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Vol.23

學報トピックス

「ポーアイ4大学連携推進センター開設記念シンポジウム
『地域を活かす大学』」を開催

― 神戸商工会議所 神商ホール ―
開催日時: 2008年12月6日(土)14:00〜16:30

「ポーアイ4大学連携推進センター開設記念シンポジウム 『地域を活かす大学』」を開催

2008年10月、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に採択された「ポーアイ4大学による連携事業―安全・安心・健康のための総合プログラムを軸として―」がスタートしました。この事業は、神戸市中央区ポートアイランドにキャンパスを構える本学と、神戸女子大学、兵庫医療大学、神戸女子短期大学の4大学が連携して行うというもの。事業の発足に伴い、その中心的役割を担う機関「ポーアイ4大学連携推進センター」が本学ポートアイランドキャンパス内に開設されました。センターの開設を記念して、12月6日に財団法人神戸都市問題研究所の理事長を務めておられる新野幸次郎氏(元神戸大学長)を迎えて、「地域を活かす大学」と題したシンポジウムが開催されました。

はじめに、神戸市副市長の梶本日出夫氏が挨拶。「このポートアイランドが建設された24年前には、このような学園都市がこの地に出現するとは誰も予想していませんでした。この10月、神戸市はユネスコの創造都市ネットワークに加盟しました。今後は、『デザイン都市・神戸』として世界に発信していくこととなっています。4大学による連携事業につきましても関係者の方々に事業を強化していただき、神戸市をともに盛り上げていただきたい」と、祝辞を述べられました。

連携事業への期待を語られた梶本副市長

連携事業への期待を語られた梶本副市長

大学が地域に果たすべき役割について基調講演を行う新野氏

大学が地域に果たすべき役割について
基調講演を行う新野氏

第1部 基調講演「地域を活かす大学」

基調講演「地域を活かす大学」

21世紀型のプロジェクトとして
地域の活性化に貢献することを期待

講師 新野 幸次郎 氏
(財団法人 神戸都市問題研究所 理事長)

講師 新野 幸次郎 氏(財団法人 神戸都市問題研究所 理事長)

今の世の中で、大学が求められている役割は3つあると考えています。ひとつは研究、もうひとつは教育、そして、最後に地域のニーズに対してどれだけ対応できるか、ということです。また一般的に、経済成長率を伸長させるには、労働生産性の向上と労働人口の増加率をアップしていかなければなりませんが、日本をはじめとする先進諸国では人口の増加は見込めません。そこで、効率よく労働生産性を高めるために、大学の研究や技術開発、教育が大きな責務を担うこととなり、大学が地域に果たす役割がますます重要になってきています。こうした研究や技術は自然科学に限ったことではなく、社会制度や経済の仕組みを考えるといった社会科学の分野も含みます。社会主義体制に自由市場経済の考え方を取り入れ、飛躍的な経済成長率を達成した中国を見れば、その重要性がお分かりになるのではないでしょうか。現在、大学が地域の活性化や経済の中心となっている事例は世界各国で行われており、大きな潮流となっています。ちなみに、1999年OECDは、『地域社会に貢献する大学』という本を出版しております。その中でも、オーストラリアでは、環境や農業といった地域特有の課題に対して、地元の高等教育機関が個別に対応し、地域の特性にあった生涯教育や特色ある産業に従事する能力を育む教育を実施していること。また、フィンランドやイギリスのニューキャッスルやケンブリッジでも、大学が積極的に地域経済の活性化に関与し、中心的役割を果たすなど、世界各地で地域のニーズに応えるためのさまざまな努力がなされていることが紹介されています。そのようななかで、同じ地域に隣接する4大学が一緒になって地域の課題に取り組むという今回の連携事業は、日本ではほとんど例がないだけに非常に注目されるところです。

日本は、地震をはじめとする自然災害に見舞われやすい国のひとつです。これからも、今後数十年以内に必ず起こると言われている南海、東海、東南海地震などに備えて本格的な対策を講じなければなりません。ただ、阪神・淡路大震災で人命救助された方々のうち、約7割の方は近所の方や地域の消防団の方に助けてもらったと言われており、自衛隊や警察など災害対策の専門家に助けてもらったという方は1割ほどしかありませんでした。これは、実際に災害が生じた際には、いかに“自助・共助”が大切かということを端的に示しています。そうした意味でも、大学が中心となって防災や安心・安全の街づくりを地域住民と一緒になって考えていくことは非常に重要です。この4大学連携事業のなかでも、ぜひ、災害の予防と事後の対応を同時に考えた研究を行い、防犯対策なども含んだ事業を展開していただきたいと思っています。

アメリカの経済学者で、クリントン政権時代に労働長官を務めていたロバート・B・ライシュという人物がいます。彼は、その著書『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ(諸国民の労働)』のなかで、21世紀は、ルーティン・プロダクティブ・ワークで行う大量生産の時代から、インパーソナル(対人的な)・サービス、シンボリック・アナリスティック(分析的で対応力のある)・サービスへと産業の質が転化して行くだろうと予測しています。つまりこれからは、課題を分析したうえでそれぞれに対して的確な対応をし、最適のサービスを提供することができる人物を育成すること。そして、そうしたサービスを提供できる組織や仕組みを構築することが、これからの時代に求められているということです。今回の4大学連携事業においても、参加しておられる各大学が、インパーソナルでシンボリック・アナリスティックな思考で考える人を育て、それぞれが軸となって事業を推進していただきたい。そして、いずれは日本全体から注目されるような意義のある事業になっていただくことを願っています。

