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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2024/04/12 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
地域学講義ⅡA/地域学講義Ⅳ(社会貢献とボランティア)/Regional Studies ⅡA
授業コード
/Class Code
A004252001
ナンバリングコード
/Numbering Code
GENv007
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
共通教育科目/
年度
/Year
2024年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
前期/SPRING
曜日・時限
/Day, Period
木2(前期)/THU2(SPR.)
単位数
/Credits
2.0
主担当教員
/Main Instructor
相川 康子/AIKAWA YASUKO
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
相川 康子/AIKAWA YASUKO 共通教育センター
授業の方法
/Class Format
 対面講義方式で行います。ただし感染症の拡大防止などで大学から指示があった場合にはZoomによるオンライン講義になる可能性もあります。
 資料配布や課題の回収、フォーラムへの意見書き込みなどはMoodleを通じて行います。
授業の目的
/Class Purpose
 本講義は共通教育科目「リベラルアーツ科目群・地域学分野」の1つで、受講生が阪神・淡路大震災の経験からボランタリーな活動が盛んな神戸のまちへの理解や関心を深めるとともに、「地域課題を解決する市民主体の活動(社会貢献やボランティア)」の可能性を自ら考察し、必要に応じて実践できるようになることが狙いです。ディプロマ・ポリシーの「共通教育等を通じて、広い教養を身につけ、豊かな人間性や社会性を涵養している」に該当しています。
 今から29年前(1995年)、戦後50年の節目に起きた阪神・淡路大震災は、従来の価値観や経済・社会システムを大きく揺るがしました。被災した神戸の人達は、多くの社会課題を先取りするかたちで経験し、試行錯誤で解決策を探りました。行政も被災して「公助」が低下する中、注目されたのが市民による救援活動(互助や共助)や企業の社会貢献活動です。これらの活動は、その後の特定非営利活動促進法(NPO法)や公益法人改革といった制度改革、企業の社会貢献(CSR)の浸透や寄付文化の醸成につながっていきました。
 少子化・高齢化が進み、異常気象や災害が多発する現在において、ボランタリーな市民活動の領域はますまず広がっていきます。ICTの発達は人々をつなげると同時に、分断も招いています。受講生の皆さんには、本講義を通じてボランタリーな活動が「一部の篤志家が行う自己犠牲」ではなく「持続可能な暮らしのために必要不可欠なこと」「誰もがかかわる自己実現」と前向きに捉えてもらいたいと思っています。それが共通教育センターが到達目標として掲げる「生涯にわたって自発的に学び続けていくことができる」や「高い倫理観・責任感を以て社会に貢献することができる」の達成につながります。
 講師は、地元紙である神戸新聞社や東日本大震災の復興庁での勤務経験があり、現在はコミュニティシンクタンクを標榜するNPO法人の役員を務める「実務経験のある教員」です。2年前まで、兵庫県まちづくり審議会や神戸市地域活動推進委員会の委員を務め、現在は滋賀県の基本構想審議会、行財政改革審議会、防災会議の委員、さらに西宮市や大阪市、生駒市などで市民活動や自治基本条例に関する委員会の委員を務め、民間助成金の選定委員もしていることから、実際の施策や現場に基づく講義ができます。
到 達 目 標
/Class Objectives
〇阪神・淡路大震災のあった1995年が、なぜ「ボランティア元年」を呼ばれているのかを理解し、ほかの人に自分の言葉で説明することができる。
〇ボランタリーな活動に対するイメージを広げ、行政・企業・市民それぞれのセクターの特徴と、その役割分担が今後どのように変化するのか推察できるようになる。
〇震災復興の諸側面と、それを担った先人たちの意思や努力を学び、失敗例も含めて、自らの糧とすることができる。
〇日常的に、まちづくりやボランタリーな活動に関心を持ち、今後、どこかで災害等が起きた際に、効果的な直接支援や間接支援ができるようになる。
授業のキーワード
/Keywords
ボランタリー活動、社会貢献、阪神・淡路大震災、参画と協働、新しい公共領域
授業の進め方
/Method of Instruction
 初回オリエンテーションの後は、基礎編⇒歴史編⇒展開編⇒総括編と段階的に学びを深めます。講義(座学)が中心ですが、ワークシートや付箋を用いて、受講生が主体的に学べるよう工夫します。また関連する記事や行政資料、統計データにアクセスして読み解いていきます。
履修するにあたって
/Instruction to Students
〇ボランタリーな活動について、歴史から学ぶと同時に現在や近未来の状況にも思いを馳せてください(日頃から、多様なボランティアや社会貢献に関するニュースを見る、身近な社会課題に関心を持つなど)。
〇神戸のまちに関心を持ち、まち歩きや施設見学など自主的に行ってください。
●講師への連絡は大学から支給されたメールアドレス(ponaikawa@ge.kobegakuin.ac.jp)まで。発信者も大学支給のメルアドを使い、件名と本文冒頭に学生番号と氏名のほか何時間目のコマを受けているかを明記してください(同じ科目名で同じ曜日に2つのキャンパスで教えているので混乱をさけるためです)。
