§薬学概論T

☆教授名 省略

〓主題と目標 〓

 「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」

 これは薬剤師法第一条に掲げられた薬剤師の任務ですが、本学のカリキュラムは薬剤師の職能を果たすに必要な知識や技術を、その基礎から順に系統的に学習するように組まれています。本講義では、薬学の各学問分野の教授に、これから4年間に薬学で学ぶ各専門科目の意義を、薬と医療にまつわる歴史やトピックスをおりまぜながらお話していただきます。皆さんに本学の薬学教育の概要と各専門科目の重要性を理解して頂くとともに、将来、医師とともに病を治し、健康を守る「薬剤師」になるという自覚をもって頂くことを目的に投けられた科目です。(科目責任者 岡本 博)

 

〓授業計画〓

第1回 薬学とは…薬学部の紹介…(4月13日)

担当 川ア 紘一

 薬学は自然科学の1分野であるが、物理学、化学、生物学のような基礎科学とは違って、生命、健康にかかわる物質について化学的、生物学的あるいは物理化学的に研究する総合科学であり、その研究により得られた専門知識および技術を用いて人類の健康、福祉に貢献することを目的とした学問である。

第2回 薬と社会(4月20日)

担当 藤井 正美

 医薬品は特殊な商品である。それは1)貧富を問わない利用法(健康保険法)。2)真に有効そして安全(国の審査)。3)専門家による取り扱い(医師法、薬剤師法)。4)品質規格の維持(行政認可と監視)。5)価格に関する国の関与(薬価制度)等であり、医薬品が正しく用いられるために「薬と社会」の複雑な構築がある。

第3回 薬学と微生物(4月27日)

担当 佐野 圭二

 ある種の微生物は各種の感染症を引き起こす原因となっているが他の大部分の微生物には病原性はなく、環境浄化など生態系に有益なものが多い。また、食品の発酵や医薬品の生産など人類に直接的な貢献をしているものも多い。この講義では微生物と薬学とのかかわりについての入門的な話をする。

第4回 薬の歴史、植物と薬(5月12日)

担当 谷 昇平

 人間は原姶の時代から自然界の動植物、特に草根木皮の中で有毒なもの薬効のあるものを経験的に識別し、病気の治療、苦痛の軽減等に利用してきた。この経験的知識はやがて時代とともに伝承研究されて一つの学問に体系づけられ現代の薬学に発展した。今回は植物と薬の関係に焦点をあてながら薬と薬学の歴史について述べる。

第5回 薬の化学構造と活性(5月18日)

担当 川ア 紘一

 阿片アルカロイドの主成分であるモルヒネは素晴らしい鎮痛効果を持つが、耽溺性があるために、構造変換によって耽溺性のない誘導体の研究が数多くなされた。構造変換による鎮痛作用、鎮咳作用、拮抗作用との関係、さらに合成鎮痛薬や生体内で作られる鎮痛薬エンケファリンについても述べる。

第6回 医薬品の合成(5月26日)

担当 北川 徳次郎

 新薬のもとになる新規物質の創製や発見には、合成・発酵・抽出・バイオテクノロジーなどの技術が応用されています。さらに、得られた化合物の構造と薬理作用を検討し、そこから病気の診断・治療・予防に役立つ新薬を設計し生み出すには、アセチル化、ニトロ化、還元、縮合、加水分解等の基本的な有機化学反応が役立つ手段となっています。

第7回 日本薬局方(6月1日)

担当 山岡 由美子

 医薬品は人類の健康を守ることを目的としたものであるから、その品質は厳密に規定されていなければならない。我が国においては、明治以来日本薬局方を制定して、医薬品に一定の基準を与えている。今回は薬局方の概略を紹介し、さらに若干の分析法について述べる。

第8回 薬の剤形、製剤と治療効果(6月8日)

担当 福田 友昭

 今ここにビタミンB2の純枠の粉末があるとします。このものは、「薬」かというと、薬ではありません。必要な添加剤を加えて、錠剤とか注射剤に加工したものが薬です。それは何故か?また、そのまま服用すると胃障害を起こす薬もあります。この場合には、服用したものが胃では溶けないで、小腸に移行してから溶けるような加工が必要です。このようなことについてお話します。

第9回 くすりの体内での動きを考える(6月15日)

担当 竹内 由和

 医療の現場で使用されている医薬品(くすり)の種類や情報は年々増加している。創薬技術の進歩により効き目の強いくすりが薬局でも簡単に買えるようになってきている。くすりの適正使用は良質な医療を確保するのに大変重要である。くすりを適正に使用するためには、くすりの体内での動きを知ることが大切である。

第10回 薬の作用機作(6月22日)

担当 岡本 博

 薬が効くということは、考えてみれば不思議なことである。大昔からヒトは山野の草木から経験的に薬を見つけ、その後それを摸倣した化学物質に同じ効き目を見いだした。この発見は薬が効くことに科学的道筋(機序)があることを我々に知らせ、今や「効く」ことが、ヒトを含めた生物の基本的生命活動に薬という化学物質が深く関わるためと理解されるようになった。薬が効くことの不思議は生命の不思議であることを、薬の実例をあげてお話ししたい。

第11回 脳の病気とこころのやまい(6月29日)

担当 三宅 正治

 脳に質的な変化が生じ、その影響で感覚や運動、また、精神活動に障害があるものを「脳の病気」といい、痴呆や脳腫癌などがこれにはいる。一方、現在の医学では、質的な変化は認められないが、精神障害の現れるものを「こころのやまい」といい、ノイローゼや精神分裂病がこれにあたる。これらの脳の障害の原因、薬物治療法について解説する。

第12回 保健衛生と薬学、薬剤師(7月6日)

担当 紀氏 健雄

 薬剤師は薬の専門家として医療現場で薬物療法の一翼を担うばかりでなく、「ヒトが健康に生活していくにはどうずれば良いか」という地城社会あるいは個人の保健衛生の向上に尽くすことも期待されています。疾病の多くはその生活に起因します。大気、水、騒音や振動、食品や食生活など、衣食住の生活環境や生活習慣が我々の健康に深く関わっていることをお話し、保健衛生の分野にも視野を広げて頂きたいと思っています。

第13回 予備日(7月13日)


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