第2部 パネルディスカッション

この日は、本学の金芳教授がシンポジウムの司会進行を担当

この日は、本学の金芳教授がシンポジウムの
司会進行を担当

各大学の学長が、それぞれの地域貢献事例を紹介

各大学の学長が、それぞれの地域貢献事例を
紹介

「ポーアイ4大学連携推進センター」のセンター長金芳外城雄教授より、事業概要について説明されました。続いて、今回のパネリストである4大学の学長から、連携事業に対する抱負が述べられました。各大学の教育や地域貢献に対する取組について、新野氏は「今回のお話をお聞きして、4大学が地域活性化のためにさまざまなプログラムを実施し、尽力しておられるという印象を受けました。今回の連携事業のような活動が成功するためには、教職員や学生など大学側の努力だけでなく、地域社会の方々や企業・行政が財政面も含めて力を貸していただくことが不可欠。全国に例のない、こうした試みが成功することで、各大学の教育レベルが飛躍的に引き上げられ、地域に感動を与えられるのではないかと大いに期待しています」と、述べられました。

学長からのメッセージ

神戸学院大学 岡田 芳男 学長

神戸学院大学
岡田 芳男 学長

学生の「学士力」「人間力」アップと
地域貢献をともに実現を

現在、学生の全入時代、あるいはグローバル化の時代を迎え、人材育成のための教育レベルをいかに上げていくかということが大学の重要な課題となっております。今回、4大学による連携事業が発足したことで、学生同士や地域、企業、自治体の方々との交流が促進されると予想され、学生の「学士力」や「人間力」を鍛えるうえで、大いに貢献してくれるものと期待しています。一方で、大学が持つ知的財産や学生という若い力を、これを機により一層地域に還元していきたいと考えています。ただ、この事業が真に成功するためには、10年、20年と継続してプログラムを実施していく必要があります。継続する努力をすることではじめて教育が活性化され、このポートアイランドの地が安心・安全なまち、健康的で医療の充実したまちとして発展していくのではないでしょうか。私はこれまで、国内外の研究者とさまざまな共同研究を行ってきました。そのなかで学んだことは、達成すべき目的のために、各自が真摯に研究分野を追究したうえでパートナーとその全体を共有するということ。そして、相手に対して常に敬意を払うということです。連携事業に関しても同じことが言えます。神戸学院大学は、こうした基本的精神を持って、パートナーである他の3大学とともに一丸となってこの事業に取り組んでいきたいと思っています。

神戸女子大学・神戸女子短期大学<br> 波田 重煕 学長

神戸女子大学・神戸
女子短期大学
波田 重煕 学長

“女性の視点”から活性化を図り
ポートアイランドを魅力のある街に

今回の事業のなかでは、本学は主に、住民の方の健康生活向上のためのプログラムを担うこととなっています。ボランティア活動にも特に力を注いでおり、全国の大学の中でも有数の存在であると自負していますが、4大学での連携事業がスタートすることによって、こうした活動がより活発になることを期待しています。また本学は、4大学のなかで唯一の女子大学、女子短期大学です。こうした特性を活かして、常に“女性の視点”から本事業に貢献していきたいと考えています。具体的には、他大学に比べて文系の学問の教諭が多いということが特徴でもあるので、単位互換などで他大学の教育内容の充実に寄与することができるのではないか、といったことです。本学はこれまで、創立の精神に基づき、「学業ができる大学、地域が求める大学、時代が求める大学」として、人類社会の発展のために尽力してきました。そうした考えに沿って、公開講座を開いて健康や介護、衣食住といった本学伝統の学びを地域の方に還元したり、産官学連携で共同事業を行うなど、多彩な内容で広く社会に貢献してきています。これまでも私たちは、社会や地域で活躍することのできる人材を養成する大学や短期大学を目指してきました。今後も本学が4大学連携事業のなかで核となって社会貢献活動に邁進し、ポートアイランドの活性化を図るとともに、安心・安全・健康な魅力的なまちの創造に寄与していきたいと考えています。

兵庫医療大学 松田 暉 学長

兵庫医療大学
松田 暉 学長

“地域と歩む大学”を標榜し
他の3大学と共に地域交流を活発に

本学は医療専門の大学として、将来の医療を支える専門家、すなわち、看護師、薬剤師、そして理学療法士、作業療法士などの人材育成を図ることを第一の目的としています。薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の3学部が連携し、学部横断的なカリキュラムを組むことによって、臨床現場に直結する実践的な授業を行っています。また、教員に多くの医師を抱えていることも本学の大きな特徴です。このことで、実際の医療現場により的確に対応した知識を教えることが可能になっています。いずれは、こうした大学での学びを地域に広げ、このポートアイランドの地が一般医療を含む先進医療の中心となることを目指しています。本学は、今回の4大学連携事業で、「ポーアイ4大学連携推進センター」における健康と生活支援の領域をカバーする「ポーアイ健康・生活支援ステーション」を、神戸女子大学・神戸女子短期大学とともに担当することとなりました。今後は、今まで本学が単独で行ってきた地域の方を対象にした健康相談などの公開講座や地域連携プロジェクトを今回の事業に取り込み、来年以降は新規のプログラムを順次立ち上げていく予定です。地域社会へと積極的に出て行き、共に歩んで行く―。これが、今現在における大学の大きな流れとなっています。本学も、今回の4大学連携事業を通じて“地域と歩む大学”という認識を持って、これからも進んでいきたいと思います。

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