シラバス参照

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る 2023/07/31 現在

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Class
コーポレート・ファイナンス論 [企業]/企業ファイナンス論 (企業)(総合)/Corporate Finance
授業コード
/Class Code
B301892001
開講キャンパス
/Campus
有瀬
開講所属
/Course
経済学部/Economics
年度
/Year
2023年度/Academic Year  
開講区分
/Semester
後期/AUTUMN
曜日・時限
/Day, Period
月3(後期),月4(後期)/MON3(AUT.),MON4(AUT.)
単位数
/Credits
4.0
主担当教員
/Main Instructor
林 隆一/HAYASI RYUUITI
科目区分
/Course Group
【専門教育科目】 (各コース科目・専門科目)/*** MAJORS *** (各コース科目・専門科目)
遠隔授業
/Remote lecture
No

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
林 隆一/HAYASI RYUUITI 経済学部/Economics
授業の方法
/Class Format
講義
授業の目的
/Class Purpose
本講義は、企業経済コースの選択必修科目、その他のコースの選択科目(旧カリでは、企業経済コースと総合経済コースの選択必修科目、公共経済コースの選択科目)として、企業の経済活動に関する基礎科目として位置づけられる。DP(学位授与方針)の「経済の歴史や制度に係わる知識を修得し、今日の経済情勢を歴史的・制度的に理解できる」や「経済データに関する基礎的知識を修得し、統計的な処理・分析ができ、政策課題に対応できる」ことをベースに「経済問題を総合的に分析できる知識と技能を活用できる」ことを目的とする。
メインバンク制などの日本的経営の崩壊や金融自由化以降、日本企業の資金調達は銀行借入れなどの間接金融依存から、証券市場を利用した直接金融の活用に大きく舵を切っている。日本企業が従業員(ビジネスパーソン)に求めるスキルや知識も大きく変わっているが、特に大きく変わっているのがファイナンスの知識である。以前、ファイナンスの知識を必要としていたのは、金融業や財務担当者に限られていたが、最近では、むしろ財務担当者以外にファイナンスの知識が求められ、人事評価もROEなどファイナンスの概念に基づく指標を採用する企業が増えている。
企業活動のヒト、モノ、情報の流れはおカネの流れと表裏一体であり、全ての企業活動(生産、販売、マーケティング、研究開発など)は、おカネの流れの仕組みの理解をなくしては成り立たなくなっている。このような意味において、将来ファイナンス業務に直接関わらない(金融業界や財務担当者などでない)ビジネスパーソンに必要な技能(実際の企業価値計算)を修得し、自分ごととしての意識を高め、個人としても容易に「だまされない(=損をしない)」知識を身につけることを目的とする。

なお、この科目の担当者は、機関投資家・証券会社などで証券アナリストとして企業評価分析や資金運用等に19年間携わり、現在は上場企業の社外取締役を兼務し、証券アナリスト試験(CMA 2次)のテキストも作成する「実務経験のある教員」であり、より実践的な観点から上記の内容等を解説するものである。
到 達 目 標
/Class Objectives
(1)『ファイナンス』の考え方をふまえ、実際の企業活動を説明できる(知識・技能)。
(2)企業評価の基本的な手法を理解し、具体的な企業に適用できる(技能)。
(3)ビジネスの現場で具体的な活用を自分で調べることができる(態度・習慣)。
授業のキーワード
/Keywords
現在価値、将来価値、資本コスト、WACC、CAPM、DCF法、PER,、PBR、MM命題、ROE、企業価値(企業評価)、直接金融、間接金融、株主、債権者、コーポレートガバナンス(企業統治)、コンプラアンス、M&A、リスク、リターン
授業の進め方
/Method of Instruction
現在進行中のコーポレート・ファイナンスやコーポレート・ガバナンスの内容(新聞・雑誌記事)を踏まえ、それらを理解するための基本的な理論や拝見を説明する。
履修するにあたって
/Instruction to Students
企業価値計算に必要な財務諸表の知識や企業活動の分析が必要のために「ビジネスミクロ分析」(企業経済コース科目)を履修済みであることが望ましい。
「ビジネスミクロ分析」の教科書(日本企業を創る日本企業のみかた ービジネスミクロ分析のすすめー』大学教育出版、2023年)を理解していることを前提に説明する。
授業時間外に必要な学修
/Expected Work outside of Class
学修の目安となる時間は、実際の企業価値計算や練習問題の理解など毎回異なるが、平均で毎週3時間程度(計45時間)は最低必要となると考えられる。
提出課題など
/Quiz,Report,etc
講義の内容を踏まえ、各自、自分の選んだ企業の価値計算を行い、それを分析・解釈する「講義内課題」を課す。詳細は講義内で説明する。
成績評価方法・基準
/Grading Method・Criteria
期末テスト50%、講義内課題50%
テキスト
/Required Texts
なし
参考図書
/Reference Books
『世界を創る日本企業のみかた ービジネスミクロ分析のすすめー』林隆一著、大学教育出版、2023年

