§機器分析学
☆道田 隆
〓主題と目標〓
機器分析は現代の化学及び薬学の研究において欠くことのできないものである。研究職に就くものは云うにおよばず、分析データを扱う者は測定法の原理について理解しておかなければ、十分に吟味することはできない。一般に機器分析は高価で複雑な機器を使用する分析法でかつては、物理分析あるいは物理化学分折も呼ばれており、若千の物理学の知識が必要である。
従って、必要に応じて高校時代の物理の教科書及び参考書に遡って復習して講義に臨んでもらいたい。
〓授業計画〓
第1回 紫外可視吸光光度法
呈色化合物の溶液に紫外線または可視光線を照射し、分子軌道電子の励起にもとづく吸収を測定し、分子骨格の情報収集や定量分析を行なうものである。
検出感度もよく比較的安価なため最も普及している分析機器である。
第2回 原子吸光分析法
特定波長の光を基底状態の原子蒸気層に照射すると各元素により特有の光を吸収する現象を利用したもので元素の濃度を測定できる。
金属の微量分析に適しており、医療や環境保護の分野で広く用いられている。
第3回 蛍光光度法
ある種の有機化合物に紫外線などのエネルギーの大きな電磁波を照射すると可視光線を発光する。この現象を利用して分子骨格の情報収集や定量分析を行なうものである。
感度がよいので微量分析を必要とする研究分野や臨床化学分折の領域で急速に普及している。
第4回 発光分析法
高周波放電などにより励起された原子やイオンの外側電子が低エネルギー準泣に再び遷移する時発する光を測定するもので波長により定性分折が、発光強度より定量分析ができる。
第5回 赤外吸収スペクトル法
分子に波長を連続的に変化させて赤外線を照射してゆくと分子の固有振動に応じた周波数の赤外線が吸収されて、分子構造に応じたスペクトルが得られる。有機官能基を直接検出でき、指紋領域では類似化合物の判別、定量が可能である。
第6回 核磁気共鳴スペクトル法
核磁気モーメントを有する原子核を磁場におき、特定の電磁波を照射するとスピンの反転が生じる。
この現象を核磁気共鳴と呼び分子を構成している各原子核は微妙に異なる周波数の電磁波に共鳴する。
この周波数を詳細に検討する事により分子構造を解明できる。
第7回 質量スペクトル法
気体状態にした分子に高エネルギーの電子線などを照射して分子をイオン化したり、分解させて分子イオンやフラグメントイオンとして構造解析を行なうものであるが、検出感度が極めて高いためガスクロマトグラフィーと組み合わせて、微量分析にも広く応用されている。
第8回 円二色性法
光学活性吸収帯付近における左右円偏光の吸収差を測定し、そのピーク位置、符号、強度から構造を推定し、定量分析を行なう。
第9回 X線回折法
結晶にX線を照射すると一部は回折を起こす、この回折方向と強度は結晶構造を反映したものであるので物質の結晶構造または分子構造を明らかにすることができる。
第10回 電気的滴定法
指示電極と参照電極を浸し、滴定の進行に伴う電位変化から終末点を求めるもので、指示薬の利用できない混濁または着色溶液非水溶液にも利用できる。目視滴定に比べ個人差が小さく、精度も良く自動分析も可能である。
第11回 バイオセンサー
生体分子の持つ高度な分子識別能を応用した有機物を測定するためのセンサーであり、識別素子の種類により酵素センサー、免疫センサー、微生物センサー等に分類されている。
2、3の酵素センサーについては臨床的に応用されている。
第12回 イムノアッセイ
選択性のきわめて高い抗原抗体反応と検出限界の低い標識物質を巧みに組み合わせた高選択的かつ高感度な分析法である。
比較的操作が容易で、特別な装置を必要としないエンザイムイムノアッセイが現在の主流でありホルモンや生体の微量物質の定量に用いられている。
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