§微生物学

☆佐野 圭二

〓主題と目標〓

 国民栄養の向上、防疫体制の整備、優れた抗菌剤の開発により、大規模な伝染病発生の危険性は確かに低下した。しかしウイルスに関しては今なお予防や治療が困難な感染症も多くあり、免疫機能が低下した患者における細菌の二次感染も深刻な問題である。また、MRSAのように医療関係者の不注意により新たな感染症が蔓延する危険性も高い。

 本講義では病原微生物を理解するために必要な形態、増殖や代謝、遺伝機構等の基本的な知識をまず学び、次に各論で感染症の治療や予防に必要な知織を修得する。

 

〓授業計画〓

第1回 微生物の定義と分類

 まず微生物の定義、生物学的な位置づけ、原核細胞と真核細胞の相達点、生態系における微生物の役割、微生物学の歴史、等についての概論を講義する。

 次に微生物を純粋に分離し、同定するための基礎的な方法論を慨説し、さらに代表的な細菌、真菌、ウイルスの分類法と分類について講義。

第2回 細菌学総論

 細菌の分類、形態と構造、増殖、化学療法薬。

第3回 細菌の変異と遺伝

 形質転換、接合、形質導入等微生物に特徴的な遺伝形質の転換機構を説明し、薬剤耐性伝達機構を理解するためにも必要なplasmidの特徴的な性質を講義。

第4・5回 感染と発病

 微生物感染、発病の要因、生体側の防御機構、消毒と滅菌、化学療法薬、院内感染、伝染病の種類と対策。

第6〜8回 細菌感染症各論

 代表的な病原菌の性質、検査法、感染経路、症状の特徴、治療と予防の方法についての各論を講義。大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、肺炎梓菌、ペスト菌、コレラ菌、Haemophilus属、ピロリ菌、緑膿菌、レジオネラ、百日咳菌、Neisseria属、ブドウ球菌属、MRSA、レンサ球菌属、炭症菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、ディフィシル、ジフテリア菌、Mycobacterium属、マイコプラズマ、スピロへ一タ、リケッチア、クラミジア等。

 また主要な食中毒原因菌についても感染経路、症状、予防法等をまとめて講義する。

第9・10回 ウイルス学総論

 ウイルスの性状、構造と分類、ウイルスの感染と増殖機構、発ガン遺伝子、ウイルスによる発ガンの分子機構、エイズの発症機構と治療法の可能性。

第11・12回 ウイルス感染症各論

 ポックス(痘療)、ヘルペス(HSV、VZV、HCMV、EBV)、アデノ、パポーバ、へパドナ(HBV)、パルボ、レオ(ロタ)、ピコナ(ポリオ)、トガ(風疹)、フラビ(日本脳炎、黄熱病)、オルトミクソ(インフルエンザ)、パラミクソ(おたふくかぜ、はしか)、アレナ(ラッサ熱)、ラブド(狂犬病)、ブニヤ(ハンタン)、フィロ、コロナ、カリシ、レトロ(ATL、HIV)の各ウイルス科の病原菌の各論。

第12回 後半 真菌と原虫

 表在性、皮膚、皮下、全身性の各真菌症について各論講義、原虫感染症や寄生虫についても代表的なものについて解説する。


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