§薬学演習

☆教授名 省略

〓主題と目標〓

 高度情報化時代に入った今、情報を表現する能力と、それを解析する能力が益々要求され、これは個人の重要な資質と見なされてきている。薬学出身者が、医療あるいはそれに関連した幅広い分野で活動するには、患者・医師・地域の人々等を含めた多数の人達との意志疎通と、そのための自己の意見の的確な表示が不可欠である。ところが、多人数による教育は、学生諸君と教員との間のコミュニケーションを妨げ、教育を受ける者、与える者、という極端な状況を生みだし、教員を交えた議論の機会を失わせてきた。大学である以上、学生諸君が、自身で考え、疑問を持ち、それによって議論することの大切さは論をまたない。諸君は4年次において、希望により各研究室に分属し、そこで大きく薬学科・生物薬学科の方向づけを行うとともに、きめ細かい教員との人間的接触のうちに卒業論文を完成する。しかしこれは最終学年での最後の仕上げであり、それに至る前の段階として上記趣旨をもった本科目が開講される。薬学演習T・Uは、薬学部の教員が分担してクラスを持ち、それぞれ特定のテーマを中心として、学生諸君自身による調査・研究・発表・質疑等の形式で進め、論理の展開とそれにより議論することの重要性を確認することを目的とする。

 

〓授業計画

[濱]最近のニュースから:

 薬学、薬剤師職能に関する最近のニュース話題を、専門誌というより広く一般的新聞や、放送番組で取り上げた社会的話題について。

 これから薬の情報に関する専門家を目指す皆さんがどう受け止め対応するべきか。一方素人にはむづかしい科学記事をどう一般の人々にわかり易く説明するか。このような観点で社会の現状とも併せて考えてみよう。

 

[藤井]薬学的ものの見方:

 資料を対象として、考え評価し語る。考えたことと思ったことがそのまま表現し得たか、薬学的観察として科学的正当性を持っていたか。教師はグループリーダーの役割を務める。資料は医薬品、農薬、食品添加物等の新聞記事とビデオ。

 

[新宮]周期表と遊ぼう!:

 周期表は元素の化学的性質に基づいて作られた表である。現代では原子の電子構造との関連性で作られているが、両者は元素の化学的性質を示す面では、全く同一の結果をもたらしている。

 原子の電子構造と化学的性質について学んでいきたいと思っている。

 

[福井]健康と疾病:

 家庭医学書を中心にして健康と疾病について考える。学生自身又は家庭、友人が罹患した疾病について家庭医学書を読み、発病の原因、症状、治療法を知ることにより、薬学生としての必要な医学的基礎知識を習得する。

 

[岡田]化学結合と化学反応について考えよう:

 化学反応は化学結合が開裂したり形成したりすることです。原子中の電子が化学結合にどうかかわっているのか。原子の構造→化学結合→化学反応と順を追って考えよう。

 

[仮家]体の仕組みと病気:

 家庭医学書に見られるように、最近の医療に対する市民の知識の豊富さには驚かされる。書かれている内容を薬学を学んできた、あるいは学んでいるものが十分に理解し解説することは、時として困難なときもある。本演習では、”くすりを取り扱う”以前の問題であるヒトの体の仕組みとそれに関連する簡単な病気の成り立ちについて考えたい。

 

[川ア]薬の知識 ABC:

 薬の初歩的知識について考えよう!投与方法によっての効果の違いはあるのか?薬局で買える薬と買えない薬、服用持の注意、効果と副作用、くすりのかたち…などについて考えよう。

 

[岡本]生体機能と薬:

 複雑な生体の持つ機能を、特定の機能系について理解し、薬の効く理由を考える。授業は学生主体の議論で進めることを基本とする。

 

[紀氏]今日の医療の話題:

 脳死と臓器移植、エイズ、老人医療、医療保険と新薬など、そのときどきの新聞やテレビで話題となっている事柄を取り上げて論議し、医療従事者となるにふさわしい教養を高める。

 

[北川]国家資格「危険物取扱者」免許の取得をめざして:

 皆さんが実習で使用するエチールアルコール、酢酸エチル、トルエン等は引火性の強い液体であり、激しく燃焼するので“危険物”に指定されています。これらの薬品を大量に「製造、貯蔵、取扱」をする場所、例えば、大学、大病院、研究所・工場では管理責任者が必要です。従って、薬剤師の資格と危険物取扱者の資格を併せ持っておれば卒業後の活躍の場が広がるものと期待されます。ところで、皆さんが現在持っている化学の実力と国家試験問題の傾向と対策を考えれば十分に手の届く話しだと思います。因みに、前回のこの演習では10人中7人が合格しました。受験勉強に数千円のテキストが必要ですが、まず手始めに利用価値の高い乙種第4類の受験をめざして“最後まで頑張る”という人は一緒に勉強しませんか。

 

[三宅]生命を考える−バイオテクノロジー革命−:

 生命の糸−DNAは生命の謎を解く鍵である。おのおのの生物種がどんなみかけをもつか、寿命はどれくらいかなどを決めるのがDNAである。発生、分化、ガン化、老化といった重要な生命現象がこのDNAのレベルで解かれようとしているのを一緒に勉強しましょう。

 

[佐野]薬学領域のインターネット:

 病気、環境汚染、クスリ、臓器移植、遺伝子治療など薬学領域と密接に関わりのある項目についてインターネットで情報を取得し、発表を行う。

 最初は初心者のためにパソコンの起動法、代表的なソフトの使用法も講習する。

 

[赤穂]

 コンピューターとコンピューターを接続し、居ながらにして各部署と情報の交換をする試みが、コンピューターのネットワーク化として、1970年代、80年代にかけて世界各地で行われるようになった。このネットワークを更にネットワーク化したものがインターネットである。今や、このインターネットを利用すれば、世界全体がひとつの村(global village)となり、迅速に情報の交換を行うことができる。これは、コロンブスのアメリカ大陸発見にも匹敵する画期的なできごとであるといわれている。21世紀に向けて、ますます応用価値が広がると思われるインターネットを様々な角度から体験し、諸君の将来に役立てていただきたい。

 

[河合] 驚異の小宇宙−細胞−

 すべての生物は細胞からできている。生命の最も単純な姿の単細胞生物から、何十億もの互いに作用しあう高度に専門化した細胞が寄り集まった高等生物まで例外はない。この「ミニ宇宙」すなわち「細胞」を通して、受精、発生・分化、癌、老化、死などの生命現象の一端を理解する。また人類最大の敵であるウイルス(エイズ、エボラetc)と細胞との関わりについても言及する予定である。

 

[道田]

 新しいお薬や有効成分を発見したり取り出した時は、まずそのものの化学構造を決めなければなりません。名前をつけたり、合成方法を考えるためにぜひ必要なことで、創薬の第一歩です。

 現代の構造決定は各種のスペクトル(赤外吸収スペクトル、質量スペクトル、核磁気共鳴スペクトル等)のデータの組合せで行われています。丁度パズルと同じで直感力と推理力と柔軟な思考が重要です。

 若い頭脳で是非挑戦してもらいたい。


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