神戸学院大学

社会連携

大阪市立総合生涯学習センターとの連携講座いちょうカレッジ「いのちを守る防災コース」(第5回)を開催しました

2016/07/18

大阪市生涯学習まちづくり市民大学 いちょうカレッジ「いのちを守る防災コース」の第5回講座を16日、同市立総合生涯学習センターで開催しました。

本コース最終回のこの日は、第1回目の講師も務めた現代社会学部の前林清和先生が「若者と考える防災」というテーマでワークショップ形式の講義を行いました。ワークショップにはファシリテーターとして、防災・社会貢献ユニットの岡本愛美さん、現代社会学部社会防災学科の岡本大二さん、水谷收希さんと同学部の前田実習助手も加わりました。

はじめに、避難所は大規模災害時に住民が避難する安全な場所であるけれど、全国の避難所は90,000ヶ所強しかなく、国民全員を受け入れることはできないこと、また、全ての避難所に役所の人が入り運営管理できるとは限らず、行政の手が回らないところでは避難者自身がその役割を担う必要が出てくることを解説。災害時の避難所運営は「共助」が大きな役割を果たすため、(1)避難所の鍵は誰が管理しているのか、また避難所開設方法はどうなっているのかなどの組織体制と人的体制の整備、(2)すぐに救援物資が届かないことを考慮し食料、飲料水、毛布など備蓄品の確保、(3)運営責任者が被災することも想定し、要援護者の支援も明記した分かりやすい避難所運営マニュアルの作成と、そのマニュアルを使った研修の実施、(4)実際にどのような手続きを踏むのか、運営に必要な設備や準備を体験するための避難所運営訓練や炊き出し訓練の実施など、平常時に避難所運営の体制づくりを準備することが大事であるとし、受講者は4班に分かれて、避難所運営ゲーム(HUG)という、ゲーム感覚で避難所運営を模擬体験できる図上訓練を行いました。

ファシリテーターの学生らは、「妊娠中の妻がいる男性」、「旅行中の女性外国人」、「車で来た障がい児を抱える家族」、「認知症の疑いがある単身の高齢男性」、「ペットを連れて車で来た家族」、「両親を亡くした幼い兄弟」など避難者が抱える事情や、「立入禁止にする危険区域の確認」、「トイレの水があふれている」、「政府の視察」、「救援物資到着」、「ボランティアの受け入れ」、「福祉避難所へ移送する人の選定」などのイベント内容が書かれた約150枚のカードを矢継ぎ早に読み上げると、受講者らは互いに協力して、避難者の事情に配慮した部屋の振り分けや、イベント内容への対応などを考え、「まずは体育館の入口近くに本部を設置し、通路を確保しよう」、「乳児を抱える家族は泣き声に配慮して教室の方がよいのではないか」、「インフルエンザに罹患している人は医務室へ」、「救援物資は体育館のステージに置く」、「報道関係は本部で対応する」など意見を出し合い、学校の校庭や体育館、教室が書かれた模造紙に避難者カードを配置したり、避難所本部や立入禁止区域、仮設トイレやテントの設置場所などを書き込んだりしました。

ゲーム終了後、各班がそれぞれの避難所の課題、改善点などを発表し、「次々と来る避難者にパニックになって、うまく振り分けができなかった」、「避難者の個別事情に配慮しすぎて、受入窓口が混乱した」、「避難者の受け入れと振り分け、避難者名簿の作成、支援物資の管理などセクションごとにリーダーが必要だと思った」などの感想を述べました。

最後に前林先生は、「実際の避難所運営はもっと大変です。事前に役割分担をしていても災害時に、その人が避難所に来るとは限らないし、ほとんどの場合、人は訓練した以上のことはできません。全員が全ての役割を果たせるよう繰り返し訓練することが大切です。また、想定外を訓練しておくことで、想定外は想定内になります。」と平常時の訓練の重要性を強調し、講義を締めくくりました。

受講者からは「今回の講座で学んだことを日常の生活に活かします」といった声をいただき、全5回の講座を通して市民の皆様に防災意識を高めていただくきっかけになったようです。
また、最終回にファシリテーターとして参加した学生は、「実施した【避難所運営ゲーム(HUG)】のカードを次々と読み上げていくうちに、受講者の皆様が自然と連携をはかりながら取り組んでくださったことで、とても活気あるワークショップをすることが出来ました」と述べ、実際に地域づくりや地域防災に関わる受講者の皆様とさらにディスカッションをする時間を持ちたいという意欲的な感想を寄せていました。

ご受講いただいた皆様、ご協力いただきました皆様、有難うございました。