以下の当講義の過去の教科書の一部も引用予定である。
『ファイナンス論・入門 (有斐閣コンパクト) 』俊野 雅司・白須 洋子・時岡 規夫 (著)/有斐閣
『経済学は生き抜く智剣』(第2版)神戸学院大学経済学部編の「企業ファイナス論」
『ファイナンス プロが猿に勝てない不思議な話』山本和隆 (著)/日本経済新聞出版社
『コーポレートファイナンス入門〈第2版〉 (日経文庫)』砂川 伸幸 (著)/日本経済新聞出版社
『入門コーポレート・ファイナンス』島 義夫(著)/日本評論社、
『コーポレート・ファイナンス実務の教科書』松田 千恵子 (著)/日本実業出版社

ファイナンスの基本概念の幾つかは相互に依存していることもあり、(他の多くの学問体系と異なり)基本的なテキストにおいても、それぞれ習う順序が異なっているように、全体像を掴みにくい特徴がある。そのため、1つのテキストで分かりにくい点は、他のテキストで意外と容易にわかるケースがある。講義では、以下の参考書の一部を補足して説明する予定であるが、予習復習に活用すること。(ファイナンスの知識は、理系文系を問わずビジネスパーソンが必要に迫られ、社会人で勉強する人が多く、本屋には入門・初級の本だけでも大量の書籍が出版されている)
『大学生のための人生とお金の知恵』金融広報中央委員会
(お金とは)『お金のむこうに人がいる』田内学 (著)/ダイヤモンド社
(お金とは)『MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実』クラウディア・ハモンド (著), 木尾糸己 (翻訳)/あさ出版
(金融全般の入門)『1からのファイナンス』榊原茂樹, 岡田克彦(著)/碩学舎
(金融全般の入門)『金融論』(【ベーシック+】)家森信善(著)/中央経済社
(会計入門)『Yahoo!ファイナンスで速攻決算書分析』坂本剛(著)/中央経済社
(初歩)『あれか、これか——「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』野口真(著)/ダイヤモンド社
(入門)『[実況]ファイナンス教室 (グロービスMBA集中講義)』グロービス ・星野優(監)/PHP研究所
(入門)『この1冊ですべてわかる ファイナンスの基本』佐藤公亮(著)/日本実業出版社
(企業評価入門)『パンダをいくらで買いますか?』野口真(著)/日経BP社
(企業評価入門)『はじめての企業価値評価 (日経文庫)』砂川 伸幸  (著), 笠原 真人 (著)/日本経済新聞出版社
(企業評価)『企業評価論入門 』奈良 沙織 (著)/中央経済社
(企業評価・実務)『ゼミナール コーポレートファイナンス 』朝岡 大輔 (著), 砂川 伸幸  (著), 岡田 紀子 (著)/日本経済新聞出版
(企業評価・実務)『図解入門ビジネス最新企業価値評価の考え方と実践がよ~くわかる本』笠原真人(著)/秀和システム
(企業評価・実務)『図解入門ビジネス最新企業価値評価の基本と仕組みがよ~くわかる本』バリュークリエイト/秀和システム
(企業評価・実務)『図解入門ビジネス 最新 コーポレートファイナンスの基本と実践がよ~くわかる本[第2版]』松田千恵子 (著)/秀和システム
(企業評価・実務)『図解入門ビジネス 最新 アセットマネジメントの基本と仕組みがよ~くわかる本[第2版]』勝盛政治 (著) /秀和システム
(行動経済学)『ケースメソッドMBA実況中継 04 行動経済学』岩澤誠一郎  (著)  ディスカヴァー・トゥエンティワン
(社債)『入門 社債のすべて———発行プロセスから分析・投資手法と倒産時の対応まで』土屋 剛俊(著)/ダイヤモンド社
