§生物薬剤学

☆竹内 由和

〓主題と目標〓

 1 薬物の体内動態を理解する基礎となる生体側の支配因子について学ぶ。

 2 薬物体内での動きを定量的に評価する方法について学び、この方法を実際の臨床の場で駆使できる力をつけることを目的とする。

 

〓授業計画〓

第1回 薬物の膜透過に関係する生体膜の構造と機能および薬物の膜透過機構

 膜構造と機能についておよび濃度勾配を駆動力とする受動輸送について講述する。

第2回 薬物の特殊輸送機構および薬物の吸収に及ぼす物性などの影響因子

 栄養素、アミノ酸などは能動輸送によって吸収されるが、薬物もこの輸送系によって吸収されるものがある。ここでは薬物の能動輸送メカニズムのほか、膜動輸送などについて講述する。また、分子サイズ、pH分配説についても講述する。

第3回 経粘膜吸収、経皮吸収、注射など消化管以外からの吸収

 口腔粘膜吸収、直腸粘膜吸収、鼻粘膜吸収、肺からの吸収、眼からの吸収などについて講述する。

第4回 薬物の分布と組織内移行

 体循環血に入った薬物は血漿蛋白と結合するがその程度は薬物によって異なる。ここでは薬物蛋白結合の理論と薬物と血漿蛋白との置換現象等について講述し、薬物の体内分布に蛋白結合が果たしている役割を理解する。

第5回 薬物の組織移行性とクリアランス

 薬物の体内分布と薬物の脳内移行、乳汁内移行、胎盤移行などについて講述する。また、薬物の代謝・消失と臓器クリアランスについても講述する。

肝クリアランス・初回通過効果について

 消化管内から薬物が吸収され体循環血に到達するには、門脈を経て肝を通過しなければならない。したがって、薬物はこの肝での代謝を免れたものだけが体循環血に到達する。ここでは、活性体である薬物(未変化体)の肝における初回通過効果を中心に講述する。

第6回 薬物の腎排泄(その1)

 腎は薬物の体内からの消失にとって重要な臓器である。この腎の構造と機能および薬物の腎排泄メカニズム、さらには腎クリアランスについて講述する。

第7回 腎排泄(その2)と唾液および胆汁排泄

 薬物の腎排泄の速度論的解析と唾液および胆汁排泄について講述する。

第8回 薬物のバイオアベイラビリティ

 投与された薬物が薬効を発揮するためには体循環血に到達しなければならない。この体循環血に到達する速度および量を評価するパラメータがバイオアベイラビリティ(生物学的利用性)である。ここではこの生物学的利用性について講述する。

第9回 生物学的同等性を評価するための検定法の基礎(その1)

 主薬が同じで製剤が異なる2つ以上の医薬品の生物学的利用性が同等であるかどうかを評価することは有効性、安全性が同じであることを保証するために重要である。この同等性を保証する統計学的検定方法の基礎についてデータの取り扱い方、標準偏差とは何か等を含め講述する。

第10回 生物学的同等性を評価するための検定法の基礎(その2)

 サンプルデータの統計的処理方法のひとつであるt検定について講述する。

第11回 生物学的同等性を評価するための検定法の基礎(その3)

 サンプルデータの統計的処理方法のひとつで生物学的同等性の検定法として利用されているF検定について講述する。

第12回 薬物治療モニタリング

 薬物治療は有効・安全でなければならない。そのためには投与量および投与間隔を精密に設定する必要がある。薬物によっては有効血中濃度域が狭いものがある。くすりの専門家としての薬剤師は薬物の精密投与計画についての知識をもち、これを駆使出来ることが望まれている。


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