2026大学院案内
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38血栓形成の機序とその予防を主に実験動物を用いて研究している。He-Ne レーザーによって実験動物や疾病モデル動物の脳血管に血栓を形成し、血栓形成に及ぼす各種因子の解析を行っている。最近、話題の多い一酸化窒素と性ホルモンの血栓形成に対する影響や脳の微小循環も研究している。分子標的薬とは、ある特定の分子の働きを低分子化合物や抗体によって制御する薬で、主にがん治療に用いられている。がん細胞株を用い種々の分子標的薬の治療効果や副作用について研究し、がん個別化医療に役立てることを目指している。これら分子標的薬の治療効果予測に利用できる新たなマーカーの同定と、治療効果改善に関わる分子について解析している。また、これら分子標的薬が正常な幹細胞に与える影響についても研究している。超高齢社会のわが国において加齢性疾患予防は重要な課題です。脂溶性ビタミンであるビタミン D、ビタミン K は加齢性疾患といえる骨粗鬆症の予防に役立つだけでなく、心血管疾患予防、がん細胞や脳神経細胞の増殖・分化、免疫調節、感染性疾患の重篤化予防に関与することがわかってきました。近年、これらのビタミンの不足・欠乏が問題となっており、栄養疫学研究とともに基礎研究を合わせたトランスレーショナルリサーチを行い、加齢性疾患の予防に貢献することを目指します。動脈硬化の発症機序の解明と治療を目的として、脂質異常症(特にリポ蛋白代謝異常)、高血圧症、メタボリックシンドロームの臨床および基礎研究を行っている。そして循環器内科専門医指導医としての経験を通じて、皆さんと一緒に病態を把握し、臨床検査を理解し、医師や看護師とチームを組んで食事療法が実践できるようになることを目指している。研究分野は調理科学と食育である。調理操作による食品成分および食品機能性の変化に関する研究を以下に示す内容を中心に、おいしさから健康へという視点で研究を進めている。1.炊飯水が米飯の性状と嗜好性に及ぼす影響2.調理によるミネラル量の変化3.調理に関する実態調査「消化管から見た健康・栄養」をメインテーマとして、栄養素の吸収機構の栄養生化学的解明に取り組んでいる。1.糖・アミノ酸・ペプチド吸収担体の調節2.食物アレルゲンの腸管透過機構3.腸内細菌叢の変動と疾患4.加齢に伴う消化吸収機能の変化5.炎症性腸疾患患者の栄養アセスメント微小循環の恒常性維持に関する種々の因子の影響について研究を行っている。基礎研究として血管発現タンパク、血栓形成溶解の解析に実験的動物モデルとイメージングによる画像解析を行っている。臨床研究としては血小板療法における血小板機能検査について循環器系疾患を対象にその臨床応用の研究を行っている。生理機能検査(呼気ガス分析装置、呼吸機能測定装置、筋電計など)をベースに呼吸・循環から神経まで生体情報に関する研究を行っている。1.1 次微分波形分析法によるカプノメーターを用いた肺の換気 / 血流不均等分布の分析2.特殊ガスを用いた精密呼吸機能のハイブリッド・シミュレーター教育用ソフトの開発3.顔 面 神 経 麻 痺 の 予 後 診 断 検 査 で あ る NET,Electroneurography(正中法)の研究・開発食品機能性成分、特に茶・珈琲などの嗜好飲料や野菜・果実に含まれるポリフェノールの嗜好性や機能性を活かした食品開発を目指し、以下に示す内容を中心に“おいしさ”と“健康”の両面から食に関する研究を進めている。1.嗜好飲料による口腔内リセット作用の科学的検証2.苦渋味飲料と脂っこい料理の相性診断技術の開発3.渋味やえぐ味の発現機構と生理的意義の解明4.植物ポリフェノールの機能性発現機構の解明5.食品成分・機能の新規分析・評価技術の開発短鎖脂肪酸とは炭素数が2から6の脂肪酸を指し、主要な構成物は酢酸、プロピオン酸、酪酸である。中でも酪酸に焦点を当て、免疫細胞の応答に対する変化、脂肪細胞の代謝に及ぼす効果、これらの作用機序について基礎研究を行っている。また、外部医療施設の協力の下、食事療法、栄養管理の効果に対する観察研究も行っている。