(応用)『ゼミナール企業価値評価』伊藤邦雄(著)/日本経済新聞出版社
(応用)『バリュエーションの教科書』森生明(著)/東洋経済新報社
(実務基礎)『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論 』朝倉 祐介 (著)/ダイヤモンド社
(実務基礎)『この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本 』手塚 貞治 (著)/日本実業出版社
(実務応用)『入門 リアル・オプション』山本 大輔  (著), 刈屋 武昭 (監修)/東洋経済新報社
(実務応用)『トップアナリストがナビする金融の「しくみ」と「理論」』野﨑浩成(著)/同文舘出版
(実務応用)『まだ「ファイナンス理論」を使いますか?—MBA依存症が企業価値を壊す』手島直樹(著)/日本経済新聞
(全般・応用)『ファイナンスの哲学---資本主義の本質的な理解のための10大概念』堀内勉(著)/ダイヤモンド社
(全般)『企業価値の神秘』宮川壽夫(著)/中央経済社
(全般)『新解釈 コーポレートファイナンス理論』宮川壽夫(著)/ダイヤモンド社
(全般)『[新版]この1冊ですべてわかる 金融の基本』田渕 直也 (著)/日本実業出版社新版
No.
/Time
主題と位置付け
/Subjects and position in the whole class
学習方法と内容
/Methods and contents
備考
/Notes
1 第1回 ガイダンス 講義の全体像・評価方法等を説明する。その中でファイナンスの基本概念(株式会社等)を学ぶ。 (参考:『1からのファイナンス』、『コーポレートファイナンス入門〈第2版)』)
2 第2回 世界や日本の株式評価(1) 世界や日本の現実の企業評価を学ぶ。 (参考:『コーポレート・ファイナンス実務の教科書』)
3 第3回 世界や日本の株式評価(2) 世界や日本の現実の企業評価を学ぶ。 (参考:『日本企業のみかた ~ビジネスミクロ分析のすすめ~』)
4 第4回 コーポレートガバナンス  コーポレートガバナンスの現状について学ぶ。 (参考:『この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本 』)
5 第5回 金融の仕組み(1) 株式会社、直接金融、間接金融などの基礎概念を学ぶ。 (参考:『経済学は生き抜く智剣』、『[新版]この1冊ですべてわかる 金融の基本』)
6 第6回 金融の仕組み(2) ファイナンスの視点を学ぶ。 (参考:『あれか、これか——「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』)
7 第7回 上場制度と株式市場 上場制度と株式市場を学ぶ。 (参考:『日本企業のみかた ~ビジネスミクロ分析のすすめ~』)
8 第8回 債券の基本 社債や格付けなどを学ぶ。 (参考:『コーポレート・ファイナンス実務の教科書』、『入門社債のすべて』) 
9 第9回 コーポレートガバナンスの意義 日本の現状を踏まえ、コーポレートガバナンスの潮流と意味を考える。 (参考:『バリュエーションの教科書』)
10 第10回 プリンシパル・エージェント問題 コーポレートガバナンス、プリンシパル・エージェント問題を、株主の「経営陣を選任する権利」や株主総会などを学ぶ。 (参考:『[実況]ファイナンス教室 (グロービスMBA集中講義)』)
11 第11回  財務諸表の基本 損益計算書・貸借対照表の基本を理解する。 (参考:『日本企業のみかた ~ビジネスミクロ分析のすすめ~』)
