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vol.57

地域連携事業「明舞セミナー」開催されました

―明舞セミナー松が丘ビル―
開催日: 2011年3月14日(月)

高齢化が進む明舞団地(明石市、神戸市垂水区にまたがる住宅団地)住民との交流や支援を目的とした地域連携事業「明舞セミナー」が3月14日、明舞セミナー松が丘ビルで開催されました。

「高齢期・何に不安を感じていますか?」をテーマに本学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科の西垣千春教授、糟谷佐紀講師と、すでに明舞団地再生のための地域連携活動を実施している兵庫県立大学の和田真理子准教授等が合同で講演を行いました。

リスクに陥りやすい高齢期。「ひと」とつながることが重要

高齢者のリスクについてわかりやすく説明する西垣教授

高齢者のリスクについてわかりやすく
説明する西垣教授

西垣教授は、「高齢期に陥りやすいリスクについて」をテーマに、高齢者の現状を説明しました。75歳以上になると体が動きにくくなり急激に生活に不便を抱える人が多くなると指摘。デ−タを元に65歳以上が暮らす世帯の半数以上が高齢者のみの世帯で、高齢者の4人に1人が「生活が苦しい」と感じている厳しい現実も浮き彫りにしました。

高齢期のリスクとして、自己管理能力(セルフマネジメント)の低下を挙げました。「時間がかかる」「忘れる」「あきらめる」という一般的な特徴だけでなく、認知症や高齢期のうつ、転倒・事故などによる関節疾患、骨折などが発生し、自己管理能力の低下が進みます。こうした病気や事故は、早期の専門的な治療・相談が十分でないまま、長期療養につながり、生活を圧迫するようになります。「気付かない間に、人間関係が希薄になり、孤立していく。高齢者のみで老いを感じるようになり、子どもや周囲の人が困難や辛さに気付かず、問題が深刻化することも多くみられます」と西垣教授。悪徳商法や振り込め詐欺など、身近かなリスクも挙げ、「大切なのは『ひと』とつながること。地域を見直し、近所、ボランティア、専門職の人々とどう関係を築くかが重要です。明舞団地が高齢化率40%に向かう中で待ったなしです」と締めくくりました。

学生と住民の交流が活性化につながる

学生と住民の交流活動を紹介する和田准教授

学生と住民の交流活動を紹介する 和田准教授

兵庫県立大学の和田准教授が明舞センターの空き店舗内に設置されている明舞団地再生のための拠点「明舞まちなかラボ」を活用した学生や教員の取り組みを紹介しました。

和田准教授等が行った明舞団地住民を対象にしたアンケート調査結果では、地域活動へ参加している人ほど近所の人々との信頼も高くなっています。また、「暮らしの満足度評価」では、「日当たり・風通し、街並み、景観など」の満足度は高いものの「福祉・介護・子育てなどのサービス」の満足度は最も低い値を占めており、「団地が造成された当時と現在のニーズが離れてしまった結果」と和田准教授は指摘しました。さらに、世界団地博覧会in明舞の企画・運営、キャラクター「ダンチガメ」の考案や情報誌「好きです。明舞」(5月までに発行予定)など、学生の地域交流の取り組みも紹介した上で、「若い学生が住民と交流する中で地域は活性化されます」と大学連携の重要性を強調しました。

家の中は安全、安心して動ける場に

糟谷講師はゼミ生と車いすなどの福祉用具を紹介

糟谷講師はゼミ生と車いすなどの
福祉用具を紹介

糟谷講師は、介護保険の対象となる福祉用具について、実物を手に取りながら説明しました。介護保険を利用すると手すりの取り付けや段差の解消などの住宅改修が、20万円(1割負担のため最大18万円)まで、保険給付されると説明。また、介護保険で、手頃な値段でレンタルできる福祉用具の数々も紹介しました。

障がいに応じて部品を外して使用でき、車輪を外してコンパクトに収納できる「モジュール車いす」や、狭い家屋用に開発された「六輪型車いす」を実際に使用してみせました。また、片手でボタンを押すだけで簡単に野菜の水切りができる水切り器、軽い力で切れる包丁、立ったまま使用できる長い柄の靴べらなど、市販されている「ユニバーサルデザイン」(障がいや年齢の有無などに関わらず使いこなせる製品や環境などのデザインの意味)の器具も紹介しました。

「家の中はゆっくりくつろげ、安全、安心して動ける場にした方がよい。早いうちに危険だけは回避しておくことをお勧めします」と呼びかけ、今後、ゼミ生と高齢者の自宅を訪問し、住宅改修のアドバイスや情報提供を行う支援計画を伝えました。

メモをしながら聞き入る受講者たち

メモをしながら聞き入る受講者たち

参加者のアンケートでは、「夫婦二人暮らしが8年目になり、感じることが多々ありました。今後の生活のあり方について、再構築できる機会を与えていただいたと思います」「大変参考になったセミナーです。今後も続けてほしいと思います」「地域で民生委員などを務めています。今回初めて西垣先生のお話を聴き、身近なお話で非常に感激致しました。(住宅改修については、)県営住宅、身体的障がいや関節障がいを持っている人の住宅を案内したいと思います」などの意見が寄せられました。今後、「明舞まちなかラボ」を利用した本学の大学連携事業の展開が期待されます。

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