§化学薬剤学
☆佐々木 秀明
〓主題と目標〓
薬剤学は化学物質である薬物を医薬品として用いるために、その投与形態や投与方法を考える学問分野である。薬物に剤形を付与した医薬品を製剤といい、その製剤を構成する材料には有機化合物から無機化合物まで多くの化学物質が使用されている。化学薬剤学ではそれらの製剤材料の機能を化学的視点から解析し、その化学構造と機能との関係について、1)製剤材料の化学構造と機能として剤形毎に整理し講述する(第2回〜第6回)
また、医薬品の最適治療効果を得るための新技術である薬物送達法(ドラッグデリバリーシステム、DDS)の研究は、近年、薬剤学の重要な研究分野の1つとなっている。DDS研究の重要課題である放出制御、吸収改善及び標的指向性の研究においては、薬物や製剤材料を機能化するための化学的な修飾や複合体の合成と共に、新しい製剤材料の開発が行われており、この分野の研究推進に化学的(有機化学的)な考え方や取り組みが、物理薬剤学や生物薬剤学を基礎とする研究と共に重要な要素となっている。このような観点から、化学薬剤学では2)のドラッグデリバリーシステム(放出制御や標的指向性)及び3)化学修飾による機能化(プロドラッグ)についても、化学(特に有機化学)を基礎とする視点から講述する(第7回〜第12回)。
更に最近、医薬品の容器や包装に多種類の合成高分子製の素材が使用されていることから、ガラス製容器を含めて医薬品容器の定義、種類、素材、品質、試験法などについて剤形との関連も含めて講述する。また、医薬品の容器や包装に関連する薬剤師国家試験問題についても解説する。
〓授業計画〓
第1回 講義の概要
化学薬剤学の講義内容の概説と講義範囲にある薬剤師国家試験問題について解説する。
第2回 製剤材料の化学構造と機能 その1
製剤の分類と製剤を構成する材料の概要。固形製剤用素材と添加物(賦形剤の化学構造と性質)
第3回 製剤材料の化学構造と機能 その2
固形製剤用素材と添加物(賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などの化学構造と性質)
第4回 製剤材料の化学構造と機能 その3
固形製剤用素材と添加物(胃溶性や腸溶性コーティング剤の化学構造と性質)
第5回 製剤材料の化学構造と機能 その4
製剤材料としてセルロースなどの天然高分子を共に合成高分子が多数利用されている。そこで、高分子の一般的合成法、製剤材料として利用される高分子の化学構造と性質、及び製剤素材としての利用法について講述する。
第6回 製剤材料の化学構造と機能 その5
半固形製剤用素材と添加剤(軟膏剤や坐剤ひ用いられる基剤や界面活性剤などの化学構造と性質)
第7回 製剤材料の化学構造と機能 その6
注射剤及び点眼剤用素材と添加剤(溶剤、安定剤、溶解補助剤、界面活性剤などの化学構造と性質)
第8回 ドラッグデリバリーシステム その1
放出制御(徐放化)製剤とその素材の化学構造と機能
第9回 ドラッグデリバリーシステム その2
標的指向性製剤とその素材の化学構造と機能
第10回 化学修飾による機能化 その1
プロドラッグ(薬物の可逆的な化学修飾による機能化)
第11回 化学修飾による機能化 その2
高分子プロドラッグ(薬物・高分子複合体による機能性製剤の開発)
第12回 化学修飾による機能化 その3
シクロデキストリンの化学と製剤材料としての機能(薬物の安定化、可溶化、徐放性製剤など)
第13回 医薬品の容器と包装
医薬品の容器や包装に用いられる合成高分子製やガラス製容器の定義、種類、素材、品質、試験法などについて剤形との関連も含めて講述する。また、医薬品の容器や包装に関連する薬剤師国家試験問題についても解説する。