特定給食施設における人事管理に関して、給食経営管理における管理栄養士のリーダーシップや職種間の連携について研究を行い、給食の質、給食対象者の栄養管理の質の向上を目指している。また、健康経営の実現に向け、勤労者が自然に健康に資する食事を選択できる環境整備として、管理栄養士の果たすべき役割について研究を進めている。1.脊髄性筋萎縮症(spinalmuscularatrophy:SMA)の発症に関連する遺伝子群および重症度を修飾する遺伝子群の研究;指定難病であるSMA は進行性の疾患で、治療をしなければ病状は進行し、全身の運動機能に大きな影響を及ぼす。早期に SMA を発見・診断し、適切な治療へ向かわせることを目指している。2.本学女子駅伝競走部員のパフォーマンス向上への研究的支援;部員の体組成測定・血液検査および解析を行い、健康な状態で競技成績を向上できるような研究的支援を行っている。食品成分の機能性に関する研究、とくに腸内細菌叢に影響を与える成分の探索に力を入れている。腸内細菌叢は宿主の健康に密接に関与しており、その乱れは生活習慣病や大腸炎、アレルギーなど多様な疾患の一因とされる。そこで、腸内細菌叢を整える食品成分を見出し、実験動物を用いた疾患モデル(食事性肥満、大腸炎、アレルギー性皮膚炎、拘束ストレスモデル)において予防効果を検証している。さらに、その作用メカニズムを個体および細胞レベルで明らかにし、将来的にはヒトへの応用や機能性食品の開発へとつなげることを目指している。食中毒の予防対策構築に取り組んでいる。具体的には、食中毒菌が市販食品にどの程度汚染しているかや、調理作業中に食中毒菌が食材から手や調理器具にどの程度交差汚染し、食材に伝播するかを調査している。調査対象は、食中毒患者数が最も多い、カンピロバクター属菌である。調査結果から、食中毒予防の具体的な方法を構築し、その方法を広く普及することで、カンピロバクター食中毒患者数減少を目指している。組織の恒常性維持に重要な役割を果たす幹細胞の異常は、癌の発症や組織再生の低下に直結する。その病態機序を理解するため、上皮系組織をモデルに、幹細胞の正常機能に必要な分子機序の解明とともに、異常動態に関わる疾患機序について遺伝子工学を用いて基礎研究に取り組んでいる。近年の主な課題は以下の通りである。1.幹細胞因子 p63 遺伝子の機能と発現を制御する機構解析 2.上皮性疾患の病態メカニズムに関わる研究3.自己免疫・アレルギー疾患を導く上皮幹細胞異常の同定糖尿病患者では、筋肉量減少や筋力低下、骨粗鬆症など筋骨格系の異常が引き起こされる。私たちは、健康長寿の実現のため、本病態の発症メカニズムの解明と栄養学的予防法の確立を目的に基礎研究を行っている。主な内容は以下の通りである。1.糖尿病性筋萎縮・骨粗鬆症に対する亜鉛摂取の効果の解明2.筋と骨の機能維持における細胞内の亜鉛シグナルの役割の解明3.筋と骨の機能異常が肥満・糖尿病の進展におよぼす影響の解明人が無理なく健康的な食生活を達成する社会の構築を目指して、公衆栄養学的研究を行っている。現在は、①食行動に影響を与える因子の探求、② SM/ SNS を活用した食環境整備に関する研究、③ナッジを活用した食環境整備に関する研究に主に取り組んでいる。ピリミジン代謝に関する研究:ラットをモデル生物として、食餌組成の違いがピリミジン代謝に関わる各種酵素遺伝子の発現制御に与える影響について検討している。微生物の薬剤耐性化機構に関する研究:環境要因(培地組成、培養条件など)の変動が、腸内細菌を中心とした各種微生物の薬剤耐性化に与える影響について、分子生物学的な側面から検討している。佐々木 康人竹橋 正則津川 尚子藤岡 由夫水野 千恵南  久則山下  勉和田 晋一石井 剛志大平 英夫田丸 淳子坊池 義浩吉村 征浩伊藤  智鈴木 大介田村 行識鳴海 愛子松田 広一教 授教 授教 授教 授教 授教 授教 授教 授准教授准教授准教授准教授准教授講 師講 師講 師講 師講 師栄養学研究科 研究分野と内容Kobe Gakuin University Graduate School

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