12 第12回 ステークホルダー・ROE ステークホルダーやROEの概念を学ぶ。 (参考:『まだ「ファイナンス理論」を使いますか?』)
13 第13回  企業評価(マルチプル評価)
企業の評価方法として、PBR、PERなどを学ぶ。 (参考:『バリュエーションの教科書』、『企業評価論入門 』)
14 第14回  割引率 企業の評価方法を実際のIR情報やインターネットでの使い方を学ぶ。
インフレ(名目・実質)の概念を学ぶ。
(参考:『Yahoo!ファイナンスで速攻決算書分析』)
15 第15回 現在価値・将来価値  現在割引価値および複利計算を学ぶ。 (参考:『[実況]ファイナンス教室』、『ファイナンス思考 』『MIND OVER MONEY 』)
16 第16回 DCF(ディスカウントキャッシュフロー) DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)で、パンダのように市場価格のない価値を計算してみる。 (参考:『パンダをいくらで買いますか?』、『図解入門ビジネス最新企業価値評価の考え方と実践がよ~くわかる本』) 
17 第17回  DDM(割引配当モデル)
「企業価値評価」に基づき、DDMなどを学ぶ。 (参考:『入門コーポレート・ファイナンス』)
18 第18回 モダンポートフォリオ理論
(リスクとリターン)
投資家の立場からリスク、リターン、分散投資の効果の基本を学ぶ。 (参考:『ファイナンス論・入門 (有斐閣コンパクト) 』)
19 第19回 「私たちの預金、年金などはどこにある?」
GPIFなどの資金運用内容から資金運用を学ぶ (参考:『大学生のための人生とお金の知恵』)
20 第20回 CAPM(資本資産評価モデル)  CAPM(資本資産評価モデル)やβ(ベータ)の考え方を学ぶ。 (参考:『入門コーポレート・ファイナンス』、『コーポレート・ファイナンス実務の教科書』) 
21 第21回 WACC(加重平均資本コスト) CAPMの計算を行った上で、WACC(加重平均資本コスト)などを学ぶ。 (参考:『ビジネス最新企業価値評価の考え方と実践がよ~くわかる本』)
22 第22回  WACCの計算 WACC(加重平均資本コスト)の計算を学ぶ。 (参考:『はじめての企業価値評価 (日経文庫)』、『入門コーポレート・ファイナンス』)
23 第23回 企業価値評価 企業価値評価を学ぶ。
(参考:『バリュエーションの教科書』)
24 第24回 企業価値評価と株式評価との比較例 市場評価(時価総額)から織り込まれている業績動向を推測する。
25 第25回  企業価値計算の実例① 実際の企業のIR情報を元に、業績予想を行ない、それに基づいて企業価値を計算し、時価総額と比較する。 (参考:『ゼミナール企業価値評価』)
26 第26回 企業価値計算の実例② 実際の企業のWACCを計算し、DDMに基づき企業価値を計算し、時価総額と比較分析する。
27 第27回 投資政策 企業の意思決定の事例を学ぶ。 (参考:『入門リアル・オプション』、『ファイナンス思考  』) 
28 第28回 ペイアウト政策/内部調達 企業と投資家の両面の視点で、「利益還元とペイアウト政策」から資本市場について考える。 (参考:『ファイナンスの哲学』、『この1冊ですべてわかるコーポレートガバナンスの基本 』)
29 第29回 MMの無関連命題/資本構成 MMの無関連命題を学ぶ。「法人税とデフォルトコスト」や「財務の柔軟性と資本構成の調整」を学ぶ。 (参考:『入門コーポレート・ファイナンス』、『企業価値の神秘』)
30 第30回 まとめ まとめ

科目一覧へ戻る