図書紹介

書名 ：『ひとり親家族における子どもの発達を保障する「自立支援」に関する実証研
　　　（平成19年度・20年度・21年度科学研究費（基盤（C））課題番号：19530540
研究代表者：神原 文子 人文学部教授
発行所：記載無し
発行年月：2010年5月（256ページ）

この調査研究は、2007年度から2009年度まで、日本学術振興会科学研究費補助金の助成を受けて行ってきたものである。（研究分担者：和歌山大学教育学部・本村めぐみ）ひとり親家族で育つ子どもたちが、健全に育つために必要な支援策を検討するために、アンケート調査とインタビュー調査を実施した。アンケート調査では、ひとり親家族で育つ高校生と両親家族で育つ高校生を比較するために、日常生活と人権に関するアンケート調査を行った。ひとり親家族で育つ子どもたちの、小遣いの少なさ、アルバイトの多さ、学校以外の学習時間の短さ、大学進学希望の低さが明らかとなり、経済面での支援の必要性が指摘できる。また、インタビュー調査では、小学生から大学生まで、幅広く、インタビューに応じてもらった。限られた人数ではあるが、子どもたちの多くが、親の離婚を受け入れていたり、肯定的に受け止めていたりする状況が見られた。また、親の生き方と自分の生き方は別であるとの考え方も散見された。子どもたちの思いを直接に受け止める機会の重要性が、改めて浮かび上がってきた。本報告書は、まだまだ不十分ではあるが、ひとつの区切りの意味で、このような報告書にまとめることにした。今後さらに、詳細な分析を行い、ひとり親家族で育つ子どもたちの問題に真摯に取り組んでいきたい。