授業時間外に必要な学修内容・時間
/Required Work and Hours outside of the Class
〇基礎編および歴史編では、公民や近現代史の基礎知識および地域コミュニティに関する理解が必要なので、受講前に小中高校で学んだ公民や現代社会の知識を思い出しておくこと。とくに歴史編では、明治以降の市民活動の動向について、年表に基づく予習や復習に各回30分間程度必要です(これまで近現代史を学んだことがない人はその倍程度の時間が必要となるでしょう)。
〇展開編では、阪神・淡路大震災に関する資料をインターネットで検索したり、図書館や施設で調べる作業が必要です。自分でテーマを決めて書くレポートに2~3日費やすことになるでしょう。
〇総括編では、被災経験の伝え方や教訓の残し方について各地の事例を調べるのに、トータルで5~7時間かかるでしょう。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
〇対面講義ではほぼ毎回、コメント欄付きの提出カードを提出してもらいます。
〇歴史編終了時に、それまでの内容の理解度チェックテストを行います。個別のフィードバックはしませんが、終了後に模範解答を配布し、必要に応じて補講します。
〇展開編で、震災に関するテーマを1つ自ら選び、関連資料を調べたり施設を見学したりしたうえでレポートにまとめてもらいます。
〇総括編(期末課題)として、震災30年に向け、教訓を伝え、自分たちにできることを考える事業計画を出してもらいます。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
到達目標と成績評価をと連動させます。
〇歴史編終了時の理解度チェックテストで、市民活動の歴史の理解度をみます(20%)
〇展開編のレポートで「震災復興の諸側面と、それを担った先人たちの意思や努力を学び、失敗例も含めて、自らの糧とすることができているかどうか」をみます(40%)
〇期末の事業アイディアで「震災の教訓やボランティア元年の意味を自分の言葉でほかの人に伝える」ことができているかをみます(20%)
〇「日常的にボランティアや社会活動に関心を持つ」ために毎回のコメントペーパーの充実度や受講態度をみます(20%)
テキスト
/Required Texts
指定しません。
参考図書
/Reference Books
講義の中で随時、紹介しますが、以下の本は基本となります。
〇兵庫県/阪神・淡路大震災復興フォローアップ委員会監修『伝える 阪神・淡路大信さんの教訓』ぎょうせい(2009)
〇コミュニティ・サポートセンター神戸編『希望につながるコミュニティ CS神戸の20年』神戸新聞総合出版センター(2016)
〇宮垣元著『その後のボランティア元年 NPO・25年の検証』晃洋書房(2020)
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 イントロダクション ガイダンスとして講義の狙いや進め方を説明した後、イントロダクションとして地域学の考え方と市民社会論のフレームについて解説する。
2 第2回基礎編① 多様な主体と役割分担 行政・企業・市民の3つのセクターの関連と地方分権の流れを受けた市民活動の重要性を学ぶ。
3 第3回基礎編② 社会課題を捉える 少子高齢化や人口減少などよく聞く言葉の実態と影響についてマクロ・ミクロ双方の視点で考える。 統計データを読み解きながら、足元の課題を考えてみる。
4 第4回歴史編① ボランタリー活動の歴史を学ぶ意義+近代ボランティアの特徴 阪神・淡路大震災以前も多様なボランタリーな活動はあったことを知るため、明治以降のボランティア・市民活動の歴史をたどる。 年表を読み解き近現代史の流れをつかむ。
5 第5回歴史編② 当事者運動の広がりと戦時下の様相 大正デモクラシーの当事者運動を神戸の賀川豊彦の活動等から学び、戦時下の様相から国家とボランタリーな活動について考える。 補論として「公私社会福祉分離の原則」を学ぶ
6 第6回歴史編③ 経済・社会情勢の変化とともに 敗戦~高度経済成長~石油ショック~バブル経済など近代史の課題をたどりながら、その時々にどんな活動があったかを考える。
7 第7回歴史編④ 阪神・淡路大震災のインパクト 阪神・淡路大震災のあった1995年がなぜ「ボランティア元年」と呼ばれるのかを学ぶ 補論として「災害ボランティア」の再考
8 第8回歴史編⑤ 公益の問い直し~市民社会の模索
NPO法の制定や公益法人改革など、市民社会の模索の現状を考える。 補論として「ネット社会の光と影」を考える。
9 第9回 テスト+展開編①入 前半は理解度チェックテスト
後半は展開編の導入
後半の展開編導入では学び方(レポート課題の見つけ方)を解説する。 展開編の間にレポートを作成する。
10 第10回 展開編② 神戸のまちと被災の歴史
阪神・淡路大震災の前からたびたび自然災害や戦災に見舞われてきた神戸の復興まちづくりを学ぶ。
11 第11回 展開編③ それぞれの阪神・大震災 市民・行政・企業それぞれのセクターの被災の様相を概観する。
12 第12回 展開編④ 要配慮者を支える 当時は「災害時要配慮者」という言葉が無かった中で、女性や障がい者、外国人等の支援に乗り出した人達の軌跡をたどる。
13 第13回 総括編① 震災が生み出したもの 震災の教訓を生かしてできた法制度の紹介と、いまなお残る課題について解説する。
14 第14回 総括編② 復興を支えた人達 震災復興のキーパーソン数人を取り上げ、被災者支援や復興の哲学を探る。
15 第15回 総括編③ 教訓を伝える まもなく30年となる阪神・淡路大震災の教訓をどう引き継ぐか、できることを考える。 教訓を伝えるための事業計画案を考えてみる。

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