§生理学T

☆三宅 正治

〓主題と目標〓

 細胞は細胞外液と呼ばれる液体の中で生活している。からだの外の環境を外部環境と呼ぶのに対し、この細胞外液はからだを構成するほとんどの細胞の生活環境となっているところから、内部環境と呼ばれる。細胞は環境の変化にきわめて敏感であるため、すべての細胞が正常な機能を営むためには、内部環境の条件、すなわち、浸透圧、pH、電解質組成、ガス組成、温度などが常に最適の状態に保たれなければならない。われわれのからだを構成する細胞や器官が、内部環境の恒常性維持(ホメオスタシス)という一つの目標に向かって働くためには、個々の細胞や器官の働きを協調させ統御する機構が必要となる。この統御は神経系と内分泌系とによって行われている。この神経系と内分泌系の機能を理解する。

 

〓授業計画〓

第1回 ホメオスタシスとは何か。

 「生命とは内部環境の恒常性を保つという唯一の目的しかもっていない」ともいえる。われわれのからだを構成する細胞や器官が、内部環境の恒常性維持という一つの目的に向かってはたらくためには、個々の細胞や器官の働きを協調させ、統御する機構が必要である。この統御が神経系と内分泌系によって行われていることを解説する。

第2回 神経の基本的機能

 神経細胞の形態学的特徴、膜電位と活動電位の発生の仕組み、さらに神経細胞に特有な興奮のシナプス伝達など、神経系の働きを理解するうえに必要な基本的知識を述べる。

第3回 中枢神経系と末梢神経系

 神経は中枢神経(脳と脊髄)と、これより発して全身に分布する末梢神経(体性神経と自律神経)の2系統より構成されている。これらの神経系の構造と機能を解説する。

第4回 自律神経と体性神経

 末梢神経には自分の意志で働き、主として骨格筋や感覚器に分布する体性神経系と自分の意志に関わりなく、脳幹の司令で働く自律神経系とがある。内臓の働きは後者の神経系のよって調節されている。これらの神経系の特徴と働きを解説する。

第5回 中枢神経系の高次機能

 中枢神経系は脳と脊髄からなり、高度な精神活動から本能行動にいたる生命現象を統合するとともに、種々の反応機能によって生命維持装置の中心として働いている。これらの精緻なメカニズムを解説する。

第6回 内分泌(ホルモン)系の機能

 内分泌系の機能の特徴を神経系のそれと対比して解説する。ホルモンの一般的性質、内分泌臓器の種類と特徴、ホルモンの分泌調節およびホルモンの作用機序を概説する。

第7回 視床下部ホルモン

 視床下部には神経細胞と内分泌細胞の形態と機能をあわせ持つ神経分泌細胞があり、これらが神経系と内分泌系を形態的、機能的に結びつけている。視床下部で産生されるホルモンの種類とその構造、特徴および分泌の調節を解説する。

第8回 脳下垂体ホルモン

 脳下垂体は大きく前葉と後葉とにわかれ、特に前者は内分泌の中枢として働いている。下垂体で産生されるホルモンの種類、構造および分泌の調節を解説する。

第9回 甲状腺の機能とその産生ホルモン

 甲状腺は生体の発育を促し、代謝の調節を行う甲状腺ホルモンを分泌し、その他にも上皮小体(副甲状腺)のホルモンとともに血中カルシウム濃度を調節している。これらの内分泌腺で産生されるホルモンの性質と分泌の調節を解説する。

第10回 副腎皮質ホルモンと合成副腎皮質ホルモン

 副腎皮質はNa,Kの排泄の調節によって尿量を調節するミネラルコルチコイドとグルコースや蛋白質の代謝を調節するグルココルチコイドを分泌している。これらのホルモンの性質と分泌調節を解説するとともに、抗炎症作用や抗アレルギー作用を持つ合成副腎皮質ホルモンについても概説する。

第11回 膵臓のホルモン

 膵臓は血糖値を調節する重要なホルモンを分泌している。これらのホルモンの構造と分泌の調節を解説する。糖尿病および経口糖尿病薬についても概説する。

第12回 生殖機能の調節

 生殖腺および生殖器の性分化や脳の性分化を概説し、男性生殖器における精子形成や女性生殖器の構成、卵巣の周期的変化を解説する。

第13回 性ホルモンと合成性ホルモン

 男性ホルモン、女性ホルモンおよび黄体ホルモンの種類とその働きおよび分泌の調節を解説する。また合成性ホルモンの種類とその薬理作用ならびに経口避妊薬についても解説する。


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