神戸学院大学

学生生活

笑顔の裏の真実

学生スタッフ災害班 井藤慎一(経済学部)

取材担当:学生スタッフ広報班 横田侑佳(人文学部)

「自分について悩んでいる」。普段の笑顔からは想像もできない思い悩んだような表情で口にした言葉だった。

 普段は「しんちゃん」の愛称で呼ばれている爽やかな青年、井藤慎一。井藤くんは現在、ボランティア活動支援室学生スタッフとして一般の学生にボランティアを勧めながら、自身も活動をしている。初めてボランティアに参加したのは2013年2月の東北支援バスだった。これがきっかけで少しずつ参加するようになり、学生スタッフにもなったという。昨年の2月から今まで、東北バスや東北応援物産展など同じ学生スタッフが仕切る中で、井藤くんはあくまでも誘われて参加するという活動形態だった。今回、こども環境フォーラムの親子農業体験に行く決意をしたのには理由があった。元々、子どもが大好きで農業体験にも興味があったが「やろうと思うけど、一歩がでない…」そんな気持ちの中で、今回の体験が自ら踏み出した新境地であり相当“大きな一歩“であったという。

取材担当:学生スタッフ広報班 横田侑佳(人文学部)

 フォーラム当日、どこかそわそわしていていつもと違うテンションの井藤くんは、1人で踊りながら始まる時を今か今かと待っていた。子ども達と苗植えを楽しむ中で、密かに子どもたちの反応を気にしてしまっている自分がいた。「普段から人の目を気にしてしまい、なかなか思い通りに出来ず、ベッドに入って2、3時間悩むこともあった…。」けれど、無邪気に楽しむ姿を見ていつしか子どもたちが井藤くんの周りに集まってきていた。

取材担当:学生スタッフ広報班 横田侑佳(人文学部)

 取材中、楽しげな表情で「でも、今回は楽しかった。というか純粋に楽しんでもうてた」と満面の笑みで話した。楽しさを語るその姿は、子どものような無邪気な雰囲気をかもしだしていた。「ボランティアとしてではなくて企画を楽しめるようになったから、今回は徐々に子どもの反応を気にすることがなくなってきたんです」と言っていた。純粋に楽しんだというその姿勢が子どもたちにとっては安心できる存在になったのだろう。それが、井藤くんなりのコミュニケーションの取り方ではないか。

取材担当:学生スタッフ広報班 横田侑佳(人文学部)

「実は、学校に行く意味や学校での勉強が自分にとって何になるのだろうと悩んでたんです」。今回の取材中も普段もボランティアの時も常に笑顔を絶やすことのない井藤くんが、今の自分について悩み、眠れぬ夜が続いているという。「将来のことを想像しながら、きっと自分にはできないって不安になったり、ボランティアの企画でも上手くいかず不安になってしまうんです」。だが、取材者も井藤くんと共に活動する中で、積極的に悩みだしたことで大きくなっているように感じた。「優柔不断な性格も人の目を気にしてしまう性格もまだまだ克服できていません」と本人は言うが、昨年の2月よりは確実に成長していると学生スタッフの仲間も言う。更には、昨年の2月の東北ボランティアバスの企画に関わった学生スタッフからは、たくましくなったとも言われていた。「今の自分があるのは、周りの人のおかげでもあるし、周りの押しがあったからこそ一歩を踏み出すことや成長することが出来てきた」という。ボランティアの基本である自発性に少し欠けてしまう井藤くんは仲間の中で、積極性の大切さに気づいたようだ。「積極的になれない自分に対して悩むこと、目を背けていたことに自ら考え向き合い出したことは成長したって自分でも思います」と語ってくれた。

取材担当:学生スタッフ広報班 横田侑佳(人文学部)

 最後にこれからどんなことしてみたいかという質問を投げかけてみた。もじもじしながらも口に出したのは、「こども環境フォーラムにまた参加したい」という自分の意思。更には、何かを決意したような顔で「地元の清掃活動にも参加していきたい」と言っていた。これまで東北に目を向けていたが、これからは地元の活動にも目を向けていきたいという井藤くんの強い思いが感じられた。

編集後記
横田侑佳
横田侑佳

私が今回の取材を通して伝えたかったのは、井藤くんの「想いと変化」です。
5月に取材を開始したこの企画がここまで長丁場になるとは思っていませんでした。ですが、この5ヶ月間は私にとって有意義で大切な時間となりました。取材に関わったことで、プロの記者への新たな想いも生まれました。
この記事を読んで少しでも何かが変わるとうれしいです。
5ヶ月間、アドバイスや一緒に記事を書いてくれたすべての人に感謝したいと思います