講者全体で共有する。そうすることで、受講者がさらなる考察への刺激と啓発を互いに与え合うことができるようにする。こうした双方向的で相互的な授業過程をとおして、受講者が問題の理解を深め、自発的に考察を続けていくよう促す。 |
履修するにあたって /Instruction to Students |
西洋哲学、哲学史の基礎的な理解を要する。 受講者は、教員に指示された講義内容に該当するテキストを読解し、その内容を発表するよう求められる。 |
授業時間外に必要な学修内容・時間 /Required Work and Hours outside of the Class |
事後学習として、講義内容について自らの考察を深めること(目安として週1時間)。 |
提出課題など /Quiz,Report,etc |
講義各回に課す小レポート、発表と発表レジュメ、学期末レポート。 |
成績評価方法・基準 /Grading Method・Criteria |
講義各回に課す小レポート50%、発表20%、学期末レポート30%。 |
テキスト /Required Texts |
川瀬雅也、米虫正己、村松正隆、伊原木大祐編、『ミシェル・アンリ読本』法政大学出版局、2022年。 |
参考図書 /Reference Books |
No. | 回 /Time |
主題と位置付け /Subjects and position in the whole class |
学習方法と内容 /Methods and contents |
備考 /Notes |
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1 | 第1回 | ガイダンス | ・フランス現象学におけるミシェル・アンリ ・存在論的一元論への批判と情感性、自己触発、内在 |
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2 | 第2回 | フッサールの現象学 | ・事象そのものへ ・自然的態度と現象学的反省 ・エポケーと現象学的還元 |
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3 | 第3回 | フッサールの現象学 | ・超越論的主観性 ・志向性、構成する意識 ・地平 |
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4 | 第4回 | ハイデガーの存在論 | ・存在の意味への問い、存在了解と実存の解釈学 ・存在論的差異、存在者の存在 ・死への存在 |
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5 | 第5回 | ハイデガーの存在論 | ・ハイデガーの転回 ・顕現しないものの現象学 ・存在の贈与、存在そのものの現れ |
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6 | 第6回 | ミシェル・アンリ:現象学的隔たり | ・存在論的一元論における現出の本質 ・超越の作用と対置、表象 |
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7 | 第7回 | ミシェル・アンリ:受容性 | ・存在の超越論的地平の現出はいかにして可能か ・超越による地平の対置と受容 ・時間の自己触発 |
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8 | 第8回 | ミシェル・アンリ:自己触発、情感性、内在 | ・超越それ自身の現出はいかにして可能か:自己触発 ・根源的、存在論的受動性 ・内在、世界なき意識 |
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9 | 第9回 | ミシェル・アンリ:自己触発、情感性、内在 | ・感情と情感性、情念 ・自ら自己自信を被ることと苦悩 ・情感性の自律性、独立性非自由、無力 |
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10 | 第10回 | ミシェル・アンリ:絶対者の自己啓示 | ・苦悩と喜びの一性と移行 ・絶対者の歴史性、自己歴史化 ・感情のロゴス |
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11 | 第11回 | ミシェル・アンリ:生の運動としての自己増大 | ・自己自身の内への自己の到来 ・自己増大する生 |
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12 | 第12回 | ミシェル・アンリ:見えないものを見る | ・見えない生と抽象 ・色の存在、パトス、自己印象化 ・芸術と自然 |
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13 | 第13回 | フッサールとハイデガーの時間論 | ・フッサールにおける内的時間意識 ・原印象の問題 ・ハイデガーにおける脱自としての時間性 |
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14 | 第14回 | ミシェル・アンリ:内在の時間性 | ・現象学的流れとしての時間批判 ・印象の自己贈与、自己印象化する生 ・内在の時間性、生ける現在 |
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15 | 第15回 | 総括 | 講義の振り返りとまとめ |