神戸学院大学

総合リハビリテーション学部

総合リハビリテーション学部の小川真寛准教授らが認知症のある人の「活動の質評価法」を開発しました

2022/07/01

認知症のある人の「活動の質評価法」を開発した研究グループ代表の小川准教授
認知症のある人の「活動の質評価法」を開発した研究グループ代表の小川准教授
小川准教授らが出版した「A-QOAビギナーズガイド」」
小川准教授らが出版した「A-QOAビギナーズガイド」」

総合リハビリテーション学部作業療法学科の小川真寛准教授らの研究グループが認知症のある人の活動の様子を観察して「質」を評価し、より幸せな人生を送ってもらうシステム「A-QOA(アコア)」を開発しました。使い方のガイドブック「A-QOA―ビギナーズガイドー認知症のある人の生活を豊かにする21の観察視点と20の支援ポイント」(かもがわクリエイツ)を出版し、オンラインでの講習会も実施しています。

開発したのは、小川准教授と佛教大学保健医療技術学部の白井はる奈准教授、県立広島大学保健福祉学部の西田征治教授と坂本千晶助教。「A-QOA」とは「活動の質評価法(Assessment of Quality of Activities)」を意味します。

この評価法では、認知症のある人の活動の観察項目を21挙げています。最初の項目は「活動を開始する」時の態度で、「活動に対する拒否がなく、何らかの活動を誘われて始めるか、自ら主体的に開始しているか」を観察します。

レクリエーションを例に挙げると、「開始5分前から開催場所に集まり、スタッフに人数を確認しながら椅子を並べている」は「活動の質が高い」と評価します。逆に、「開始の時間になり、スタッフが参加の声かけをしているが、返事はあるものの動こうとしない」なら「活動の質が低い」と評価します。以下、「活動の対象に視線を向ける」、「活動の対象に体を位置づける」などの項目が続きます。

さらに、活動の質を高める20の支援ポイントを挙げています。認知症のある人のサポートにあたる人たちがどう動けば良いか、どうすればよいかを「活動を選択」、「選択した活動の質を高める」、「活動後」の3段階に分けて示しました。活動選択のポイントとしてはまず、「興味・関心のある活動を選択する」を挙げました。以下「心が動く活動を選択する」「能力に合わせて調整できる活動を選択する」と続きます。

「A-QOA―ビギナーズガイド」は2800円(税別)。すぐに使えるA-QOA採点シート(簡易版)などワークシートを収録しました。小川准教授は「8年がかりで完成させました。作業療法士に加え、看護師、言語聴覚士など認知症のある人に関わり、作業などの効果や意義を表現したい、客観的に示したいと思っているすべての人に役立ててもらえれば」と話しています。